(12月掲載)
Q1 昨日、「電気代が安くなる」と電話があり、自宅に訪問してきた事業者に太陽光発電システムを勧誘された。工事中にのぼりを立てて宣伝するので、480万円のところ今日契約すれば250万円のモニター価格にできると言われ、ローンを組んで契約した。冷静に考えると手数料を含め300万円以上になり支払いが不安。クーリング・オフできるか。 (40代 女性)
A 訪問販売での契約は、特定商取引法で規制されており、事業者には法律で定められた事項を記載した書面を交付する義務があり、消費者は書面を受け取ってから8日間はクーリング・オフできます。
この事例の場合、クーリング・オフが可能なので相談者に書面の書き方を説明し、証拠が残るようコピーを取ったうえで、簡易書留等で事業者と信販会社に通知するよう助言し、後日、了承されたと連絡がありました。
地震の際、大規模な停電が発生したことで、太陽光発電に関心が寄せられています。また、余剰電力を電力会社に売ることができるため、「売電すればローンの支払いが相殺される」「今日までなら安くできる」と契約を急がせるセールストークで勧誘するケースも見受けられます。しかし、実際には説明されたほど発電量がなく、支払いの負担が減らないため、トラブルになることがあります。
パネルを屋根に設置する場合、築年数がたっている家屋では補強費用がかかることもあります。太陽光発電は初期費用が高額なだけでなく、発電量は天候に左右されることや売電価格が変動する場合もあることを念頭におき、契約する際は発電量や売電額の見込み、メンテナンス費用も確認しましょう。
(12月掲載)
Q1 除雪サービスのチラシを見て事業者に問い合わせたところ、今なら割引して12回の除雪で3万7000円にすると言われた。返事をしたつもりはないが、翌日、郵便受けに契約書面が入っていた。その後、事業者から連絡はなく、連絡先は携帯番号しか記載されていないので不安。契約になっていたとしてもやめたい。 (80代 女性)
A 当センターから事業者に問い合わせたところ、「契約書面は入れておいたが、契約を希望する場合は電話をしてほしいと説明している。まだ契約にはなっていない」という回答でした。その旨を相談者に伝え、他社からも見積を取り、家族などと相談して事業者を決めてはどうかと助言しました。
除雪サービスについては、「料金を前払いしたが、契約どおりの作業をしてくれず、連絡もとれない」「除雪作業中に敷地内の設備を壊されたが補償してくれない」などのトラブルが発生しています。契約する際は、作業内容や回数、料金などに加え、積雪の状況により、作業ができなかった場合の精算方法などについても確認しておく必要があります。自治体によっては高齢者向けの福祉除雪サービス制度を設けているところもあります。参考にしましょう。
トラブルに遭ったら最寄りの消費生活相談窓口へ。
(11月掲載)
Q1 8カ月前、自宅に女性が訪問し、新聞を勧められた。他紙を取っていると断ったが、米5`を玄関に置いて、何度もお願いしますと言われた。その後、男性も来てさらに米5`を置かれ、半年でいいからとしつこく言われ、断りきれずに契約書に名前を書いた。今月から配達されているが、10日前に目の病気がわかり、小さい字は読めなくなったので新聞をやめようと思う。今月末で解約させてほしい。(80代 女性)
A 訪問販売で新聞を契約した場合、特定商取引法の規制の対象になります。事業者には勧誘に先立って勧誘目的や事業者名を告げること、法律で定められた事項を記載した書面の交付などが義務付けられています。消費者は書面を受け取ってから8日以内であればクーリング・オフが可能です。さらには断っている人に勧誘を続けることや、消費者の経済状況などに適さない勧誘を行うことを違反行為としています。
新聞の公正競争規約では、新聞契約に伴う景品の上限を設けており、取引価格の8%、または6カ月分の購読料の8%のいずれか低い金額としているので、通常、最高でも2000円程度ということになります。
また、日本新聞協会と新聞公正取引協議会は新聞購読契約に関するガイドラインを作成し、解約の申し出があった場合の対応方針を示しています。ガイドラインでは購読契約後、解約に応じるべき場合として「上限を超える景品類の提供」「購読者の死亡、購読が困難になる病気・入院・転居」などとしています。また、上限を超える景品類が提供されていた場合、解約に当たっては景品の返還を請求してはならないとしています。
相談者には以上のことを説明し、クーリング・オフ期間を過ぎていても、販売店の勧誘方法の問題点などを伝えて話し合うことは可能と助言しました。当センターから販売店に連絡し、断っている人に勧誘を続けていること、米10`分は景品の上限を超えていること、契約者は病気のため購読が困難であることなどを伝え、解約を求めました。販売店から事情を考慮し、景品の返還は求めず解約に応じると回答があり、相談者が1カ月分の購読料を払うということで解決しました。
・新聞勧誘業者がガスや公共放送も…
「近所まで来たのであいさつに来た」「お届け物を持ってきた」など新聞の勧誘であることを告げない訪問や、懸賞に応募したら商品の受け取り時に強引に勧誘されたなどの相談もあります。
また、最近では、新聞の勧誘を行っている事業者が、料金が安くなるなどとLPガスの切り替えを勧誘したり、契約内容の詳細等を告げずに強引に公共放送の受信契約をさせたりする事例もあります。
ドアを開ける前に訪問者や用件などをよく確認し、必要がなければドアを開けずにきっぱりと断ることが大切です。
トラブルに遭った場合は最寄りの消費生活相談窓口へ。
(10月掲載)
Q1 スマホのSNSで「アプリをダウンロードするだけで、すぐに最低月30万円分の仮想通貨が受け取れる」というメッセージを見て、無料なので興味を持った。その後、「プロジェクトへの参加のためには、プログラム入りタブレットが必要だが、すぐに元を取れる」との案内動画を見て20万円をカード決済した。決済後、「最低10万円分の仮想通貨を買わなければ参加できない。買った仮想通貨を自分で運用して収益を受け取る」という内容のメールがきた。話が違うし、タブレットもまだ受け取っていないので解約したい。(40代 女性)
A 経緯を書面にしてカード会社、決済代行会社等に通知して交渉する方法を助言しました。当センターから販売店に連絡したところ「すでに情報を見ているのだから、解約するなら11万円を払ってもらう」との対応でした。決済代行会社に対応を依頼したところ、「販売店に、キャンセルを依頼し、応じなければ当方でキャンセルする」との回答がありました。その後、キャンセルしたという連絡があり、相談者に伝え終了しました。
(10月掲載)
Q1 利用していた通販業者からオーナーとして出資すると配当金が受け取れるというDMが届き、5年前から7、8回出資しており、配当金がついて期日に返金されていた。昨年も、飲むヨーグルトのオーナーに10口50万円を出資して、今年2月に55万円を受け取れる契約をした。その後、支払いを5月中旬以降より順次行うとの通知があったが、いまだに支払われず、電話しても「混み合っている」とのアナウンスが流れ、連絡が取れない。早く返金してほしい。 (70代 女性)
A 当センターから事業者にFAXで連絡したところ「古い年月のものから順次返金をさせていただくので、今しばらくお待ちください」との回答が届きました。返金されない場合には、法的手段を検討する必要があると伝えました。その後、事業者が破産開始決定を受けたため、相談者には破産管財人からの連絡を待つよう伝えました。
・さまざまな儲け話の相談が…
ほかにも「ブログの代理投稿で稼げるといわれ、90万円払ったが全く稼げない」「必ず儲かると勧められ、パチンコ攻略法の契約をしたが、全く当たらなかった」などの相談があります。簡単にお金を稼げる方法はなく、「必ず高額収入が得られる」という甘い話にはだまされないでください。
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(9月掲載)
Q1 2カ月前、80代の義父が訪問販売で、「縫い目がない布団なので絶対に羽根が出てこない」と長時間にわたって高額な羽毛布団を勧められ、断ったけれど最後には契約してしまったようだ。その前にも羊毛布団や敷布団カバー等をそれぞれ別の事業者から購入していたらしい。支払いが残っているが、必要ないので解約させたい。 (50代 女性)
A 訪問販売での契約は特定商取引法(特商法)で規制されており、事業者には勧誘に先立ち、販売目的を告げることや、法律で定められた内容を記載した書面を交付する義務があり、消費者は書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフが可能です。クーリング・オフ期間を過ぎていても、書面に不備があればクーリング・オフを主張できる場合があります。
また、特商法や北海道消費生活条例(道条例)では、断っている人への勧誘を継続することや、後日あらためて勧誘すること、消費者の知識や財産などの状況にふさわしくない勧誘を行うことを禁止しています。当センターで契約書面を確認したところ、商品やサービスを特定できる記載がありませんでした。相談者には、勧誘時の状況などを聞く必要があるので、本人から連絡するよう伝えました。
本人から聞き取りをしたところ、「お金がないと断っても、『クレジットカードが使える』としつこく言われて断りきれず、11万円もする布団を買ってしまった。事業者が納品に来たときに支払いが心配だと言ったら、『リボ払いにすればいい』と促されて、事業者がいるうちにカード会社に連絡して支払い方法の変更手続きをした。でも、何カ月も払い続けられないのでやっぱり解約したい」とのことでした。
販売方法の問題点も多いため、当センターから事業者に連絡し、契約の経緯等を伝え、書面不備によるクーリング・オフを主張したところ、クーリング・オフに応じると回答がありました。本人からクーリング・オフ通知を発信し、布団は着払いで返送しました。後日、カード会社の売り上げが取り消されたことを確認して相談を終了しました。
以前契約した羊毛布団や敷布団カバー等についても、契約書面の不備や販売方法に問題があったため、同様に各事業者にクーリング・オフを主張して交渉した結果、了承され解決しました。
・訪問販売お断りステッカーの活用を
訪問販売では、事業者が次々に布団や健康食品等を契約させたりするケースや、点検を口実に来訪し、「このままでは大変なことになる」などと不安をあおり、水まわりの修繕や外壁工事などの住宅リフォームの契約を迫るといった相談が寄せられています。
道条例では、「訪問販売お断り」のステッカーを貼っている家を訪問して取引することを禁止しています。ステッカーを貼ることは悪質商法の被害を未然に防止する有効な手段といえるでしょう。
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(8月掲載)
Q1 2日前、パソコンの画面上に「ウイルスに感染している」と警告表示があり、不安になり電話をした。担当者が私のパソコンを遠隔操作でチェックし、3000円でソフトがダウンロードできるというのでクレジットカード番号を伝えた。さらに「不具合があるので対応する。4万円かかる」と言われた。だまされたと思うので、解約したい。
(60代 男性)
A パソコンやスマートフォンを閲覧中に突然警音が鳴ったり、警告表示が出たりすることがあり、サイトへのアクセスや電話連絡すると、消費者の不安をあおってウイルス対策ソフト等をインストールさせられ、料金を請求されることがあります。
当センターで事業者から届いたメールや事 業者のホームページなどを確認すると、「サー ビス内容の説明が不足していたり、オペレーターの対応に満足
しなかったりした 場合は60日間の返金保証がある」と記載されていました。クレ ジットカード会社と決済代行会社に事情を伝えたところ、決済代行会社から請求取り消しの手続きをすると連絡があったため、相談者にはその旨を説明し、次回以降のクレジット
カード利用明細を必ず確認するよう伝え、念のためカード番号を変更することも勧めまし た。
トラブルを避けるためには、突然の警告音や表示が出ても、もともと自分のパソコンに 入っているセキュリティソフトかどうか分からないなど信頼できない場合はクリックしないことです。1回だけと思いカード番号を伝
えたのに自動更新の契約になっていたり、日本語で説明書きがあっても実際は海外の事業者が運営していて、英語で問い合わせしな ければならない場合もあったりするので注意
しましょう。
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(8月掲載)
Q1 引っ越しを予定しているが、運送の 際に家具や食器などが破損した場合、 きちんと補償してもらえるか事業者に問い合わせたところ、「保険に入っているから大丈夫だ」と
言われたが不安だ。 (40代 男性)
A 引越業者は国土交通省が作成した 「標準引越運送約款」を見積時に提示 し、それに基づきサービスを提供することになっています。約款にはサービスの提供条件のほかに、荷物の破損等の責任についての規定などが記載されています。この約款は改正され、平成 30 年6月1日から見積書の記載 内容の確認日や解約・延期手数料率が変わりました。
相談者には見積りの際に約款の内容をよく確認し、不明な点があれば事業者に確認する ことや荷物の破損があった場合は、3カ月以 内に申し出る必要があることを伝えました。
最近は見積りをインターネットや電話のみで行うことも多くなっていますが、見積りや 補償内容で勘違いや行き違いが起こることも ありますので、サービス内容をしっかり確認の上、複数の業者の見積りを比較するなど、
慎重に検討しましょう。
(7月掲載)
Q1 2カ月前に自宅に大手電話会社の
光回線を引いたばかりだが、その会 社を名乗り電話があり、料金が安くなると 説明されてスマートフォンで指示されるまま に何かの番号を取得し、伝えた。その後、 覚えのない会社名の封筒が届いたがダイレクトメールかと思い放置していた。昨日、封筒に書かれていた会社か
ら電話があり、初めて契 約先が変わったことが分かった。封筒を開封すると契約書や重要事 項説明書が入っており、解約すると解約料 2万5000円がかかると書いてあった。解
約料を払わずに解約したい。(40代 女性)
A 当センターで契約書面を確認したと ころ、光回線の卸売サービスの契約で した。光回線の卸売サービスは電気通信事業法で規制されています。電気通信事業者には、
契約前に料金や提供条件の説明義務、契約後に契約内容を明らかにする契約書面の交付義務があります。事業者の名称や連絡先、サー ビスの種類、料金、契約変更や解約の条件、
複雑な料金割引の仕組みやオプションサービ スの記載が必要です。消費者は契約書面を受け取った日から8日間は契約解除が可能です。 ただし、工事費や手数料、利用したサービス
料は請求されることがあります。
・光回線の卸売とは
NTT東日本と西日本(以下NTT)が光 回線の卸売サービスを始めたことにより、多く の事業者が光回線にプラスしてプロバイダーや 携帯電話等を組み合わせるなど独自のさまざまなサービスを消費者に提供するようになりました。このサービスは、工事は不要で「転用」
という手続きを行います。契約当事者がNTT から転用承認番号を取って事業者に伝え申し 込みをし、NTTと光卸事業者が手続きをする と転用が完了する仕組みです。
光回線の卸売サービスを契約すると、契約先がNTTからほかの事業者に変わります。また、転用後にNTTに戻す場合は新規の扱いとなり工事費用がかかり、電話番号が変わることもあります。
今回の事例では、契約書面にはサービス名の記載はありましたが、料金は別紙の料金表
にしか記載はありませんでした。相談者は転用の意味は全く分からないとのことでした。
(6月掲載)
Q1 80代の父が3年前に300万円、1年前に450万円を払って2件の終身保険を契約していた。父は契約内容をよく理解していないため、保険会社に問い合わせたところ1件目は毎月6万円をあと1年、2件目は毎月8万円を9年後まで払わなければならないと分かった。父は今後も支払いがあるならやめたいと言っている。(50代 男性)
A 生命保険の契約は、保険業法で規制されています。保険会社には消費者の知識や財産、経験等に配慮することを前提として意向を把握することや契約書類や確認書類の交付が義務付けられています。また、保証内容や保険料などの重要事項について分かりやすく説明する義務があり、虚偽のことを告げる行為は禁止されています。生命保険協会の高齢者向けガイドラインでも、保険加入時に親族の同席などの取り組みを例示しています。
相談者にはそれらのことを説明し、契約時の説明や、当事者の状況への配慮が不足していることなどの問題点を保険会社に伝えて交渉するよう助言しました。
後日、相談者より保険会社と交渉した結果、1件目は解約、2件目は今後の支払い負担のないよう契約内容を変更して継続することで父が合意したという報告がありました。
生命保険は契約期間や保険料の払い込み期間が長く、契約内容によっては保険料が高額になるため、本当に必要か十分に検討しましょう。
(6月掲載)
Q1 ショッピングセンターで水の試飲後、「ウォーターサーバーは無料、水は無くなったらその都度注文すればいい」と勧められ、契約した。その後、頼んでいないのに水が2回届き、受け取りを拒否したが、カード会社から2回分7000円が引き落とされた。事業者に連絡したら、「3年間の月1回の定期配送契約なので解約するなら1万6000円の違約金を請求する」と言われたが、払いたくない。(60代 女性)
A ウォーターサーバーについては、レンタル無料と強調し、水の定期的な販売が目的のことが多く、中途解約を申し出ると高額な解約料を請求されることがあります。相談者に確認したところ、水は3年の定期配送契約であることや違約金については聞いておらず、契約書面等は何ももらっていな
いとのことでした。
当センターから事業者へ連絡し、契約書を渡されておらず、説明も不足していたため、契約内容が分からなかったことなどの問題点を指摘して無条件での解約を希望していることを伝えました。
後日、事業者から違約金なしで解約に応じると回答があり、サーバーの引き取りと、支払った代金が返金されたことを相談者に確認して終了しました。
勧誘を受けたら契約内容や解約条件だけでなく、水の配送を休止する場合の手数料や、サーバーのメンテナンス費用などについてもよく確認し、慎重に検討してください。
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(5月掲載)
Q1 2カ月前、求人サイトで在宅のデータ入力作業の仕事に応募し、街中のカフェで面接を受けた。「簡単なデータ入力の仕事もあるが、給料が安い。ネットのバナー広告を作る仕事は1日1〜2時間の作業で1カ月に50万円稼いだ人がいる」と説明され、広告作成の方を選んだ。後日、採用の連絡があり、担当者からバナー広告を作るためのコンサルティング料金が50万円くらいかかるが、すぐに稼げるから大丈夫と言われ、よく分からないままクレジットの書類などに署名した。その際、無職なのに以前の勤務先や年収300万円と書くよう指示された。作業を始めてみたが時間がかかり、収入を得るのは難しいと分かったので、解約したい。 (20代 女性)
A 事業者が、収入が得られると勧誘し、仕事を提供するために必要だとして商品の購入等の契約をさせた場合は、業務提供誘引販売として特定商取引法で規制されます。事業者には法律で定められた書面の交付義務があり、消費者は書面を受け取ってから20日間はクーリング・オフが可能です。また、商品の品質や報酬などについて、事実と違うことを告げることは禁止されています。
相談者には今回のケースも業務提供誘引販 売に該当する可能性があり、事業者が具体的な説明をせず、確実に収入を得られると勧誘
していることなどは問題があると思われる旨、説明しました。また、契約書面等は一切もらっていないとのことだったため、書面不交付によるクーリング・オフの主張をしてはどうかと伝え、事業者とクレジット会社に書面で通知するよう助言しました。
当センターから事業者に連絡したところ、 事業者は業務提供誘引販売には該当しないので、クーリング・オフには応じないと主張しました。相談者は契約内容を理解していないことや事業者が年収等について虚偽の申告を誘導していることなどの問題点を伝えて、重ねて交渉したところ、契約は取り消すという連絡があり、終了しました。
・SNS広告のもうけ話にも注意!
この事例のほかにも、仕事の求人や副業の情報の検索をきっかけにSNS広告などを見て「もうかる方法」が記載された情報商材を購入したが、トラブルになったという相談も多く寄せられています。
広告では「商品を転売するだけで簡単に収入が得られる」「自分で撮影した動画を投稿するだけでもうかる」「仮想通貨の売買で楽に稼げる」などと記載されていますが、実際には手間がかかったり、何度も情報商材を購入させられたり、追加費用を請求されたりすることがあります。
いずれにしても事業者の言うとおりにすれば、自分は何もしなくても簡単にお金が稼げるなどという話はあり得ません。「簡単に稼げる」「数分の作業で高収入」といった勧誘には十分注意しましょう。
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(4月掲載)
Q1 2日前に突然、排水管の点検に来た事業者に「すぐに洗浄しないと水が流れなくなり、大変なことになる。詰まると配管の取り替え工事になり、数十万円かかる」
と言われた。不安になり高圧洗浄の契約をし、作業後、1万5000円 を支払ったが、よく考えると今まで水の流れが悪くなったことはなく、必要なかったと思う。今から解約できるか。
(60代 女性)
A 訪問販売での契約は特定商取引法で 規制されており、事業者には勧誘に先立ち販売目的を告げることや、法律で定められた事項を記載した書面の交付が義務付けられています。消費者は書面を受け取ってから8日間はクーリン
グ・オフができます。
相談者には作業が終わり、支払い済みであってもクーリング・オフができるので、書面で通知するよう助言しました。当センター
からも事業者に連絡し、速やかに返金してほしい旨を伝えました。後日、返金されたことを確認して終了しました。
この事例は、事業者が点検を装って訪問し、 不安をあおって契約を急がせています。北海道消費生活条例では、このような勧誘は不当な勧誘方法として禁止しています。また、訪問販売お断りステッカーなどを貼って意思表示をしている家を、事業者が訪問し、勧誘することを禁止しています。悪質商法の被害を未然に防止するためにステッカーを貼るのも有効です。勧誘された場合はその場で契約せず、相談しましょう。
トラブルに遭った場合は最寄りの消費生活 相談窓口へ。
(4月掲載)
Q1 オークションサイトでパソコンを落札し、カード決済をした。その後、一つの商品に複数のIDがあり、多数の落札者がいることが分かった。不審に思い、サイト運営会社に連絡したら、代金はすでに出品者に入金されているので、直接話し合うよう言われた。出品者とは連絡が取れないが、返金してほしい。(50代 男性)
A 今回の取引はインターネットオー クションの個人間のトラブルのため、
出品者とのやりとりには介入できないが、事業者に問い合わせることは可能と伝えました。当センターからサイト運営会社に連絡したところ、「出品者はIDをすでに取り消しており、連絡先などは全く残っていない。出
品者に商品代金が入金されているため、決済は取り消せない」という説明でした。カード会社にも連絡し、調査を依頼したところ、後日、請求を取り下げると連絡がありました。
サイトの中には、一時的に運営会社が代金 を預かり、落札者が商品受け取りの手続きをすると出品者へ入金となる決済方法を採用しているところもあります。オークションを利用する際は、補償制度の有無や条件、決済方法などについて利用規約等でよく確認し、規約等で禁止されている行為は絶対に行わないようにしましょう。
(3月掲載)
Q1 判断力が不十分な私の会社の従業員が、訪問販売で自宅の屋根改修工事の契約をしたようだ。すでに工事が始まっているというので、取り急ぎ書面を一緒に確認すると、2週間前の日付で240万円の見積書と契約書を同時にもらっていた。ほかにも6日前に同じ事業者と100万円の外壁工事の契約もしていた。15年払いのクレジット契約で月々の支払いや総額も高額なため、支払いは難しいと思う。本人は、契約内容をよく分かっておらず、男性2人が来て、屋根が古くて取り替え時だと言われ、断れなかったとのこと。(30代 男性)
A 契約当事者からも聞き取りをしたところ、屋根工事では、見積書を持ってきた事業者がその日のうちに契約させていること、外壁工事は2年前にも行っていることが分かりました。クレジットの書面に、担当者から言われるままに実際よりも多い年収額を記載したことも分かりました。
訪問販売での契約は特定商取引法(特商法)で規制されており、事業者には勧誘に先立って勧誘目的や事業者名を告げること、法律に定められた事項を記載した書面を交付することなどが義務づけられています。消費者は書面を受け取ってから8日間はクーリング・オフが可能です。また、北海道消費生活条例では、消費者の知識や財産などの状況に適さない勧誘を行うことや、契約書等へ虚偽の記載をさせることなども禁止されています。
外壁工事はクーリング・オフ期間内だったため相談者に手伝ってもらい、当事者からクーリング・オフのはがきを事業者とクレジット会社に送付しました。当センターからも事業者に連絡し、外壁工事はクーリング・オフすることを伝え、了承されました。
屋根工事については工事をいったん止めてもらい、当事者の判断力が不十分で契約内容をよく理解していないことや、冷静な検討をする時間を与えずに勧誘したことなどの問題点を指摘し、対応を求めました。
当初、事業者からは、すでに材料を発注し、工事を始めているので解約ではなく減額の提案がありましたが、重ねて交渉した結果、「当事者の負担なく解約し、屋根は当社の負担で原状回復する」との回答があり、当事者も了承して解決しました。
クーリング・オフ期間が過ぎていても、今回の事例のように勧誘方法に問題があれば事業者と交渉し、解約できることがあります。
・見守り、変化を察知しよう
障がいのある方や判断力が不十分な方は、突然の勧誘に対しその場で的確な判断が難しいこともあるため、悪質な訪問販売などの被害に遭いやすい傾向にあります。
被害の早期発見や被害を繰り返さないためには、家族や周囲の方が日ごろから「元気がなくなっていないか」など本人の様子を気にかける「見守り」が大切です。「不審な封筒や請求書等の書類がないか」「見慣れない段ボールや商品が置かれていないか」「居室や居宅が改修されていないか」などの変化をなるべく早く察知する「気づき」も重要です。
家族や周囲の方が、消費者トラブルで困っている様子に気づいたら、最寄りの消費生活相談窓口へ。
(2月掲載)
Q1 SNS広告に有名ブランドのダウンジャケットが2万4500円と出ていたので、クレジットカード払いで注文したが、10日以上経過しても商品が届かない。メールで解約を申し出たが、販売業者からの連絡もない。ネットには詐欺サイトとの書き込みもあった。どうしたらよいか。 (20代 女性)
A インターネット等を利用して商品を購入する通信販売は特定商取引法で広告規制があり、事業者の名称、所在地等を消費者に分かりやすく表示するよう求められています。当センターで販売サイトの記載や相談者に届いたメールを確認すると、販売業者の住所や電話番号などの記載がなく、正規販売店の価格よりも極端に値引きされているようでした。相談者には、模倣品を販売する悪質な事業者の可能性があることや販売業者と連絡が取れないことをカード会社に伝えるよう助言しました。
相談者がカード会社に申し出たところ、他にも同様の相談があるので、代金は請求しない方向で手続きに入ると言われたとのことでした。カード会社から連絡が来ない場合は、再度相談するよう伝えました。
最近は、この事例のようにSNSをきっかけに商品を購入する人が増えています。商品が届いた後で模倣品と気付いたり、代金を支払ったのに商品が届かなかったりするトラブルに遭った場合、相手と連絡が取れなければ解決が難しいので、正確な運営者情報が記載されているか事前に確認しましょう。
(2月掲載)
Q1 両親宅に不動産会社から連絡があり、40年以上前に購入した原野を風力発電で利用したいので、100万円で買い取ると言われたようだ。しかし、後日届いたパンフレットには、事業の許可を取るために証明書類を用意する必要があり、買取価格の10%を先に支払わなければならないと記載されている。信用できるか。 (60代 女性)
A 値上がりのほとんど見込めない原野などを、将来値上がりするかのように偽って販売する手口を原野商法といいます。過去にこうした被害に遭った人に、原野の売却話を持ちかけ、測量代や名義変更等、さまざまな名目で費用を支払わせる二次被害の相談が寄せられています。最近は、この事例のように風力や太陽光発電の事業などをうたって先に手数料を支払わせたり、別の土地を購入すれば原野を高額で買い取ると勧誘したりする手口もあり、注意が必要です。
相談者には、一般的に固定資産税を納付していないような原野を高額で買い取ることは考えられないことや、風力発電を計画していても実行されない可能性があることなどを伝えました。その後、両親と話し合い、今回は断ることにしたと連絡がありました。
「原野を高額で買い取る」などのセールストークをうのみにせず、原野の所在地の自治体に土地の状況を確認することも大切です。
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(1月掲載)
Q1 2週間前にSNSで「ダイエット用スムージーの100円モニター300名募集」という広告を見て、スマホ画面で相手とチャット(会話)を進めていくような形で申し込んだ。すぐに確認メールが来て、その2、3日後に1週間分のスムージーとコンビニ払いの用紙が届き100円払った。1回 きりのお試しだと思っていたら昨日、同じ商品1ヵ月分と約7000円の請求書が入った箱が届いた。不審に思い、インターネットで調べると、最低4回の定期購入で総額約2万1000円の契約という書き込みを見つけた。注文時の画面や届いたメールには金額は100円としか書いておらず、定期購入になることは書いていなかったと思う。2回目以降の商品は解約、返品したい。
(20代 女性)
A インターネットなどを利用して商品を購入する通信販売は特定商取引法(特商法)で広告規制があり、事業者の名称や住所、電話番号、商品の価格等、返品の可否や返品期間や条件、申し込みの解除に関することなどを、消費者に分かりやすく表示するよう求められています。
当センターで相談受付時点での通 販サイトの広告や申し込み画面を確認すると、はっきりした文字で「1 回目は9800円のところ100円」、また薄く小さい文字で「2回目以降も定価の40%OFF、定期 コースは初回を含め4回の継続が条件」等との記載はありました。しか し、その表示がされる前に「100円モニターに参加」という申し込みボタンが何度も出現し、モニター契約と定期コースが同じコースであることが確認しづらく、確認画面でも合計金額が100円としか記載がなく、分かりにくい内容でした。
相談者には定期購入だと分からなかったので解約したいこと、今後の商品の発送を停止してほしいことを、事業者にメールで送信するよう伝えました。当センターから事業者に連絡したところ、チャット形式の注文画面に不備があったことを認め、2回目の商品は相談者が送料を負担して返送することで解約すると提案がありました。これに相談者が合意したため商品の返送を確認して終了しました。
・確認画面を記録しましょう
健康食品や化粧品などの通信販売に関して、低価格でお試し商品が購入できると思ったのに、定期購入で思った以上の金額を払うことになった、解約しようとしても事業者の電話が通話中でつながらないといった相談が増えています。
平成29年12月に改正特商法が施行されたことに合わせて、いわゆる定期購入契約の広告、イ
ンターネット通販の申し込みや確認画面上に定期購入であること、商品の引き渡しの回数、各回の商品代金や支払総額などの販売条件を表示することが必要となりました。また申し込み内容の確認や訂正ができる手段を提供していない場合は禁止行為になるとされています。
商品を注文する際は、広告や申し込み確認画面で定期購入が条件となっていないか、それが条件となっている場合は、購入期間や支払うこととなる総額などの契約内容をしっかり確認しましょう。できるだけ確認画面を記録しておくとよいでしょ
う。
トラブルに遭ったら最寄りの消費 生活相談窓口へ。