(12 月掲載)
Q 昨日、80代の1人暮らしの母の家に 事業者から、「靴を買い取る」と電話があり、 承 諾 し た と こ
ろ 、そ の 日 の う ち に 訪 問 が あ り 、「 他 の 物 も 見 せ て 」と 言 わ れ 、貴 金 属 を 強 引 に 買 い 取 ら れ た
よ う だ 。ま た 、「 貴 方 の 物 だ か ら 家 族 に 相 談 す る 必 要 は な い 」と も 言 わ れ た らしい。母は買い取られた物を返 してほしいと言っている。 (50代
男性)
A 特定商取引法では、事業者が消費者の自宅を訪問して物品を買い取る取引を訪問購入 として規制しています。訪問購入では勧誘に先立ち、事業者名、勧誘の目的、買い取る物
品の種類を明らかにする必要があり、来訪した際に事前に依頼していない物品を買い取る こ と は 禁 止 さ れ て い ま す( 不 招 請 勧 誘 の 禁 止
)。事 業 者 は 、同 法 で 定 め ら れ た 書 面 を 渡 さ な ければならず、消費者は書面を受け取ってから8日間はクーリング・オフができます。ま
た、北海道消費生活条例では、「訪問お断り」などと勧誘を受 たくない旨の意思表示を住 居に貼付している場合は、勧誘してはならないとされています。契約当事者に話を聞くと、
「靴はお金にならないので貴金属を見せるように何度も催促され、渋々見せたところ、ネ ッ ク レ ス 4 点 を 買 い 取 ら れ た 。契 約 書 に は 数
量 1 点 と 書 い て い る 」と の こ と で し た 。 セ ン タ ー か ら 事 業 者 に 連 絡 を 取 り 、ク ー
リ ン グ ・ オ フ を す る 旨 を 伝 え た と こ ろ 、「 ク ー リ ン グ ・ オフを受け付ける。商品の買取代金を振り込めば、買い取った商品を返品する」との回答
でした。事業者の元にある商品と相談者に聴き取りした商品の特徴が同じであると確認で きたので、事業者の口座に買取代金を振り込むよう伝えました。後日、買い取られた商品
が返品されたことを確認し、訪問お断りステッカーを玄関に貼付するよう助言して、相談 を終了しました。
(12 月掲載)
Q 2週間前、インターネットで検索した販売サイトでスカートを注文した。指定された 外国人の個人名義の口座に商品代金7千円を振り込んだが、スカートが届かない。連絡を
取ろうとメールをしたが返信もない。返金してほしい。
(20代
女性)
A インターネット等を利用して商品を購入する通信販売は、特定商取引法で広告規制が あり、事業者の名称、所在地、連絡が取れる電話番号等を表示するよう定められています。
代金の振込先が事業者名ではなく個人名義であったり、正確な事業者情報の記載がなかっ たりする場合は悪質な販売サイトの可能性があり、連絡が取れなければ商品の送付や返金
を求めるのは困難と思われることを伝えました。振込票の控えとやり取りしたメールがあ れば持参して、早めに最寄の警察署に相談するよう助言しました。トラブルに遭ったら、
早急に最寄りの消費生活相談窓口に相談を。
Q1 2週間前、羽毛布団のことで話したいと電話があり応じたところ、その日のうちに担当者が家に来たので羽毛布団を見せた。「湿気で生地目が広がり、羽根が出ている」などと言われ、よく理解できないうちにリフォームをすることになり、契約書を渡された。その場で頭金として1万5千円を渡し、リフォームした羽毛布団と引き換えに残金15万円を支払うことになった。しかしよく考えると、3万円で購入した布団なのに16万5千円のリフォーム代金は高額ではないかと思い、解約したくて悩んでいた。羽毛布団は数日以内に配達される予定だが、解約したい。
(80代 女性)
A 訪問販売による契約は、特定商取引法で規制され、事業者は勧誘に先立ち事業者名や販売目的を告げなければならず、同法で定められた内容を記した契約書面を交付する義務があります。消費者は契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます。その場合、事業者が受け取った代金は速やかに返還しなければなりません。
センターで契約書面を確認したところ、支払方法や担当者名の記載がなく、特定商取引法に定められた記載事項を満たしておらず、契約書面を交付したとはいえないため、クーリング・オフの起算日が進行していないと考えられました。このような場合、契約から2週間が経過していてもクーリング・オフを主張することは可能と説明し、通知方法についても助言しました。
センターから事業者に対し、クーリング・オフをする旨を伝えたところ、当初は認めず、残金15万円を支払うよう主張したものの結局、「出来上がった羽毛布団は返す。15万円の支払いはしなくて良い。頭金の1万5千円も本人が希望するなら返金する」との回答がありました。これに対しセンターから、クーリング・オフの場合は、本人の希望の有無に関わらず返金しなければならないことを説明
しました。
ところが後日、相談者から、「事業者が羽毛布団の返却に来たが、さらに3万円を請求されたので支払った。頭金は返金されていない」と連絡がありました。このためセンターから事業者に、クーリング・オフに基づき速やかに返金するよう改めて主張したところ、翌日、相談者宅に現金書留で4万5千円が返金され、相談を終了しました。
「訪問販売お断り」ステッカー活用を
特定商取引法や北海道消費生活条例では、販売目的を告げずに勧誘することや、断っている人への勧誘を継続することを禁止しています。また、北海道消費生活条例では、「訪問販売お断り」ステッカーを貼っている家への訪問を禁止しています。訪問販売による被害を
防ぐには、「訪問販売お断り」ステッカーを 貼ることも一つの方法です。また、クーリン グ・オフ期間が過ぎていても、勧誘方法等に問題があれば解約できる場合があります。困ったときは一人で悩まず、速やかに最寄りの消費生活相談窓口に相談を。
(10月掲載)
Q1 今日、フードデリバリーサービスのアプリから、生菓子を置き配で注文した。配達予定時間を過ぎても届かないため、菓子店に問い合わせると、配達員に渡していると言われた。アプリで確認すると配達済みになっているので、チャットでデリバリー事業者に問い合わせをしているが、返事がないため困っている。
(50代 女性)
A パソコンやスマートフォンから料理を注文し、自宅などに配達してもらうフードデリバリーの利用が増えています。注文はアプリを運営するプラットフォーム事業者が受けますが、配達は個人事業主が代行することが多いようです。
スマートフォンなどのアプリから注文した場合は特定商取引法の通信販売に該当し、事業者には取引条件等を広告に記載する義務があります。消費者には注文時に正確な連絡先を登録することや、配達指定時間に在宅していることが求められる場合もあるため、利用前によく確認する必要があります。
当センターからプラットフォーム事業者に連絡したところ、「申込時には正しい住所が登録されているため、配達員のミスと思われる、売り上げの取り消しをする」とのことでした。
デリバリーサービスの商品が届いた場合も、速やかに確認し、不足や破損等があったら写真などを残し、すぐに事業者等に連絡しましょう。
トラブルに遭ったら、早急に最寄りの消費生活相談窓口に相談を。
(10月掲載)
Q1 約 2 週間前に「火災保険を使えば無料で自宅が直せる」とスマホにメールが届いた。事業者に連絡をして調査に来てもらった際に、火災保険申請サポートの申込書にサインを求められ、「工事の見積もりは作成するが、火災保険の申請は自分で行うように」と言われた。後で書面を見ると、保険金が給付されたら、その30%を手数料として支払うことになっているが、説明されておらず、納得できない。 (70代 女性)
A この事例では、調査を依頼した事業者が、訪問後に火災保険申請サポートの勧誘をしているため、特定商取引法の訪問販売に該当します。事業者には法律で定められた事項を記載した契約書面を交付する義務があり、消費者は書面を受け取ってから
8 日間はクーリング・オフができます。
当センターで契約書面を確認したところ、クーリング・オフに関する記載がなく、書面不備と考えられたため、相談者に今からでもクーリング・オフの主張ができることを説明しました。
センターから事業者に連絡し、まだ保険申請をしておらず、解約を希望していることを伝えたところ、無条件で解約に応じるとのことでした。
台風や地震、大雪などの自然災害の後に、火災保険を利用すれば自己負担なく修理できるなどと勧誘し、高額な申請サポート手数料などを請求されるトラブルがあります。火災保険は契約者自身が保険会社に連絡し、費用の負担なく、申請することができます。ただし経年劣化による損害は給付の対象にならないため、注意が必要です。
(9月掲載)
Q1 3カ月前にネット広告を見て、お試し価格980円のダイエットサプリメントを注文した。商品が届いた後、すぐに販売店から電話があり、「1年間飲まないと効果が出ない。定期コースなら割引になる」などと勧められて、申し込みをした。電話の際に2万円のサプリメントが4回届くと説明された。定期コースの1回目のサプリメントが届き、数日間飲んでみたが、お腹が張るため、飲み続けられないと思った。販売店に解約を申し出たが、4回購入するまで解約できないと言われ、困っている。 (60代 男性)
A この事例では、最初にネット広告を見て、お試しのサプリメントを注文しましたが、後日、販売店からの電話で、当初注文していない1年コースを勧められて契約しているため、このコースについては特定商取引法の電話勧誘販売に該当すると考えられます。
特定商取引法では、事業者が電話で商品やサービスの勧誘を行う場合、勧誘前に事業者名や販売目的を告げること、法律で定められた事項を記載した契約書面を交付することが義務付けられています。一方、消費者は契約書面を受け取ってから8日間はクーリング・オフができます。
当センターで販売店のホームページを確認したところ、定期コースについては4回分を購入するまでは解約できない旨の記載がありました。相談者に契約書面にクーリング・オフや解約条件について記載されていたか確認しましたが、そのような書面をもらった覚えはないとのことでした。
センターから販売店に連絡し、体調が悪くなるため飲み続けるのが困難であること、契約書面をもらっていない場合は、今からでもクーリング・オフができることを伝えて交渉しました。販売店は「電話の際に4回購入が必要なことやクーリング・オフについて説明をしている。商品と一緒に契約書面も送付している」と主張しましたが、「事情を踏まえて特別に2回目以降の解約に応じる」と提案があり、相談者が条件を受け入れたため、相談を終了しました。
特定商取引法が改正されました
2023年6月1日より、改正特定商取引法が施行され、消費者がテレビショッピングやウェブ広告で紹介されていた商品を注文するために販売店に電話した際に、広告で紹介されていない定期購入や別の商品の購入を勧められたような場合は、電話勧誘販売に該当することになりました。
消費者庁では、「テレビで拡大鏡の CM を見て注文の電話をした際に、併せて目に良いサプリメントを勧められて購入した」といった場合などは電話勧誘販売に該当するとしています。トラブルに遭ったら、速やかに最寄りの消費生活相談窓口に連絡を。
(8月掲載)
Q1 半月ほど前、契約中の電話会社を名乗って電話があり、「インターネットを利用していない場合は、アナログ回線に戻すと基本料金が千円ほどとなり、今より安くなる」と勧誘を受けた。その後、再度電話があり、「光回線の解約料と工事手数料で合計約
4 万円になる。振込用紙で料金を支払えば、今月末に工事を行う」と言われて了承した。念のために契約中の電話会社に問い合わせると、「弊社からそのような電話勧誘は行わない。弊社に相談するだけで光回線からアナログ回線に戻すことは可能」と説明され、別会社と契約したことが分かった。
3 日前に当該事業者から届いた契約書面にはクーリング・オフに関する記載がある。解約したい。(50代 女性)
A 特定商取引法では、事業者が電話で商品やサービスの勧誘を行う場合は、勧誘前に事業者名や販売目的を告げることが義務付けられています。事業者には同法で定めた事項を記載した契約書面の交付が義務付けられており、消費者は契約書面を受け取ってから
8 日間以内はクーリング・オフができます。
相談者には、クーリング・オフ通知を発信することと通知方法について助言しました。また、当センターから事業者にクーリング・オフを行う旨を連絡したところ「アナログ戻しに関するコンサルティング契約であることは説明しており、
4 万円はコンサルティング料金である」と回答がありました。勧誘時の料金やサービスに関する説明には問題があるものの、事業者がクーリング・オフに応じたため相談を終了しました。
光回線からアナログ回線に移行する手続きは、消費者自身でNTT東日本に申し込むことができますので、費用などについては同社に問い合わせましょう。
勧誘を受けた場合は、本当に契約中の電話会社なのか、契約内容をしっかりと確認し、必要がなければきっぱりと断りましょう。
(8月掲載)
Q1 先日、スマートフォンに大手銀行からSMS(ショートメッセージサービス)で「問い合わせがあるので必ず回答してください」と書かれた本文とリンク先のURLが届いた。怪しいと思い、自分で銀行の連絡先を調べて問い合わせると「銀行からSMSを送信することはなく、詐欺なので絶対に連絡しないように」との助言を受けた。SMSは無視して良いか。 (50代 男性)
A 当該銀行の公式サイトには、銀行からSMSで会員番号などの情報入力を依頼することはなく、記載されたリンク先で会員番号などを入力すると、インターネットバンキングでの不正送金につながるため、このようなSMSは開かずに削除するよう求める注意喚起が掲載されていました。
実在する企業等をかたり、パスワードやクレジットカードなどの情報を詐取するフィッシングの手口が多く発生しています。身に覚えのないSMSやメールに記載されたURLにはアクセスせず、誤ってアクセスしても個人情報は絶対に入力しないようにしましょう。
(7月掲載)
Q1 90代の祖母が利用している介護事業所から「ヘルパーが訪問した際にリフォーム事業者の封筒を発見し高額な契約をしていた」と連絡を受けた。祖母に確認すると、8日前に住宅の困り事を解決するとのチラシを見て、電話でテーブルの修理を依頼していたとのこと。その日のうちに事業者が来訪し修理することになったが、勝手に屋根に上がり「塗装が剥げていてこのままだと雨漏りするので工事が必要」と言われたらしい。さらに、玄関ドアの傷みも指摘されて断り切れず、屋根の塗装工事と玄関ドアの交換で総額100万円を超える契約をしていたことがわかった。昨日、娘である母が事業者に電話で解約を申し出たところ、クーリング・オフの手続きをするようにと言われた。手続き方法を知りたい。(40代 男性)
A 訪問販売による契約は特定商取引法で規制されており、事業者は勧誘に先立ち事業者名や販売目的を告げなければならず、同法で定められた内容を記した契約書面を交付する義務もあります。消費者は書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフをすることができます。
相談者にはクーリング・オフは書面で通知するほかにメール等による申し出もできると説明したところ、書面での通知を希望したため、コピーを取った上で配達記録付きの郵便で通知するよう助言をしました。契約当事者からも話を聴くと「塗装をしないと雨水が漏れると言われて不安になった。玄関ドアは交換するほどではないと思っていた。テーブルの修理を依頼しただけで、他の契約をするつもりはなかった」ということでした。
当センターから事業者に連絡して、不安をあおるなどの勧誘の問題点とクーリング・オフをする旨を伝えたところ、「屋根には本人に断ってから上がった。家族に相談しなくて良いと本人が言っていた。クーリング・オフの手続きは済んでいる」との回答でした。相談者にはその旨を伝えるとともに、北海道消費生活条例では「訪問販売お断りステッカー」を貼っている家に訪問することを禁止しているため、ステッカーを玄関に貼るよう勧めて、相談を終了しました。
悪質住宅リフォーム業者に北海道が勧告
北海道環境生活部くらし安全局消費者安全課は2023年4月28日、訪問販売による住宅リフォーム契約に際し、重要事項を十分説明しない、冷静に考える時間を与えない、クーリング・オフを妨害するなどの不当な取引方法を用いた事業者(潟eーオーハウジング)に対して北海道消費生活条例に基づく勧告を行い、5月2日に事業者名を公表しました。
住宅リフォームに関しては、事業者から不安をあおられたり、契約をせかされたりするなどの相談があります。勧誘を受けてもその場ですぐに契約せず、複数の事業者から見積もりをとるなど慎重に対応し、家族や周囲の人にも相談しましょう。
困ったときには一人で悩まず、速やかに最寄りの消費生活相談窓口に相談を。
(6月掲載)
Q1 机やテレビなどを処分したいので、インターネット検索で見つけた事業者に電話をかけて、見積りを依頼したら、行ってみないとわからないと言われた。広告には「定額なので安心」と記載があるが、悪質な業者もいると聞いたので、心配になった。(20代 男性)
A 不用品回収サービスに関する相談が増えており、独立行政法人国民生活センターで注意喚起しています。当センターにも、「ネットやチラシ等の広告では『10,000円の定額パック』『トラックに詰め放題』などと記載されていたが、事前の見積りを依頼しても『トラックに積んでみないとわからない』答と言われた」、「作業後に『別途処分料がかかる』『繁忙期のため割増料金になる』などと言われ、事前に説明のなかった高額な料金を請求された」との相談が寄せられています。
不用品の回収や運搬は、市町村による「一般廃棄物処理業」の許可等が必要です。またテレビや冷蔵庫などについては、家電リサイクル法に基づいて、適切な処理をする必要があります。不用品の処分でわからないことがあれば、市区町村のホームページや担当部署に確認しましょう。事業者に依頼する際は、複数社から見積りを取り、追加料金やキャンセル料についても事前に説明を受けましょう。
トラブルに遭ったら、早急に最寄りの消費生活相談窓口に相談を。
(6月掲載)
Q1 3 カ月前に、ネット広告を見て、100円の経済関連の書籍をクレジットカード払いで購入した。先月、この事業者名で2,000円を決済したとカード会社からメールが届いた。調べてみると2 か月前にも同様の請求があったが、購入した覚えがなく、商品も届いていない。返金してほしいが、電話がつながらない。(60代 男性)
A 通信販売は特定商取引法で規制されており、事業者は広告にサービスの内容や価格、提供時期や解約の条件などを表示する義務があります。またサブスクリプション(サブスク※)の場合は一定期間を区切って、支払総額を表示する必要もあります。
電話がつながらなかったため、センターからFAX で事業者に連絡したところ、折り返しの電話があり、相談者が申し込んだのは動画サイトのサブスクで、契約をした人に格安で書籍を販売しているとの説明でした。相談者はサブスクの申し込みをした覚えがないため、その分を返金してほしい旨を伝えたところ、事業者がこれに応じました。
このほかにも、無料のトライアルに登録後、有料のサブスクに移行していることに気づかなかったなどの相談もセンターに寄せられています。利用していないサブスクの支払いがないか、クレジットカードや携帯電話の請求明細を毎月確認しましょう。
※サブスクリプション 一定額を定期的に支払うことで、継続的に商品やサービスを利用できるサービス
Q1 2年前に脱毛エステの18回コースを契約した。3日前に、予約をしてから店に行ったところ、運営会社が変わったので、今回は無料で施術をするが、残りの3回分を受けるためには追加料金を支払ってもらう必要があると言われた。脱毛器とセットのコースで、脱毛器は半額にすると説明され、クレジットカードで10万円を決済したが、契約書面やカードの利用控えをもらっていない。脱毛器は必要ないし、高額なコースの契約に納得できないので、解約したい。(30代 女性)
A この事例のように、事業譲渡によりエステの運営会社が変わり、元の契約条件では施術が受けられなくなり、新たな契約を求められることがあります。
特定商取引法では、契約金額が5万円を超え、サービス提供期間が1カ月を超えるエステ契約について、特定継続的役務提供として規制しています。事業者には、契約締結までにサービス内容や料金等を記載した概要書面と、契約締結後は速やかに契約書面を交付する義務があります。
一方、消費者は契約書面を受け取ってから8日間はクーリング・オフができます。クーリング・オフ期間経過後も、利用済みのサービス料金と一定額以内の違約金を支払えば中途解約が可能です。エステの効果を高めるために契約した脱毛器は、関連商品として解約の対象となります。
契約書面等が渡されていなかったため、相談者にエステサロンのサイトで契約内容を確認してもらったところ、エステは3回分で6万円となっていましたが、脱毛器については記載されていませんでした。
相談者にクーリング・オフ通知を送付してもらい、センターから事業者に連絡をしたところ、店舗で契約した脱毛器は解約できないとの主張でした。脱毛エステと脱毛器をセットで勧誘しているので、関連商品としてクーリング・オフの対象になるのではないかと交渉したところ、事業者がこれを認め、後日、クレジットカードの売り上げがキャンセルになったことを確認し、相談を終了しました。
脱毛エステに関する相談が急増!!
脱毛エステに関する相談が、若年者を中心に増えています。「2年間通い放題」などと勧誘され、長期間にわたる高額なコースを契約すると、この事例のように運営会社が変わったり、事業者が倒産したりして施術が受けられなくなったり、未施術分の返金を求めるのが難しくなることがあります。
通い放題のコースと説明されていても、契約書面には施術期間や回数が記載されていて所定の回数以降は無料のアフターサービスとなっていることもあります。途中で解約しようとしても、所定の回数を消費していることを理由に返金されないといった相談も寄せられています。
エステの契約は比較的長期にわたることがありますので、契約する際は、施術内容だけでなく、施術期間や回数、1回あたりの料金、途中で解約する際の条件などをよく確認しましょう。
トラブルに遭ったら、速やかに最寄りの消費生活相談窓口に連絡を。
(4月掲載)
Q1 クリーニング店にコートを出す際に受付で状態を確認していたが、3
日後にコートが破れているとの連絡を受けた。受付時に説明がなかったが、どうしたらよいか。(40代 女性)
A 全国クリーニング生活衛生同業組合連合会が作成したクリーニング事故賠償基準では、クリーニング事業者は、洗濯物の受け取りをしようとする時は洗濯物の状態を利用者とともに確認しなければならないとされています。
当センターからクリーニング事業者に連絡を取ったところ、この件は対応が保留となっていたので、責任者から至急連絡をさせるとのことでした。その後、相談者から、「責任者から連絡があり、コートの破れている部分の補修を行うとの提案があり、納得した」との報告を受け、相談を終了しました。
クリーニング品を預ける際には相互確認をしっかりして、トラブルを防ぎましょう。
トラブルに遭ったら、早急に最寄りの消費生活相談窓口に相談を。
(4月掲載)
Q1 不動産会社に自宅を売却して賃貸借契約を交わすと、そのまま自宅に住み続けることができるリースバックという形態があるようだ。売却を検討中で賃貸借契約については決めかねているが、契約の際の留意点を教えてほしい。
(60代 女性)
A 自宅のリースバックとは、事業者に自宅を売却して売却代金を受け取ると同時に賃貸借契約を交わして、家賃を支払いながら引き続き自宅に住む仕組みです。
リースバックのメリットとしては、売却した際にまとまったお金を得ることができるため、老後の生活資金等に充てられることが挙げられます。また、賃貸借契約になるため、住み続けても固定資産税や火災保険料、住宅の修繕費用などの負担は原則必要がなくなります。
一方で、注意点もあります。自宅は自分のものではなくなるため、事業者に承諾なく自由に設備を変えることはできません。また、引き続き自宅に住んでいても、設定した賃貸借期間の終了後に必ず契約が更新される保証はありません。売却した自宅の買い戻しが可能と説明を受けていても、さまざまな条件があったり、売却価格より買い戻し価格が高くなったりして、買い戻しができない可能性もあります。なお、自宅の売却は宅地建物取引業法に基づくクーリング・オフの適用はありません。
相談者には以上の点を説明して、慎重に検討するよう伝えました。
なお、リースバックと似たものとして、リバースモーゲージがあります。これは、自宅を担保に入れて融資を受けた契約者が死亡後、担保とした自宅を売却して債務を一括返済する仕組みです。ただし、契約内容によっては売却しても負債が残り、相続人に負担が発生する可能性もありますので、十分注意が必要です。
(3月掲載)
Q1 80代の母が、7日前に来訪した事業者から新聞購読の勧誘を受けたと、母と同居する姉から連絡があった。玄関には「訪問販売お断りステッカー」を貼っており、姉は断ったが、販売員が「3カ月間のお試しはどうですか。自分は一人暮らしなので1件でも契約を取らないと生活が苦しい」などと勧誘を続け、同情した母が購読契約に応じて、景品として洗濯用洗剤を渡された。しかし母は新聞を読まないため、新聞購読は必要ないのではないかと母と話し合い、解約することにした。クーリング・オフの方法を知りたい。
(50代 男性)
A 訪問販売による契約は特定商取引法で規制されており、事業者は勧誘に先立ち事業者名や販売目的を告げなければならず、同法で定められた内容を記した契約書面を交付する義務もあります。消費者は書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフをすることができます。また、同法や北海道消費生活条例では、断っている人に対して勧誘を継続することや、後日あらためて勧誘をすることは禁止されています。
北海道消費生活条例では、「訪問販売お断りステッカー」を貼ることは勧誘拒絶の意思表示とみなして、ステッカーを貼っている家に訪問して勧誘を行うことは不当な取引方法として禁止しています。
相談者にはクーリング・オフ通知の書き方について説明し、コピーを取った上で配達記録付きの郵便等で通知するよう助言をしました。また、当センターから事業者に連絡して、勧誘の問題点とクーリング・オフをする旨を伝えたところ、「クーリング・オフとして処理をする。今後の勧誘は控えることにする。景品として渡した洗濯用洗剤は返品しなくても良い。」とのことでした。相談者には、事業者の回答と、引き続き玄関付近に「訪問販売お断りステッカー」を貼っておくよう伝えて相談を終了しました。
なお、新聞公正取引協議会と日本新聞協会が策定した「新聞購読契約に関するガイドライン」では、認知症などで判断力が不足している方が契約したときや「威迫や不実告知など、不適切な勧誘」などにより契約した場合のほか、購読が困難になる病気など考慮すべき事情がある場合は、解約に応じるべきとしています。
クーリング・オフは電子メールなどでも可能に
特定商取引法が改正され、2022年6月1日からクーリング・オフは書面だけではなく、電子メール、FAX、ウェブフォーム等の電磁的記録による通知も行えるようになりました。契約書に具体的な通知方法が記載されている場合は、それらを参照した上での通知となります。送信メールやウェブフォームのスクリーンショットを証拠として保存しておきましょう。
トラブルに遭ったら、速やかに最寄りの消費生活相談窓口に相談を。
(2月掲載)
Q1 6 年間居住した賃貸マンションを退去した際、立ち会った管理会社からタバコとペットの犬による臭いや汚れがあるため修繕費を請求すると言われた。後日、壁と天井のクロス、タイルカーペットの貼り替え代など約40万円を請求されたが、高額で納得できない。 (30代女性)
A 賃貸住宅を退去する際の内装や設備等の原状回復義務については、国土交通省が修繕費用の負担ルールとして「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を定めています。
ガイドラインによると、借主の故意・過失による破損の場合は借主負担になりますが、経年変化や通常損耗によるものは、貸主負担と考えられています。ただし、ペットによる傷や汚れ、臭い等は通常の使い方を超えているとして、借主負担で修繕が必要になる場合があります。建物や設備等の価値は時間とともに減少しているため、経過年数を考慮した負担割合の減額について貸主と交渉することは可能と考えられます。
相談者には賃貸借契約書の原状回復に関する記載(ペット可の物件では特約で消毒料などの負担を求められる場合があります)を確認した上で、負担割合を減らしてもらえないか話し合ってはどうかと助言しました。
なお、宅建業法の改正で2022年5 月より、契約時の重要事項説明書は電子交付による提供が可能となりました。この書面には契約内容だけでなく、修繕に関する特約等の重要な事項も記載されていますので、契約前によく確認する必要があります。
トラブルに遭ったら、早急に最寄りの消費生活相談窓口に相談を。
(2月掲載)
Q1 6 日前に父が、自宅に来た事業者から排水管の高圧洗浄を勧められて1 万円で契約。4日前に洗浄作業をしてもらった後、排水管に穴が開いているので工事が必要と言われ、15万円の工事を契約した。不審に思い、水道局に相談したら、「地盤沈下でも起こらない限り、穴が開くことは考えにくい」と言われた。工事を解約したい。( 40代 女性)
A 訪問販売で排水管の洗浄や工事を契約した場合は、特定商取引法が適用されるため、法律で定められた事項を記載した書面を受け取ってから8 日以内であれば、クーリング・オフができます。
契約当事者である父にその旨を説明し、洗浄作業もクーリング・オフできるので、書面で通知するよう助言しましたが、既に洗浄作業は終わっているので、排水管工事だけ解約したいとのことでした。書面を送付した後、センターからも連絡し、事業者がクーリング・オフに応じたことを確認しました。
このほか、最近では「水道局を名乗る電話でトイレの水漏れを指摘され、派遣された業者に修理代を支払ってしまったが不審」といった相談も寄せられています。自治体が特定の事業者を派遣したり、有料で点検や修理を行ったりすることは考えられません。水道関係で困った場合は、慌てず、自治体の指定工事事業者などを調べて工事の必要性などをよく確認した上で対応しましょう。
簡単にもうかると勧誘され…高額なサポート付転売ビジネスの契約をやめたい
(1月掲載)
Q1 5日前に、インターネット検索した副業紹介サイトに登録し、クレジットカードで登録料の3,000円を決済した。後日、担当者から電話があり、「1日1〜2時間の作業で必ずもうかる」と転売ビジネスを勧められた。「在庫は不要、サポート付きプランなら月7〜8万円稼げる」などと3時間ほど説明され、断り切れずに60万円のプランを契約した。カードと現金振込で50万円を支払い、残り10万円の支払いはいつでも良いと言われた。不安になったので解約を申し出たら、作業をしてからでなければ返金できないと言われ、困っている。(50代 女性)
A インターネット通販等で仕入れた商品をフリマサイト等で販売する「転売ビジネス」に関する相談が全国の消費生活センターに多数寄せられています。 この事例の場合、副業紹介サイトへの登録は特定商取引法の通信販売に該当し、担当者からの電話で勧められた転売ビジネスについては、同法の電話勧誘販売に該当する可能性があると考えられます。電話勧誘販売の場合、事業者は法律で定められた内容を記載した書面を交付する義務があり、消費者は書面を受け取ってから8日間はクーリング・オフ(無条件解約)ができます。
相談者に書面で解約を申し出るよう助言し、センターから事業者に連絡したところ、「本人の要望で電話をしたので電話勧誘販売ではない。クーリング・オフには応じられない」との主張でした。簡単にもうかるなどと勧誘しているのは問題ではないかと伝えて、交渉を重ねたところ、「クレジット決済した40万円分をキャンセルする。残りの10万円は請求しない」と提案がありました。クーリング・オフの場合は、本来全額がキャンセルとなり、支払った分は返金されるものですが、事業者は最後までクーリング・オフを認めず、相談者がこの条件で合意しました。後日、クレジットカードの請求が取消しされたことを確認し、終了しました。
うまい話はありません!借金だけが残ることも
この他にも「SNS で暗号資産(仮想通貨)の取引や投資等で簡単にもうかると勧誘され、高額な情報商材のマニュアルを契約してしまった」「マッチングアプリで知り合った異性から、投資取引のための自動売買ツールを勧められて契約したが、トラブルになった」などの相談が寄せられています。 「お金がない」と断っても、「毎月のもうけで、すぐに返済できる」「リスクはない」と説明され、次々とクレジットカードを使わせられたり、複数の消費者金融で借り入れする方法を指南されたりして多重債務になってしまったとの相談もあります。事業者が解約や返金に応じなければ、借金だけが残ることになります。
簡単にもうかるといったうまい話はありません。トラブルに遭ったら、速やかに最寄りの消費生活相談窓口に連絡を。