(12月掲載)
Q1 昨日、契約中の大手電力会社を名乗って、「電気代が安くなる。見積をするので検針票をファックスしてほしい」と電話がきた。ファックスがないと伝えると、「スマホで検針票を撮影し、画像を送って」と言われ送信した。その後、おかしいと思い、契約先が他の会社に変わるのではないかと不安になった。契約先を変えるつもりはないが、どうしたらよいか。
(80代 女性)
A 特定商取引法(特商法)では、事業者が電話で商品やサービスの勧誘を行う場合、勧誘前に事業者名や販売目的を告げることが義務付けられています。また、事業者には法律で定められた事項を記載した契約書面の交付を義務付けており、消費者は書面を受け取ってから8
日間は、クーリング・オフできます。
相談者には、小売電力の勧誘の可能性があることと、クーリング・オフが可能であることを伝えました。センターから相談者の着信履歴に残っていた電話番号にかけると、契約中の電力会社ではなく小売電気事業者の代理店でした。勧誘時に大手電力会社を名乗っていることや、電気代が安くなるとだけ言って販売目的を告げていない等の問題点を伝え、契約する意思がないことと、今後の勧誘を断る旨を伝えました。代理店からは「見積の計算段階で、契約には至っていない。今後の勧誘も控える」との回答があり、相談者に伝えました。
小売電気事業者の勧誘では、検針票の記載情報を求められる事例が多く見受けられます。検針票には顧客番号や供給地点番号などの重要な個人情報が記載されており、これらの情報によって新たな電力会社との契約が可能になります。勧誘を受けた場合は、すぐに検針票などの情報を伝えず、会社名や料金プラン等を確認するなど慎重に対応しましょう。
(12月掲載)
Q2 1 週間前、独居の80代の母が、電話でグルコサミンの健康食品を勧誘され、要らないと断ったようだが、昨日、商品と契約書、振込用紙が届いた。返品したいがどう対応したらよいか。
(50代 男性)
A 特商法と北海道消費生活条例(道条例)では、電話勧誘販売で契約を断った消費者に対し、勧誘を続けることや、その後改めて電話をかけて勧誘することを禁止しています。また道条例では、消費者に対し注文していない商品を一方的に送付し、その代金を請求することも禁止しています。
相談者の母親に話を聞いたところ、しつこく勧誘されたが、何度も断ったとのことでした。センターから事業者に連絡し、勧誘時の問題点や返品を希望している旨を伝えたところ、「手違いで送った可能性があるので、商品は着払いで返品してほしい。今後の勧誘は停止する」との回答がありました。その旨を相談者に伝え、後日、相談者が商品を返品し
たことを確認し、相談を終了しました。
電話勧誘を受けても、契約するつもりがなければきっぱりと断りましょう。また、断りきれず契約してしまった場合や、注文した覚えのない商品が送られてきたなど、トラブルになった場合は、最寄りの消費生活相談窓口にご相談ください。
(11月掲載)
Q1 今日、 スマートフォンで動画サイトの広告を見て、 初回10円のバストアップに効果があるというサプリメントをクレジットカード決済で注文した。1回限りのサンプルだと思っていたが、
注文確認メールが届き最低6回、合計金額25,000 円の定期購入であることに気付き驚いた。10 日間の返金保証制度があるようだったので 解約しようと電話したがつながらず、Web フォームからも連絡したが返信がない。どうしたらよいか。(20代 女性)
A インターネットなどを利用して商品を購入する通信販売は、特定商取引法で広告規制があり、事業者の名称や住所、 電話番号、商品の価格、返品の可否や返品できる場合の条件などを消費者に分かりやすく表示するよう求められています。
また、定期購入契約の場合には、申し込み画面や確認画面に定期購入である旨や、商品の引き渡し回数、 1回あたりの商品代金や総額等の条件を記載しなければなりません。
当センターで事業者のホームページを確認しました。広告には大きく「10 円」と赤字で表示され、 定期購入であることや総額については画面の一番下の方に小さく書かれていて、何度もスクロールしなければ見られず、大変分かりにくいと考えられました。
当センターから事業者に連絡したところ、発送完了メール送付日から10 日以内であれば、 返金保証制度を利用できるが、返品送料と返金手数料は契約者負担になると説明がありました。センターから、
相談者が注文後すぐにキャンセルを申し出ているので発送を止めてほしいことや広告が分かりにくいことを伝えて交渉したところ、 事業者から初回分の10 円を支払ってもらえれば、2回目以降の分は解約手続きを行うと提案がありました。
相談者は、返金保証制度を利用するよりも負担が少ないので、この条件で解約したいとの意向でした。
提案に合意する旨を伝え、事業者が解約手続きをしたことを確認し終了しました。
インターネットなどの通信販売では定期購入と気付かず契約してしまい、後日、 トラブルになるケースが後を絶ちません。商品を注文する際は、定期購入が条件となっていないかなど契約内容についてしっかり確認しましょう。
通信販売の場合、クーリング・オフはありませんので、返品の可否、解約できる期間や条件、事業者への連絡方法もよく確認し、 広告や申し込みの確認画面などを印刷したり、スクリーンショットで保存するなどして契約内容を記録しておきましょう。
トラブルに遭ったら、速やかに最寄りの消費生活相談窓口に相談を。
(10月掲載)
Q1 SNS
で連絡を取っていた女性から携帯電話を買い替えるので別のサイトでのやり取りをしようと誘われた。サイト内では、アドレスを交換するために3,000円分のポイントが必要で、クレジットカードで決済した。しかし、指示されたキーワードを入力する操作でミスがあった等の理由でアドレスが交換できず、次々にポイント代金を請求され総額7
万円を支払った。インターネットで調べると同様の手口は出会い系サイトのサクラサイトといわれるものだと分かった。だまされたと思うので、返金してほしい。(50代 男性)
A 出会い系サイトで何度もポイントを購入しても結局連絡先は交換できず、高額な被害になることがあります。相手は何者かになりすましたサクラと考えられることから、このようなサイトは「サクラサイト」と呼ばれます。
相談者には、カード会社に請求の保留を求めること、また、決済代行会社とサイト運営会社には返金交渉をすることになるため、サイトを利用することになった経緯を書面にまとめる必要があることを説明しました。その後、センターが決済代行会社と交渉したところ、「決済代金7
万円全額のキャンセル処理を行った」との連絡がありました。相談者には、この旨と、万が一キャンセルされていない場合には連絡するよう伝えて相談を終了しました。
(10月掲載)
Q2 パソコンでインターネットを見ていると突然画面上に「ウイルスが検知された」との警告文と電話番号が表示されたので、慌てて電話をした。すると、たどたどしい日本語の外国人が対応し「パソコンのOSマークとR のキーを押してください」と言われたので詐欺ではないかと不審に思い電話を切った。パソコンにはセキュリティソフトをインストールしているが、ウイルスを探知したとの表示はなかった。電話した際に個人情報は伝えていないし、パソコンは使用できる状態だが、このままで大丈夫か。
(40代 女性)
A 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、広告に偽の警告画面を表示させ、ウイルスサポートやソフトをダウ
ンロードさせて不当な請求をする手口についてホームページで注意喚起しています。
相談者には、IPA の注意喚起を説明するとともに、今回はウイルスには感染していないと考えられることと、今後、事業者から連絡があっても対応しないよう助言しました。
なお、同様の手口で、万が一決済のためにクレジットカード番号を教えた場合には、連絡先となっている事業者だけでなくカード会社にも連絡する必要があります。
このようなトラブルを避けるためには、普段から利用しているセキュリティソフトを最新の状態にしておき、セキュリティソフトによる警告ではない場合は偽の警告画面の可能性が高いので、画面の指示に従わないよう注意しましょう。
トラブルに遭ったら、早急に最寄りの消費生活相談窓口に相談を。
(9月掲載)
Q1 父が1年半前に自宅を訪問した事業者から「電話代が安くなる」と説明され、光回線を契約していた。逆に料金が高くなったと思っていたが、契約したので仕方ないと支払いを続けていたようだ。しかし、父は80代でインターネットは利用しないため、光回線は必要なかったと思う。高齢者住宅に転居することになったため、解約を申し出たら、「契約から3年以内に解約する場合の違約金や工事費の残債は支払ってもらう」、「2万円のキャッシュバックを受け取っているので、違約金がかかる」と合計6万円を支払うように言われたが、納得できない。(50代 女性)
A 光回線の契約は電気通信事業法で規制されています。電気通信事業者には、契約前に料金や提供条件の説明義務、契約後には契約内容を明らかにする契約書面の交付義務があります。また、高齢者など配慮が必要な消費者にはわかりやすく説明する義務もあります。
契約当事者である父親に契約時の状況を確認したところ、契約したサービス料金について詳しい説明を聞いた覚えはない、解約料がかかることも知らなかったとのことでした。当センターから電気通信事業者に連絡し、勧誘時の説明が不足していることや、契約者の利用状況に適合しない契約だと考えられることから、違約金なしで解約できないかと伝えました。それに対し、事業者は契約内容について説明しているし、書面も送付しているので問題はないと主張しました。重ねて問題点を伝えて交渉したところ、最終的にキャッシュバック分の違約金1万4,000円だけ支払ってほしいと提案がありました。契約者が合意し、機器等の返却手続きを行い終了しました。
光回線の勧誘に関しては、大手電話会社と思って契約したら別の事業者だった、よく分からないまま次々契約先が変わっていたなどの相談も寄せられています。
電話勧誘や訪問販売で契約を急かされても、本当に必要なサービスかどうかよく考え、契約に疑問を感じたら、その場ですぐに申し込みせず、家族などに相談しましょう。
なお、電気通信事業法では、光回線など一定の範囲の電気通信サービスについては、契約書面を受け取った日から8日間は契約解除することが可能です。ただし、工事費や利用したサービスの利用料などを支払う義務が生じます。
さらに、令和元年10月1日から、光回線や携帯電話サービスなどの販売を行う代理店は、総務省への届出が必要になったほか、説明書面等に代理店の名称や連絡先、届出番号などを記載する義務もあります。勧誘を受けたら、相手の事業者名や連絡先等を確認しましょう。契約書面等が送付されたら、内容をよく確認することも大切です。
トラブルに遭ったら、早急に最寄りの消費生活相談窓口に相談を。
Q1 ガソリンスタンドの代金をプリペイドカードで支払っていた。その後、そのスタンドを3 年以上使っていなかったので、カード発行会社に残高の返金を求めたが、期限が切れてしまったので応じられないと断られた。期限があるとは知らなかったので納得できない。
(40代 男性)
A プリペイドカードや、商品券等は前払式支払手段として資金決済法の規制を受け、発行者名、支払い可能金額、有効期限、問い合わせ先、利用上の注意などを周知することとされています。サービスの提供を終了する場合など特別な場合を除いて原則払い戻し(換金)はできません。
当該プリペイドカード発行事業者の利用規約には「チャージ金額は原則換金しない。最終利用日より1
年間でカードは失効し、残高はその後2 年間、経費を引いて換金できる」と明記されていました。
相談者が所持しているプリペイドカードは規約に定められた期間を経過しているため、払い戻しを求めるのは難しいと伝えました。プリペイドカードや商品券の券面に記載されている有効期限や注意書きをよく確認しましょう。
トラブルに遭ったら、早急に最寄りの消費生活相談窓口に相談を。
(8月掲載)
Q1 大手通販サイトからメールが届いたが、最初はよくある詐欺メールかと思い無視していた。しかし、改めて内容を確認すると「モニタリング調査でお客様のアカウントが無断でアクセスされた可能性があると判明した」とあり、決済されたクレジットカード会社名とカードの末尾番号が記載されており、私のクレジットカードのものと一致していた。そこで、クレジットカードのWeb請求明細を確認すると確かに大手通販サイトでオンラインゲーム利用券を複数回購入されており、金額もメールの記載と一致していた。不正ログインされ、実際にクレジットカードで決済されたようだ。どうしたらよいか。(40代 男性)
A 今回、相談者に届いたメールは相談者のカード情報やカード会社の請求明細と一致するため詐欺などではなく、本物と考えられました。そこで相談者には早急に、カードの裏面に記載されたカード発行会社に連絡し、経緯を説明して、カード番号の変更と、不正利用分のキャンセル処理を依頼するよう助言しました。その後、相談者から「カード会社から調査した上で不正利用が確認でき次第、キャンセル処理すると回答があった。併せてカード番号の変更手続き中である」と報告がありました。後日、Web 明細から通販サイトの請求分が取り消されたことを確認し相談を終了しました。
今回のメールは本物でしたが、大手通販サイトなど実在の事業者名を騙って、カード情報やサイトのID・パスワードなどをだまし取ろうとする詐欺メールに関する苦情が全国の消費生活センターに寄せられています。本物か詐欺メールか判別が難しい場合もあります。通販サイトのホームページやカード会社の請求明細をこまめに確認するなど慎重に対応しましょう。
(7月掲載)
Q1 4日前、「よれよれのT シャツや毛玉の付いたセーターがあれば100円でも200円でも買い取ります」と事業者から電話があった。買い取りトラブルのことを思い出して、貴金属は売らないことを約束して事業者の来訪を承諾したところ「30分後に2名の営業員が行くので用意しておいてください」と言われたので、衣類等を玄関に出しておいた。
後刻、事業者が来訪し、出しておいた衣類等を買い取り商品用の箱に入れた。その後、「貴金属を見せてください。写真を撮り本部に送る必要があるので」と言われ、ネックレスと指輪を見せた。すると事業者は「宝の持ち腐れだ」と言って、買い取り商品用の箱に勝手に入れたので、「母の形見なので売る気はない」と言ったが聞き入れてくれなかった。訪問から2時間も経って疲れてしまい、早く帰ってほしくて仕方なく買い取りに応じ、総額3万円で売却し、契約書面を受け取った。しかし、貴金属は売りたくなかったので返してほしい。解約できるか。(70代 女性)
A 事業者が消費者の自宅を訪問し、物品を買い取る取引は、特定商取引法により訪問購入として規制されており、勧誘に先立ち、事業者名、勧誘の目的、買い取る物品の種類を明らかにする必要があり、来訪した際に事前に依頼していない物品を買い取ることは禁止されています。同法では、事業者は法律で定められた項目が記載された書面を交付する義務もあり、消費者は書面を受け取ってから8日間はクーリング・オフが可能です。また、消費者は契約したとしても、事業者が買い取る物品(この事例では衣類等と貴金属)をすぐに引き渡さず、クーリング・オフ期間内は手元に置いておくことができ、業者はその旨を説明しなければなりません。また、北海道消費生活条例では、消費者が承諾していないにもかかわらず、長時間にわたり住居にとどまり、繰り返し説得して勧誘することは不当な取引として禁止しています。
相談者には今回の契約はクーリング・オフが可能であることを伝え、クーリング・オフ通知の書き方を説明し、コピーを取って簡易書留郵便等で事業者に送付するよう助言しました。当センターからも事業者に連絡して、電話で約束していない貴金属の買い取りをしていること、長時間にわたる勧誘を行っていること、説明が不足していること等の問題点について指摘し、クーリング・オフしたことを伝えました。後日、事業者から買い取りした物品すべてが返品されたことを確認し、相談者が3万円を返金して終了となりました。
この事例のように、訪問買い取りのトラブルの相談が依然として寄せられています。勧誘を受けても不必要な場合はきっぱりと断りましょう。
トラブルに遭ったら、早急に最寄りの消費生活相談窓口に相談を。
(6月掲載)
Q1 インターネット通販で50枚入りマスクを2
箱注文し、コンビニから代金5,600円を支払った。発送予定日から10日過ぎても発送されず、販売サイトの連絡フォームを使って解約を申し出たが返事がない。販売店に電話をしたいが、サイトに電話番号が書かれていない。詐欺だと思うので返金してほしい。
(70代 男性)
A インターネットなどを利用して商品を購入する通信販売は、特定商取引法で広告規制があり、事業者の名称や住所、電話番号、商品の価格、返品の可否や返品できる場合の条件などを、消費者に分かりやすく表示するよう求められています。
相談者は、大手通販サイトを通して購入していたため、カスタマーサポート窓口に商品が届かず販売店とも連絡が取れないので、返金してほしい旨を申し出るよう助言しました。その後、カスタマーサポート窓口で調査した結果、全額返金されることになったと連絡がありました。
通信販売をめぐっては、「注文した個数と違っていた」、「届いた商品が偽物だった」などのトラブルも寄せられています。また、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、マスクや消毒液などに関する相談も増えています。
通信販売のトラブルは、相手と連絡が取れなければ解決は難しいことが多いため、正確な運営者情報が記載されているか事前に確認するとともに、広告画面や注文履歴を保存しておきましょう。
トラブルに遭ったら最寄りの消費生活相談窓口へ。
(6月掲載)
Q2 携帯電話に債権回収会社を名乗る電話があり、「1 年前に登録した投資会社に350万円の未払い金がある。払えないなら無料で解決する」と言われ、住所、生年月日などの個人情報を教えてしまった。途中でおかしいと気付き、警察や消費生活センターに相談すると言ったら電話が切れた。個人情報を悪用されないか心配だ。
(70代 女性)
A 相談者は、この投資会社に登録した覚えがないとのことでした。債権回収会社のほか弁護士や公的機関などをかたり、被害回復や情報削除の名目で個人情報を聞きだそうとする手口があることを説明しました。また何らかの名目費用を請求するなど不審な手口の可能性があるため、無視して様子をみるよう助言しました。今後、事業者から連絡があったり、個人情報が悪用されるようなことがあれば、センターや警察に相談するよう伝えました。
最近では新型コロナウイルスの特別定額給付金や助成金に便乗して、住所やマイナンバーなどの個人情報を聞
きだそうとしたり、代行手続きの費用を支払わせようとする手口もみられます。
行政機関が電話やメールでマイナンバーやキャッシュカードの暗証番号などを聞いたり、給付のための手数料を請求することは絶対にありません。行政職員、あるいは行政から委託されたとかたる業者などからの電話や訪問、心当たりのない送信元からのメールなど、怪しい、おかしいと思ったら早めに相談しましょう。
(5月掲載)
Q1 4カ月前、SNS で知り合った人から「インターネットでできる副業に興味はないか。安心な投資がある」等と勧誘され、カフェで会うことになった。男性2人から「海外のギャンブル情報が配信されるので、その通りに賭けるだけ」と説明され、20歳になったばかりで経済的に困っていたこともあり、契約することにした。情報の配信費用として30万円程度かかるので、クレジットカードと消費者金融のローンカードを作って支払うよう指示された。一緒にコンビニのATM に出向き、これらのカードでキャッシングしたお金を手渡して契約書をもらった。しかし、家族から反対されたので、その4 日後にクーリング・オフをしたいとSNS で伝えたが、「友達に紹介すると報酬が得られるから続けた方がいい」と説得された。最初の話と違うことで不審に思うし、キャッシングの返済も大変なので解約して返金してほしい。(20代 女性)
A 電話やSNS 等で販売目的を明示せずに呼び出して契約させる行為は、いわゆるアポイントメントセールスとして、特定商取引法の訪問販売に該当します。訪問販売を行う事業者には、勧誘に先立ち勧誘目的や事業者名を告げること、同法で定められた事項を記載した書面の交付等が義務付けられています。消費者は、書面を受け取った日から8日間以内はクーリング・オフができますが、契約を続けるように説得されたような場合には、8日間を過ぎてもクーリング・オフを主張することができます。また、同法では消費者の知識、収入等にそぐわない商品やサービスの勧誘をしてはならないとされています。
当センターから事業者に連絡をして、すでにクーリング・オフの申し出をしていること、勧誘方法に問題があることなどを伝えて交渉しました。事業者は合意書を交わせば全額返金すると主張しましたが、当センターからはクーリング・オフは無条件解約であり、合意書を交わす必要はないと伝え、了承されました。相談者には念のため書面でクーリング・オフ通知を送付しておくよう助言し、後日返金された代金でキャッシングの返済をしたことを確認の上、相談を終了しました。
・「必ず儲かる」話はありません!
最近は、友人や先輩、SNS、サークル等で知り合った人から「会わせたい人がいる」「セミナーに行こう」等と誘われて投資ビジネスの儲け話を持ちかけられという相談も寄せられています。暗号資産(仮想通貨)や海外の不動産投資など実態が不明な儲け話も多く、「お金がない」と断っても、消費者金融で借金させたり、クレジットカードで決済させたりするなどして契約させるケースが見られます。簡単にお金を稼げるという話はありませんので十分注意してください。 トラブルに遭ったら、早急に最寄りの消費生活相談窓口に相談へ。
(4月掲載)
Q1 4 か月前に訪問販売で新聞購読の勧誘を受けた。一人暮らしで新聞は読まないと断ったが、話だけでも聞いてほしいと言われ、トイレットペーパーや米などを渡され、断り切れず契約した。配達されるのは2か月先からだが解約したい。玄関には訪問販売お断りのステッカーを貼っていた。 (70代 女性)
A 訪問販売で契約した場合、特定商取引法が適用され、法律で定められた事項が記載された書面を受け取ってから8 日間はクーリング・オフができます。同法では、断った人へ勧誘を続けることも禁止しています。
また、北海道消費生活条例では、訪問販売お断りステッカーは、勧誘を断っている意思表示とみなし、このステッカーを貼っている家への勧誘を禁止しています。
今回の相談ではクーリング・オフ期間は過ぎていましたが、断っているのに勧誘を続けていることに問題があると考えられました。その旨を伝え販売店と交渉したところ、販売店が解約に応じ、残っていた景品を返還し終了しました。
訪問販売を断りたい場合は、ステッカーを活用しましょう。
トラブルに遭ったら最寄りの消費生活相談窓口へ。
(4月掲載)
Q2 3 年半前に5 万円で購入したダウンコートをドライクリーニングに出したところ、ふちの部分が、はがれてぼろぼろになってしまった。店にコートを預ける際に劣化の可能性があると言われたが、大丈夫だろうと思い預けた。クリーニング店と交渉し購入額の半額の賠償金を受け取ったが、コートは返却しないと言われ納得できない。
(60代 女性)
A クリーニング事故があった場合、一般的には全国クリーニング生活衛生同業組合連合会が作成した「クリーニング事故賠償基準」に則って賠償額が提示されます。賠償額は、同じ品質のものを事故発生時に購入する場合の価格をもとに、購入してからの月数などを考慮して算定されます。
コートのふちの部分の素材を確認すると、ポリウレタンを含む合成皮革が使われていました。ポリウレタンは製造されてから通常2〜 3 年の経過で劣化しやすい性質があります。今回は、店の説明が十分ではなかったため、クリーニングの事故賠償基準などを参考に半額の賠償がされたようでした。
賠償金を受け取った場合、その品物の所有権は消費者から事業者に移るため、原則返却してもらえません。返却を希望する場合、店側と話し合うことになりますが、一般的には賠償額が減額されます。
クリーニング店に預ける際は、シミや汚れの状態、衣類の付属品などについて伝え、預かり証を受け取りましょう。また品物を受け取る際には、預けた品物の数や状態を確認することも大切です。
(3月掲載)
Q1 2日前、テレビショッピングを見ていると、サポーターが今だけ半額と案内されていたので電話をしたところ「込み合っている」と言われて、折り返し電話があった。サポーターを注文しようとしたところ、ひざの痛みに効くというサプリメントを勧められたので、サポーターだけでいいと断ったが「サプリメントを買うとサポーターはサービスする」等と何度も勧められて、必要なかったが断り切れずに購入してしまった。そもそもテレビショッピングでサプリメントは案内しておらず、買うつもりはなかった。解約したい。 (80代 女性)
A テレビショッピングで案内されていた商品を電話で注文した場合には、特定商取引法の通信販売に該当します。しかし、このケースでは、テレビショッピングで案内されていなかったサプリメントを電話で勧誘されて購入しているため、特定商取引法の電話勧誘販売に該当すると考えられます。この場合、事業者は、法律で定められた事項を記載した書面を交付する義務があり、消費者は書面を受け取ってから8日間はクーリング・オフができます。その際、返品に伴う送料は事業者側の負担とされています。
当センターから事業者に連絡を取ったところ、事業者からは「サプリメントは発送済みだが、解約に応じる。サプリメントが届いた際には、送料自己負担で返送してほしい」と回答がありました。当センターからは「サプリメントは電話で勧誘を受けて購入している。電話勧誘販売に該当すると考えられるため、クーリング・オフが可能で、返品に伴う送料は事業者負担ではないか」と交渉しました。また、断っているにもかかわらず、勧誘を続ける行為は、特定商取引法と北海道消費生活条例において禁止されていると指摘し交渉を続けました。しかし、事業者は「通信販売なので送料は負担しない」との主張を崩しませんでした。そのような交渉状況を相談者に伝えたところ、解約できるのであれば送料は負担してもよいとのことだったため、返品することになりました。この事例のように、広告以外の商品を勧誘された場合、不必要であればきっぱりと断りましょう。
・通信販売は契約内容をよく確認
通信販売については、法律上のクーリング・オフ制度はありませんが、返品の可否と返品できる場合の条件などを広告にわかりやすく表示しなければなりません。最近は、インターネット通販で健康食品や化粧品をお試し価格で購入したはずが、数カ月分の定期購入が条件になっていて、途中で解約できないなどの相談も多く寄せられています。注文の前に契約内容をよく確認しましょう。
トラブルに遭ったら、早急に最寄りの消費生活相談窓口に相談を。
(2月掲載)
Q1 住宅リフォーム会社の担当が来訪し、「外壁のへこみが火災保険で直せる、自己負担0
円」などと執ように何度も勧誘され、断り切れずに契約した。家族に反対されたためやめたいと申し出たら、「保険金が下りてから工事のことを考えれば良い」と、保険の申請書類を勝手に作成された。どうしたら良いか。
(80代 女性)
A 火災保険では、住居として使用している建物等が自然災害で損害を受けた場合は保険金が給付されますが、破損の原因が老朽化等と保険会社が判断した場合は給付されません。
センターから事業者に契約状況を確認したところ、「申請書作成の手伝いをしただけで、費用はかかっていない」とのことだったため、リフォーム工事を契約するつもりはないこと、今後の勧誘は断ると伝えました。
相談者には、自己負担なく修繕できると断定して勧誘を行うのは問題と考えられること、保険金が給付されても、すぐにリフォームする必要はないので、複数社から見積りを取って検討するようアドバイスしました。
なお、訪問販売で住宅修理サービスや保険の申請サービスを契約した場合は、特定商取引法が適用されるため、法律で定められた事項を記載した書面を受け取ってから8
日以内であれば、クーリング・オフができます。
トラブルに遭ったら最寄りの消費生活相談窓口へ。
(2月掲載)
Q2 5 年半居住した賃貸アパートを退去した。ペット可の物件で、管理会社に申告の上で猫を飼育していたが、退去後にフローリングや壁紙の張り替え、消臭殺菌費用など約90万円の見積書を渡された。高すぎるのではないか。 (40代 男性)
A 賃貸住宅を退去する際の内装や設備等の原状回復義務については、国土交通省が修繕費用の負担ルールとして「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」を定めています。
ガイドラインによると、借主の故意・過失による破損の場合は借主負担になりますが、経年変化や通常損耗によるものは、貸主負担と考えられています。ただし、ペットによる傷や汚れ、臭い等は通常の使い方を超えているとして、特約等により借主に原状回復の義務があると判断される場合があります。
借主の過失による破損であっても、修繕の義務があるのは破損した部分だけなので、例えば壁紙全体を色合わせのために補修することはグレードアップになるため、原則、費用は貸主の負担になります。また、建物や設備の価値は時間とともに減少していくため、経過年数を考慮して負担割合の減額を求めることができる場合があります。
相談者には賃貸借契約書の原状回復に関する記載を確認した上で、負担割合を減らしてもらえないか話し合ってみてはどうかと助言しました。
(1月掲載)
Q1 電車内の広告で見た、1年間1000円で脇と足の脱毛ができるプランを契約しようとエステ店に行った。店員に「一部だけやると他も脱毛したくなる。最初から全身脱毛した方が安く済む」と勧められた。また、「脱毛するには保湿が必要」と化粧品セットを勧められ、断り切れずに全身脱毛エステと化粧品セットを3年の分割払いで契約した。さらに、自宅でケアできる脱毛器とローションを使うと早く効果が実感できると勧められ、クレジットカードで払うことになった。全部で40万円の契約になり、学生のため支払いが不安になって、後日、解約を申し出たら、エステは解約できたものの商品の代金は払ってもらうと言われた。仕方なく、奨学金で15万円を払ったが、化粧品セットはまだ届いていないので、返金して欲しい。(20代 女性)
A 特定商取引法では、契約金額が5万円を超え、サービス提供期間が1カ月を超えるエステ契約については、特定継続的役務提供として規制しています。また、施術に必要と説明を受けて契約した化粧品や脱毛器等をエステと同時に契約した場合は、「関連商品」として一体の契約として扱うものと定められています。
当センターで契約書面等を確認したところ、販売する全商品は関連商品ではないと強調して記載されていました。しかし、契約時に「保湿が必要」などと勧められており、実態としては関連商品と考えられることから、相談者には事業者と交渉することは可能なので、契約の経緯をまとめた書面を事業者に送るように助言しました。書面送付後、当センターから事業者に連絡し、化粧品セット等の解約を求めました。事業者は当初、「関連商品ではないと説明した上で契約しているので、解約には応じられない」と主張しました。その後も交渉を重ねたところ、「化粧品セットと未使用分のローションの解約には応じるが、脱毛器は使用しているため返品は受けられない」と回答してきました。
相談者に事業者の回答を伝えたところ、了承したため支払い済みの15万円と、脱毛器と使用済みローションの代金の差額が返金され、クレジットカード決済分がキャンセル処理されたことを確認し相談を終了しました。
お試しのつもりで体験エステを受けたら、「今すぐ始めた方がいい」「今日なら割引価格」などと高額エステの契約を急かされトラブルになるケースが発生しています。エステは、契約期間が長期に及び、料金が高額になる場合もあるため、契約の際は施術の内容や解約等について確認した上で慎重に検討しましょう。
トラブルに遭ったら、早急に最寄りの消費生活相談窓口へ相談を。