高額な排水管の洗浄〜すでに作業済み。解約できる?〜 

12月掲載)

 

Q 3日前、事業者が自宅を訪れ、「近所で排水管が詰まり、明日工事するので悪臭が上がってくる。今なら機材もあるので7万円のところ3万円で洗浄できる」と言われたので契約、1万円だけを支払い、すぐに洗浄してもらった。残金は後日集金に来る予定だが、他社と比べて高額だと思うのでクーリング・オフしたい。( 40代 女性)

 

A 特定商取引法(特商法)の訪問販売に該当する場合、契約書面を受け取ってから8日間はクーリング・オフができるので、相談者にはその方法を助言しました。後日相談者に返金を確認して解決しました。

この事例のように契約当日に作業が済み、後日、洗浄が不要で高額だったことなどに気づいても、作業が終わっているため返金をあきらめてしまうことが、特に高齢者に多いようです。しかし、特商法ではクーリング・オフの期間中に申し出れば、工事などがすでに終了していても代金を支払わなくてもよく、支払い済みでも返金を求めることが可能です。

また、洗浄の必要性や効果が分からないものや、本当に工事を行ったのか不明なものもあります。類似の事例として換気扇や灯油タンクの洗浄サービスなどがあります。契約する前に本当にその工事が必要なのかをよく考え、その場で契約せず、家族や周囲の人と相談しましょう

 

通販で購入〜効果がない補聴器、返品したい〜 

12月掲載)

 

Q 新聞の広告を見て補聴器を購入し、使ってみたが、音量が小さく聞き取りにくい。音量を最大にして使ってみても効果がない。事業者に解約のファックスを送り、返品したが返金されない。どうしたらよいか。(70代 男性)

 

A 通信販売の場合、特商法ではクーリング・オフの規定はありませんが、事業者は広告に返品等について表示する義務があり、原則としてその表示に従うことになります。この事例では広告に「開封後の商品は返品不可」とありましたが、当センターから事業者に対し、購入した補聴器の効果がないとの相談者の主張を伝えたところ、商品開封後であっても返品に応じると回答があり、返金を確認して解決しました。

 

 

 「補聴器」は難聴者が補聴目的で使用する※管理医療機器であり、薬事法に基づき、承認を受けて販売されています。装用に際しては、個人の難聴の程度や聞こえ方に合わせた適切な調整(フィッティング)が必要です。通信販売では前述のような調整が難しいため、十分な補聴効果が得られなかったり、出力される音が大きすぎたりして、耳に悪影響を及ぼすことも考えられるので注意が必要です。

 

できれば業界の認定制度のもと、一定の基準を満たした販売店で、フィッティングを受けてから購入することをお勧めします。購入後も、補聴器は精密機器で汗や湿気、ほこりに弱いので、定期的に点検した方がよいでしょう。

また、管理医療機器ではない「集音器」という補聴器とよく似た形の商品もあります。中には音が急に大きくなるなど、安全上問題があると考えられる商品もあるようなので注意が必要です。

※副作用や機能障害を生じた場合、人の生命・健康に影響を与えるおそれがあることから、適切な管理が必要な医療機器

 

格安航空会社のチケット…〜さまざまな運賃プラン利用条件確認して〜

11月掲載)

 

Q 初めて格安航空会社のホームページから航空券を購入した。予約画面が分かりにくく、希望と違う便を予約してしまったため、変更を希望したら手数料が発生した。納得いかない。(50代 女性)。

A 格安航空会社とは、機体の効率的な使用や人件費の削減、機内サービスの簡略化などにより経費を抑えて、低価格で航空サービスを提供している会社で、LCC(ローコストキャリア)とも呼ばれています。日本でもここ数年でこの分野への参入が相次ぎ、北海道発着便でも増えつつあります。料金が安いことは消費者にとって魅力的ですが、既存の航空会社とサービス内容が異なることがあります。

 

 航空券は、自己都合で便の変更をする際、変更手数料を請求されたり、解約を希望した場合には解約料を請求されたりすることがあります。格安航空会社の場合、運賃プランによっては、解約した場合に払い戻される金額が少額だったり、全額が戻されなかったりすることもあります。

 

 この事例では、インターネットの予約サイトに、変更する場合は手数料がかかることなどが明記され、相談者は予約時に表示された確認画面を見てから購入していると思われます。航空会社側のシステムの不具合等がないのであれば、手数料の支払いはやむを得ないと考えられる旨、相談者に説明しました。

 

 このような変更手数料や解約料に関する相談以外にも「機体に不具合が見つかり、点検のために欠航になった。他社への振り替えはしてもらえず、返金してもらい、自分で他社便を予約しなければならなかった」といったサービス面での苦情もあります。 

 

航空会社によっては申し込みの手順や確認画面が分かりにくく感じられ、インターネットに不慣れな人には予約が難しいかもしれません。運賃については同日同便でも、予約する時期により料金が異なり、電話予約やカウンターでの予約には手数料がかかります。手荷物も有料で、荷物の重さにより料金が異なり、予約時に申告しますが、当日空港で超過した場合は、追加料金がかかることもあります。

 

空港へは早めに、日程には余裕を

  搭乗する際、チェックインのカウンターが思っていたより遠く、なおかつチェックインの締め切り時間が早いため、乗り遅れるケースもあるようです。空港には余裕を持って早めに行くようにしましょう。格安航空会社は、少ない機体数で運航するため、やりくりがつかず、遅延や欠航が発生することがあります。このことも念頭において余裕を持った日程を立てることをおすすめします。

 また、航空会社の都合で欠航しても振り替えはしてもらえず、当該航空会社独自のポイントで払い戻しされたり、当該航空会社のほかの便への変更しかできなかったりすることもあります。なお、ポイントの消化や便の変更については、有効期間が定められていますので、よく確認しましょう。

 

モバイル通信契約〜必要かどうかよく考えて〜 

10月掲載)

 

Q1 「光回線を利用しているか」と電話があり、利用していると答えると「通話料とインターネットの通信料が月8千円以上かかっていると思うが、電話回線を変更すれば2千円は安くなる」と説明があり、契約した。3日前に携帯電話のような機器が届いた。どうやら無線で利用するようだが、そのような説明は一切なかった。以前、地形的に無線機器の利用は難しいと言われたことがあり、契約するつもりはない。同封の書類を確認すると、機器到着後、8日以内に代理店に連絡すれば、契約の取り消しができると書いてあったので、電話をしたところ、今日を含めあと9日間も休みだと案内が流れた。どうすればよいか。(70代 男性)

 

Q2 2日前に「便利に利用できる」とモバイル通信サービスを電話で勧められ、申し込んだが、よく考えてみると光回線を利用しているので必要ないと思い、その日のうちに事業者へ断りの電話を入れた。ところが事業者は「口頭でも契約は成立している。機器代金と月額利用料金で合計4万円を解約料として支払わないと解約できない」と言う。契約書面もなく、サービス内容も不明なので、納得がいかない。  (30代 男性)

A Q1の場合、相談者は回線を変えるだけと理解していたようですが、実際は電話回線とは全く別のモバイルデータ通信の申し込みであり、代理店の説明不足だと思われます。通信サービスは特定商取引法が適用されないので、電話勧誘であってもクーリング・オフはできません。しかし、今回の場合、自主クーリング・オフ制度があるようなので、相談者には、代理店に契約の取り消しを通知する書面を送るよう助言しました。当センターからは代理店に連絡がつかないため、通信事業者に連絡し、機器の返送先と請求の取り消しを確認し、

解決しました。

 

  Q2の場合、Q1と同様に通信サービスに関する相談です。通信サービスを規制する電気通信事業法では、提供条件の電話による説明の後、遅滞なく書面交付が必要とされています。相談者にその旨説明し、書面が届いたらどのような記載になっているか確認するよう伝えました。後日届いた申込書を確認したところ、契約の内容についてはホームページで確認するようにとありました。ホームページには、契約月に解約した場合には約4万円の解約料がかかると記載されており、これを根拠に請求していると思われます。

 

電話では、そのような説明がなかったことなどから、解約料の請求には応じられないと主張してはどうか、とアドバイスしました。

 

相談者は勧誘してきた事業者と通信事業者に対し、解約通知を発信し、センターからも交渉したところ、解約に応じ、解約料も発生しないとの連絡があり、解決しました。

 

これらの事例のように電話勧誘による通信サービスの契約トラブルが増えています。契約内容やサービス内容が複雑な場合が多いので、自分の利用目的に合った商品、サービスであるかを見極める必要があります。原則として、契約は口頭でも成立しますので、家族や周囲の人に相談するなどして十分検討し、あいまいな返事をせず、不要な場合は、はっきりと断りましょう。

モバイル通信とは…

ケーブルを使わず、電波を利用した通信サービスで、通信可能エリア内のさまざまな場所でインターネットができます。しかし、利用するには通信機器が必要で、利用方法や料金形態が複雑な場合が少なくありません。次被害」が多発しています。このような不審な勧誘には一切応じないで、すぐに最寄りの消費生活センターに相談しましょう。

 

本当に床下工事をしたの?高額契約、解約したい

9月掲載)

 

Q 2週間前に、一人暮らしをしている認知症である80代の母の家に、男性2人が訪問してきて、床下収納を開けて作業したという。それから契約書にサインをさせられ、31万5000円の料金を請求されたので、母は翌日16万5000円を支払ったようだ。1週間後の年金支給日には金融機関に車で連れて行かれ、お金をおろして15万円を手渡し、怖い思いをしたという。母は工事の内容を全く分かっていない様子で、事業者が置いていった契約書等を見ても「床下工事一式」と書いてあるだけで、何の工事の契約か分からない。母を担当しているケアマネージャーとともに床下を確認したが、床下に工事を施した形跡がない。不審なので解約したい。(60代 女性)

A 家に訪ねて販売しており、特定商取引法(特商法)の訪問販売に該当します。特商法では、事業者は勧誘開始前に事業者名、勧誘目的などを明示する義務や、法律で定められた内容が記載された契約書面を交付する義務があり、消費者は書面を受け取ってから8日以内であればクーリング・オフができます。

 

当事者に確認すると、何が起こったのかほとんど理解していない様子でした。契約書は交付されていましたが、内容を見ると「床下工事一式」とのみ記載されており、内訳についての記載は全くなく、書面に不備が認められました。これらのことからクーリング・オフの期間は過ぎてはいるものの、書面不備によるクーリング・オフを主張できると考えられました。

 

相談者には、契約書を見ても何の工事か分からないことや、工事の形跡が確認できないことなどを手紙に書いて、返金を求めてはどうかとアドバイスしました。後日、解約を求める手紙を相談者が代筆して事業者に送付。当センターからも連絡をしたところ、事業者から「当日は排水管の高圧洗浄に行き、床下の点検や土壌処理を行った」という説明がありました。しかし、当事者が契約内容を理解していないことや書面の不備を指摘し、クーリング・オフに応じるよう求めたところ、事業者もこれを認め、後日、全額が返金されました。

 

ちなみにこの事例は、当事者が話し相手に来たボランティアに契約時、怖い思いをしたことを話したのがきっかけで、遠方に住む娘に連絡が入り、担当のケアマネージャーと連携して当センターに相談し、解決できたものです。

二次被害かも!? ご注意ください

  以前、訪問販売等で布団や浄水器を勧誘されて契約したり、不要な床下工事や点検などを勧められたりして、高額な料金を支払った経験のある人は十分注意をしてください。二次被害につながる勧誘をされる可能性もあります。

  よく内容が分からない工事や高額な物品の購入を勧められた場合、その場ですぐ契約せずに、必ず家族や周囲の人に相談しましょう。

  また、遠方で一人暮らしをする家族を持つ人も、地域や福祉の方とのコミュニケーションを大切に、見守りをすることが必要です。

 もし、トラブルに遭ったら最寄りの消費生活センターへ。

 

注文していないのに…〜健康食品代支払うの?〜 

(8月掲載)

 

Q 4日前、自宅にかかってきた電話で、健康状態を尋ねられたため「足腰が悪い」と答えたところ、海藻(モズク)を使った健康食品を勧められた。「いらない」と断ったにもかかわらず2日前に商品が届き、1万9800円と記載された振込用紙も同封されていた。年金生活であり、高額で支払えないので返品したい。( 70代 女性)

 

A 電話による勧誘は、特定商取引法における電話勧誘販売に該当し、契約書面の交付義務や書面受領後8日間のクーリング・オフが規定されています。

 

 また、一般的に契約は事業者の勧誘に対して消費者が承諾をすれば成立します。この事例では「いらない」と断っているので契約は成立していないと思われますが、事業者が契約は成立していると主張する可能性がありますので、念のためクーリング・オフの通知を送付するようアドバイスしました。当センターより事業者に連絡し、相談者がクーリング・オフの手続きをしたことと、届いた商品は着払いで返送することを伝え、了承されました。 

 

このように断ったにもかかわらず、事業者から一方的に健康食品が送られてきたり、「買う」とはひと言も言ってないのに化粧品が届いたりする相談が全国の消費生活センターに寄せられており、独立行政法人国民生活センターは注意を呼び掛けています。頼んだ覚えがない商品が送り付けられた場合は安易に受け取らないようにしましょう。

 

被害に遭わないためには、突然の見知らぬ事業者からの電話には十分注意し、長時間の勧誘やしつこいセールストークには、迷惑であることをきっぱりと伝え、不必要な商品を勧められたらはっきりと断りましょう。健康食品はあくまでも「食品」です。「血液がサラサラになる」などと効能・効果をうたって販売するのは違法行為です。

断り切れずに購入し、クーリング・オフの期間を過ぎていても、悪質な勧誘であれば解約できる場合もありますので、最寄りの消費生活センターへ。

 

紛失したプリペイドカード〜払い戻しはできないって本当?〜 

(8月掲載)

 

Q ガソリンスタンド発行のプリペイドカードを紛失した。給油レシートにカード番号が記載されていたので発行者に連絡し、利用停止手続きをしたが、再発行や払い戻しはできないと言われた。かなり残高が残っていたので納得いかない。(40代 男性)

 

A 現金を入金して使う前払い方式のプリペイドカードはガソリンスタンドのほか、大型スーパーや交通系(鉄道、バス、地下鉄)などさまざまなところから発行されています。何度でもチャージ(入金)できる電子マネー方式のものもあります。

 

 プリペイドカードに関しては「資金決済に関する法律」が適用され、基本的には紛失や盗難の場合、払い戻しができないことになっています。あらかじめ住所や名前などの個人情報を登録している記名式カードの場合は、再発行されることもありますが、そのカードの発行者により扱いが異なります。相談者にその旨説明し、約款を確認するよう助言しました。

 

 なお、発行者が事業を廃止し、カードの発行と利用を止めた場合は、払い戻しされることもありますので、発行者に問い合わせましょう。

 

 

 

2000万円を支援…〜受け取るつもりが費用が高額に〜

7月掲載)

 

Q  仕事を探すため携帯電話でネット検索し、副業を紹介するというサイトを見つけ、登録した。サイトからメールが届き、開封すると「あなたに2千万円支援したいという男性を紹介する」という内容だったので、返信してしまった。するとサイトから「相手と同ランクの会員にならないとメール交換ができない」というメールが届き、同ランクになるための費用として3000円分のポイントをクレジットカードで購入した。その後、サイトやサイトを通じて相手からも「直接メール交換するためには、アドレス等を交換する費用が必要だ」とメールが届き、指示通り次々とポイントを購入した。2日で27万円ほどに上り、カードの限度額に達してしまった。しかし、サイトからは電子マネー等で払えと何通もメールが届き、怖くなった。だまされていたのであれば、カード決済分をキャンセルしたい。 (20代 女性)

A サイトのポイント購入が高額になってしまった、というトラブルが相談窓口には多く寄せられています。最近は「サクラサイト商法」として、独立行政法人国民生活センターなどが注意を呼び掛けています。

 

この事例のように仕事を紹介する情報サイトがきっかけだったり、異性との出会いが目的だったりすることもあります。また、悩みを抱えていると設定された著名芸能人やそのマネージャーなどの相談等に応じ、やめようとすると「あなたから見放されたら自殺するしかない」などと心理的に追い込まれることなどもあります。

 

いずれもサイト業者に雇われたサクラが、異性や芸能人、社長、弁護士、占い師などを名乗り、「お金を受け取るための環境設定費用」「システム構築費用」などさまざまな名目でポイントを購入させ、気づくと高額料金になっていたというものです。

 

証拠メールを保存しましょう

  相談者には契約の経緯とクレジットの支払い停止の通知をカード会社と決済代行会社に送るようアドバイスしました。証拠となるメールが残っていたのでセンターに転送してもらった後、センターから各社に対し、「サイト側の利益しか考えられない。支援を申し出た人が実在する人物とは考えにくく、サクラ〞の可能性が疑われる」等の問題点を指摘し、証拠となるメールも残っていることを伝えました。さらに決済代行会社に利用したサイトへの事実確認を依頼したところ、全額キャンセルすると回答があり、後日、カード会社にキャンセルが入ったことを確認し、終了しました。

「お金をあげる」「簡単に高収入」などのメールには注意が必要です。トラブルに遭ったと感じたら、まずは可能な限り携帯電話やパソコンに届いたメールやサイト内に残っているメールを保存するかプリントアウトしておき、電子マネー等で支払った場合は、領収書など支払いの記録も保存し、最寄りの消費生活相談窓口に相談しましょう。

※決済代行会社とは…クレジットカード決済について、取引決済を代行する事業者。出会い系サイトなどの事業者が、クレジットカード会社の直接の加盟店になれないため利用することが多いようです。                            

 

太陽光発電システム…〜今ならモニター価格?〜 

6月掲載)

 

Q 「太陽光発電システムを、今ならモニター価格で安く設置できるので、訪問して説明したい」という電話があった。売電もできると言うが、信用できるか。( 70代 男性)

 

A 太陽光発電システムの訪問販売にかかわるトラブルについては、独立行政法人国民生活センターでも注意を呼び掛けています。

 

 東日本大震災以降、停電に強い自然エネルギーであることなどを強調し、震災に便乗するケースや、さらに「補助金が出るので、自己資金は一切かからない」「売電収入で機器代がまかなえる」などメリットのみを強調するセールストークで勧誘するケースも見られます。「モニター価格には数に限りがある」と言って契約を急がされたり、長時間の勧誘等で冷静に判断できない中で契約してしまったりする相談も寄せられているので、十分注意するよう伝えました。 

 

太陽光発電システムについては、補助金や自然エネルギーによる全量買取制度の導入など国として普及を推進していますが、一般家庭にとっては高額な商品でもあり、日照時間や屋根の形状、地域的な特性などで発電量が異なるため、導入にあたって慎重な検討が必要です。

 

設置にあたっては、ショールーム等で現物を確認し、複数の事業者からカタログや見積もりを取って、価格だけではなく、アフターサービスも含め内容の確認をすることなど情報を収集することが有効だと思われます。 

 

なお、訪問販売の場合、期間内であれば、クーリング・オフができます。トラブルになったら消費生活センターへご相談ください。 

 

ネット通販で靴購入…〜クーリング・オフできる?〜 

6月掲載)

 

Q インターネット通販で靴を購入したところ、サイズが合わなかった。返品不可とあるが、クーリング・オフはできないのか。( 30代 男性)

 

A 通信販売の場合、特定商取引法におけるクーリング・オフの規定はありませんが、事業者は広告に返品等について表示する義務があります。このケースでは返品不可とのことなので、不良品の場合を除き、返品は難しいと思われますが、念のため事業者に確認してみるようアドバイスしました。

 

インターネット通販は、パソコンや携帯電話から簡単に買い物ができ、幅広い世代が利用しています。しかし、手に取って見たり、試着したりできないため、商品を受け取った後、「サイズが合わない」「イメージと違う」といったトラブルが発生することもあります。購入前にサイト内で返品や交換ができるかどうかを確認することが大切です。中には一旦開封した物は返品不可という場合もありますので、注意が必要です。 

 

また、ネットで旅行代理店を通じて航空券を申し込み、前払いしたもののチケットが届かず、その後旅行代理店と連絡が取れなくなった、という相談も寄せられています。前払いの場合は特に注意しましょう。

 

 なお、事業者を推奨したり、商品等の品質を保証したりするものではありませんが、一定の基準をクリアしているサイトに付与する「オンライントラストマーク」=下図=という制度があります。事業者を選ぶ際の目安にするのも一つの方法です。

  見本

 

カンタンにもうかるの?悪質なマルチ商法にご注意!

5月掲載)

 

Q  4日前、SNSで知り合った女性と会った。ビルの一室へ連れて行かれ、「この会社は、化粧品や健康食品を売っていて私も会員。私が誰かを紹介すると収入になる」と言われた。その後、男性も来て「彼女もうちの化粧品を使って肌がきれいになった。配合されている成分は細胞を生き返らせ、遺伝子にもよく、癌も抑制する。7人勧誘し、その人たちが会員を増やせば、たった3カ月で月収10万円くらいになる」と言われた。良い話だと思い、翌日印鑑を持参して19000円の健康ドリンク2本の契約をし、現金で18000円を支払った。このことを友人に話したら反対された。クーリング・オフできるか。(20代 男性)

 

A 「会員を増やせば収入になる」等の誘い文句で個人を販売員として勧誘し、誘われた人が販売員となってさらに次の人を勧誘していく―このようなかたちで、販売組織を連鎖的に拡大していく商品・役務(サービス)取引のことを連鎖販売取引といい、「マルチ商法」と呼ばれることが多いものです。 

 

連鎖販売取引は特定商取引法(特商法)で規制されており、概要書面や契約書面など書面の交付義務、勧誘に関するさまざまな禁止行為、中途解約返品制度などの規制を設けており、事業者だけではなく、末端の販売者にも規制が及びます。 

 

連鎖販売取引では、契約書面受領日、または商品の受領日のどちらか遅い方から起算して20日間はクーリング・オフが可能です。

 

この事例は、連鎖販売取引だと考えられますので、相談者にクーリング・オフの仕方を説明し、事業者に通知するよう助言しました。書面を送付した後、当センターから当該事業者へ確認したところ、商品が届き次第、返金するということでした。相談者へその旨伝え、返金を確認し、終了しました。

 

まだまだ横行! きっぱりと断ろう

  事例のように化粧品や健康食品などの商品を買って組織の会員になり、友人等を紹介し、加入者を増やすことで簡単に大きな利益を得られると勧誘するのが典型例です。 

しかし、仕組みが分かりにくい取引であり、実際にもうかるのはほんの一握りの組織の上位者だけで、購入した商品と借金だけが残る場合が多いと考えられます。悪質な勧誘による苦情は、一時期減少したかに見えましたが、「ネットワークビジネス」などといろいろな名称が使われており、当センターに相談が寄せられるのはごく一部と考えられます。「絶対にもうかる」「簡単に月収100万円になる」などという甘い言葉に惑わされないようにしましょう。 

最近は、事例のようにSNS(友人を紹介し合い登録していくコミュニティ型のウェブサイト)で知り合った人から誘導される場合や、「出資による配当金のほかにも、人を紹介して契約に結び付けば紹介料がもらえる」などいった「マルチ商法型の出資〞勧誘」の事例も見受けられます。勧誘者が無登録で勧誘を行った場合は、出資法や金融商品取引法等に抵触し、刑事罰の対象になる恐れもありますので注意しましょう。

 マルチ商法は、家族や友人、知人を巻き込んで人間関係を壊してしまう危険性もあります。契約するつもりがなければ、勇気を持ってきっぱりと断ることが大切です。

 

同意をクリックしただけ!…〜スマホの不審なアプリ入手に注意〜 

6月掲載)

 

Q スマートフォン(以下、スマホ)でアダルトサイトの動画を見るために、アプリケーション(以下、アプリ)をインストールした。動画を見ている途中で画面が切り替わり、3日以内に9万円を振り込むようにと表示が出て驚いた。電話番号は知らせていないはずなのに、1週間後に電話がきて早く振り込めと言われた。「同意」をクリックしただけで事前に料金の説明はなかった。今後どうしたらよいか。(20代男性)

 

A 相談者のワンクリックは申込みの意思表示とは考えにくく、契約が有効に成立しているとはいえません。また、事業者が契約成立を主張したとしても、ボタンをクリックすることで申し込みの意思表示となることを消費者が容易に確認でき、かつ、訂正できる措置がなければ、電子消費者契約法により、錯誤による契約の無効を主張できると思われます。契約した覚えがなければ請求には応じず、無視するよう助言しました。

 

 独立行政法人情報処理推進機構によると、個人情報などを不正に盗み取るため、不自然なアクセス許可をユーザーに求めるアプリが発見されたとのこと。この事例もウイルスに感染し、電話番号等の個人情報を通知した可能性はありますが、過度に不安になる必要はありません。事業者から電話がきた場合も同様に、取り合わないよう伝えました。

 

 急速に普及するスマホは携帯電話と違い、さまざまな機能を自由に追加できる半面、危険なアプリが混じっていることがあります。OS(基本ソフト)を更新、ウイルス対策ソフトを利用した上で、OS提供事業者や携帯電話会社などが安全性の審査を行っているアプリ提供サイトを利用する等のセキュリティ対策を取りましょう。

 

 

強引なリフォーム業者…〜「損保で無料修理」と誘う〜 

(4月掲載)

 

Q 「火災保険に入っているか」とリフォーム業者から電話があり、後日保険証書を見に来た。雪でへこんだサイディングは、一切負担なく保険で直せると説明されたが、保険代理店に任せているので代理店に連絡して、と伝えた。後日、事業者が契約内容や金額の記載がない工事請負契約書を持参して再訪。代理店に連絡済みと思い署名した。しかし、その後代理店とは無関係と分かったので解約したい。(80代男性)

 

 A 訪問販売で契約の場合、契約書面を受け取ってから8日間はクーリング・オフできます。また、書面不交付や記載内容に不備がある時は、8日間を過ぎていても可能です。この事例は書面に不備があるので、相談者にはクーリング・オフを書面で通知するよう助言しまし

た。

ところが事業者は契約違反だとして違約金、見積りや写真撮影等の経費、保険金請求代行費用を請求。当センターは、見積り等はクーリング・オフの対象となること、保険金請求代行手続きの委任状が存在しないのでは、と指摘したところ、事業者は請求を取り下げました。

 

住宅や家財が雪災(豪雪やなだれなどによる損害)によって損害を受けた場合、火災保険で保険金が支給されることがあります。しかし、この事例のように不審な勧誘が見受けられることから、注意が必要です。一般社団法人日本損害保険協会北海道支部でも@強引契約を迫るA住宅所有者に成りすまして保険金請求を行うB工事費を水増し請求するC法外な手数料を取るDずさんな工事をして逃げる―といったトラブルに巻き込まれないよう注意を呼び掛けています。

 

 

先物取引、未公開株 …〜以前の損害、回復できる?〜 

(3月掲載)

 

Q1 10年以上前、先物取引に投資したが、事業者が倒産して損害を被った。先日「破綻した事業者の隠し口座が見つかったので被害者に返金している」と見知らぬ事業者から連絡があり、返金事務を行っている会社を紹介された。電話をかけてみると「あなたの被害額300万円全額を返金するので、手数料として返金額の30%である約100万円を手持ちの有価証券で支払ってほしい。返金されたらその手数料分も含めて振り込む。有価証券がなければうちが仲介する」と言われた。(60代男性)

 

Q2 2年前、必ず買い取りしてもらえる未公開株だと電話で説明を受け、50万円分を購入した。ところが買い取りもされず、解約もできないまま事業者と連絡が取れなくなった。先日、被害救済をしているという団体から電話があり、「資金提供機関の審査を通れば被害相当額を返還できる。返還されたら1%をお礼として支払ってもらうだけでよい」と言われ、審査を受けた。後日、団体より「取引実績がない人は審査が通らない。いくらでもよいのでうちと取引してほしい」と言われた。(60代女性)

 

Q3 以前、疑似通貨のマルチ商法で、一千万円を超える被害に遭った。そのマルチ商法被害弁護団を名乗る株式会社から被害金を取り戻すとの書面がFAXで送られてきた。そこに連絡すると相手の男性は「証書をくれれば半額返金するので会いましょう」と言ってきた。今まで失敗した多額の投資分を少しでも取り戻したい。この男性は、私や私が勧誘した人たちの詳細まで知っていた。お金もかからないようだが、信用してもよいか。( 70代女性)

 

A いずれの事例も一度被害に遭った人の名簿などの情報を基に連絡しているものと思われます。このため返金されるとは考えにくく、再び被害に遭う恐れがあります。

Q1の場合、新たに別の商品を購入させたり、手数料を支払わせたりしますが、被害回復が実行されることはなく、やがて事業者と連絡が取れなくなるかもしれません。手数料を有価証券で請求してくるのも不審

なので、一切取り合わないよう助言しました。 

Q2は、当該団体の信用性を当センターで判断するのは難しいですが、被害回復のための資金提供機関が実在するとは考えにくく、さらに費用を負担させようとする二次被害の可能性が高いのできっぱり断るよう助言しました。

Q3は、勧誘者と会った際、保証金等、何らかの名目で金銭を負担させられる可能性があります。当センターが書面に記載されている弁護士名を確認したところ、弁護士登録されていませんでした。その旨、相談

者に伝えるとともに、実在する被害弁護団の連絡先を案内しました。

 

不審な勧誘に注意

過去に投資などによって被害を受けた消費者に対し、電話やFAXなどで被害回復ができると持ちかけ、返金のための手数料を求めたり、別の金融商品を勧めたりする「二次被害」が多発しています。このような不審な勧誘には一切応じないで、すぐに最寄りの消費生活センターに相談しましょう。

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開運ブレスレット 〜宗教ではないのに祈祷料?〜

(2月掲載)

 

Q 半年ほど前、自宅に届いたはがきを見て、開運ブレスレットを購入した。商品には「いいことがあったら電話をください」と書かれている書面が同封されていたので電話をかけ、将来の不安などを話すとカウンセリングを勧められた。「108万円かかるが特別に54万円にする」と言われたが、高額なので払えないと言って断ると「30万円にしてあげる。残りは運気が上がり宝くじにでも当たったら払って」と言われ、断りきれずに契約してしまい、30万円を振り込んだ。届いた書面を見ると「ご祈祷願い書」とあり、まるで宗教のようで、話が違うので解約したい。(50代女性)


A
 この事例は、事業者が電話をかけることを要請しているので、特定商取引法(特商法)における電話勧誘販売と考えられます。契約書面を確認したところ、特商法で記載が義務付けられている商品名、契約金額、クーリング・オフ等の記載がなく、契約書面を交付したとはいえないので、期間は過ぎていましたが、相談者にはクーリング・オフの通知を出すよう助言しました。当センターからも事業者に連絡したところ、後日、祈祷料金が返金されました。

 

 この事例のように悩みや不安につけこんで高額な契約をさせる商法を「開運商法」といいます。ほかに「家族が不幸になる」などと不安をあおり、印鑑や壺、数珠を売り付けるケースもあります。携帯の占いサイトから被害につながるケースもありますので注意が必要です。

 

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完納済みなのに… 〜解約に応じない冠婚葬祭互助会〜

(2月掲載)

 

Q 1年ほど前から約20万円を完納済みの冠婚葬祭互助会の解約を申し出ているが、担当者に「今後のことを考えて持っていた方がいい」などと言われ、解約してくれない。その後も何度も解約したいと営業所へ電話しているが「解約手続きに3カ月かかる。担当者でなければ話ができない」などと言われ困っている。解約できないものなのか。(40代女性)

 

A 冠婚葬祭互助会とは通常、会員が一定の掛け金を積み立てて結婚式や葬儀などで必要になったときに、契約した内容でサービスを受けられるシステムとなっています。サービスを受けないうちに解約することもできますが、預貯金とは違い互助会への掛け金に利子はつかず、解約するときは手数料が発生するのが一般的です。

 

 冠婚葬祭互助会は前払い式であることから、前払金の保全を義務づけるなど割賦販売法で規制されています。なお、この事業者は解約に時間がかかると言っていますが、業界団体が法令をもとに作成する現行のモデル約款では、契約者から契約解除の申し出があれば、事業者は申し出の日から45日以内に返金することになっています。

 

 相談者にはその旨説明し、当センターからも当該事業者のお客様相談室へ苦情を申し出たところ、「契約者から申し出があれば解約手続きの用紙を送付する」とのことでした。相談者には、営業所の担当者に連絡するのではなく、お客様相談室に解約を申し出るよう助言しました。後日、相談者から、解約の手続きを進めているとの報告がありました。

 

 このように解約を引き延ばされたり、思いのほか高額な解約手数料でトラブルになったりするケースがあります。契約するときは必ず約款を確認し、分からない点は事業者に説明を求めましょう。

 

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しつこい新聞の勧誘〜クーリング・オフできる?〜

1月掲載)

 

Q 一人暮らしを始めた大学1年生の息子が昨日、新聞購読の契約をした。家を訪ねて来た人は新聞の勧誘であることを告げず、300cの洗剤4箱と2`の米2袋を渡してきて、「以前新聞を読んでいたか」「大学生だったら新聞は必要」などと言ってきたようだ。息子はそこで初めて新聞の勧誘と分かり、断ってもしつこく勧められ、景品を受け取った後なので、仕方がなく契約したらしい。契約期間は半年後の6月から12月まで。朝刊のみの月額3千数百円。解約したいと言っている。(40代 女性)

 


A
 訪問販売は特定商取引法で規制されており、事業者は勧誘開始前に事業者名、勧誘目的などを明示する義務や、法律で定められた内容が記載された契約書面を交付する義務があり、消費者は書面を受け取ってから8日以内であればクーリング・オフできます。

 

 相談者にはクーリング・オフの仕方を説明し、発信記録が残る形で新聞販売店へはがきで通知するよう助言しました。当センターからも販売店に連絡し、受け取った景品の扱いを尋ねると、現状のまま引き取りたいとのことだったので、その旨、相談者に伝え、終了しました。

 

 事例のように契約してすぐにクーリング・オフを申し出れば解約できますが、購読開始が半年や1年先で、新聞が届き始めてから慌てて解約しようとしても転居等の理由を除き、原則一方的な解約はできません。販売方法に問題があればそれを主張し、双方で話し合うことになりますが、解約に応じてもらえない場合や、解約できても違約金や景品の返還について問題になる場合もあります。新聞の景品には上限があり、新聞公正取引協議会は「取引価格の8%か、6カ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲」と規定しています。あまりに高額な景品は違反の恐れがあることを知っておきましょう。

 

 景品を渡されるとなかなか断りづらいものですが、新聞は長期間にわたることが多い契約なので、購読紙の選択は慎重に検討した方がよいでしょう。また、契約書の控えは契約期間が終了するまで大切に保管しておきましょう。春に向かい、就職や進学で一人暮らしを始める人が多く、いろいろな勧誘が増える季節です。十分注意してください。もしトラブルに遭った場合、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。

 

多い新聞勧誘トラブル

 当センターに寄せられる訪問販売の相談の中で、「新聞」に関しての相談は、ここ2、3年、「商品・サービス」の件数の多い方から3位以内に入っています。問題のある販売方法やクーリング・オフ妨害と思われるケースを紹介します。

 ・チャイムが鳴ったのでドアを開けると新聞勧誘員だった。購読を勧められ断ったが、開けたドアに足を挟んだためドアを閉められず、帰ってくれないので仕方なく契約した。
 ・新聞勧誘員が来訪してきたが断ったところ、缶ビール1箱、2`の米3袋を玄関に置き、何年先でもいいからと契約を迫られた。「大震災で新たな顧客が見込めず生活が困窮、助けるつもりで契約してほしい」などと言って粘られた。
 ・契約書に記載のあった新聞販売店にクーリング・オフを通知したところ、勧誘した人はうちの従業員ではないので当店では応じられないと言われた。

 

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