(12月掲載)
Q,3年前、訪問販売で10年間保証の浄水器を購入した。ところが最近、販売業者から倒産の通知が届き、その数日後、前と同じ販売員が「会社が倒産したため職場が替わった」と来訪し、「新たに浄水器を購入してほしい」と言う。突然の話しでおろおろしているうちに、強引に浄水器を取り付けていった。納得できない。
A,以前契約したことのある販売員が「前の会社が倒産した」「再就職した」などの名目で突然来訪し、高額な商品やサービスを再契約させる事例が各地で発生しています。社会問題になった床下点検商法でも、ほとぼりが冷めるのを待っていたようにメンテナンスを装って再訪問し、不必要な工事をしていく事例も発生しています。
今回、新しく付けていった浄水器の値段は前回と同じ30万円もしました。相談者は相談窓口の助言をえて業者と自主交渉し、その結果、業者は価格を大幅に値引きすることになりました。しかし、全額は返金されませんでしたし、業者への不信も残りました。
悪質な訪問販売業者は、計画的に社名を変更したり、顧客リストの横流しも行っています。「10年保証」「生涯保証」など安心を売り込む業者もいほますが、倒産すれば約束は反故(ほご)になります。訪問販売では、とても条件のよい話しであってもその場で契約せず、まわりに相談する慎重さが必要です。
(12月掲載)
Q,「(株)宝石のありもとダイヤモンド友の会」の会員になり、積立を続けていた。新聞に、親会社が倒産し子会社の「友の会」も破産手続きの申立をした、とあった。積立金はどうなるのか心配だ。
A, 「友の会」は割賦販売法に基づき、会員が積み立てた会費(前渡金という)を預かり、その親会社の商品を会員に取り次ぐものです。前渡金は割賦販売法により、残高の1/2に相当する額を保全する義務が課せられています。「ありもと友の会」の場合も、法務局などへの供託により前渡金の1/2相当額が保全されています。
従って、前渡金残額の1/2相当額は会員に配分されることになります。還付を希望する会員は、割賦販売法による還付手続きに従い、債権の申立書を北海道経済産業局に提出する手続きが必要です。同局は会員台帳を入手しており、11月17日会員に「申立書」の用紙と還付手続きのお知らせを発送しました。「申立書」の受付は平成19年1月25日までです。期限厳守ですので用紙が届いていない会員は、北海道経済産業局消費経済課に問い合わせてください。
問題は、残り1/2の返還ですが、今後は破産管財人による整理を待たなくてはなりません。従業員の未払い給与などの問題もあり、現段階では何とも言えません。12月に経済産業局の説明会が開かれる予定ですので、情報には十分注意してください。
「息子に良縁がある」と言って、130万円もの印鑑を売りつけられた。
以前、表札を購入したことのある業者が訪れ、「無料で姓名判断してあげる。よく当たる先生を連れてきた」などと家に上がり込み、長時間にわたり「これを作れば神様が守ってくれる」「独身の息子さんに良縁がある」などと言って、印鑑を売りつけるものです。一度応じると、さらに次々と品物を売りつけられる可能性があります。注意しましょう。(この事例は、9月頃から九州地方で発生しました。)
この情報は、内閣府の「見守り新鮮情報・第6号」に掲載されています。
(11月掲載)
Q,2年ほど前、知人に「着物の展示会がある。友人を連れて行けば2千円もらえるので、買わなくてもよいからきてほしい」と頼まれ、購入するつもりはなかったがついていった。ところが店長ら数人に囲まれ「着物を購入して会員になれば、今後、展示会にくるだけで2千円の収入になる」「今購入すれば、あなたの友人に報酬が出るし、あなたにも戻り金がある」などと説得され、仕方なく長襦袢などを購入した。その後、何度も呼び出され、1年余りの間に着物や帯など17件約8百万円も契約してしまった。未使用分だけでも解約したい。
A,きわめて強引な販売が繰り返されていました。呼び出されて展示会に行くと、店長以下数人が取り囲んで商品を肩にかけ、「こんなよい品は他店では2?3倍もする」「支払いは何とかなる」など、買うと言うまで立つこともできませんでした。クレジットの支払通知で夫に知られると困るからと拒むと「契約書には当店の外交員ということにして店に送ってもらおう」。着物は十分あるからと断ると「ではお母さんに、妹さんに―」。
「支払いが大変でしょう、あなただけ特別に援助します」「契約だけしてすぐ解約を申し出ればよい」などと言われたこともありましたが、約束は守られませんでした。
なぜ度重なる呼び出しを断らなかったのでしょう。契約金額がかさんだ相談者は、返済のために少しでも収入を得ようと、参加報酬の2千円を当てにしたのかもしれません。相談を受けたセンターは事業者に対し、販売方法が強引であること、契約書に「外交員」と書かせたことは書面の虚偽記載にあたること、解約に応じるという約束を守らなかったことなどを指摘し、対応を求めました。事業者は販売方法の行き過ぎを認め、交渉の結果、すでに支払い済みだった分や使用していたものの一部を除き、約6百万円分をキャンセルすることで双方が同意しました。友人からであっても、販売会への誘いは十分注意しましょう。また、不本意な契約をさせられた時は、すぐ相談窓口に相談しましょう。
着物販売 他にもこんな苦情
着物販売では、店舗や展示会に足を運ばせ、契約させるためのさまざまな方法が行われています。例えば「和装モデル募集」の広告―。応募者に採用を告げ、すかさず「着物は用意するが帯や草履は負担してほしい」と購入を持ちかける例もあります。また「京都・着物の旅―お得意さまにかぎり参加費○万円」などと参加者を募ることもありました。招待気分で参加したために大変な目にあったという苦情もありました。「独身の店長を紹介する」などと恋愛感情を演出して次々販売された事例もあります。勧誘や募集にはくれぐれもご注意を。
(10月掲載)
Q,大学の構内で友人から「おもしろいサークルがある」と誘われた。行くと「健康機器を購入して会員になり、知人を勧誘すれば紹介料が入る。機器は大手の美容室に貸すので貸与料も入る」と説明された。月収50万円も夢でないと言う。購入契約し、代金40万円はサラ金から借りさせられて払った。しかし、よく考えると不安だ。
A,マルチ商法(連鎖販売取引)と言われるものです。商品を販売することで得られる利益よりも、友人や知人を会員にすることで得られる利益のほうが大きいのが特徴です。従って、学友を勧誘しやすい大学や短大、専門学校などでよく広がります。
しかし、思惑通りもうけることは至難です。会員は勧誘に血眼ですので必ず行き詰まります。勧誘できても、友人に経済負担を負わせることになり、人間関係にヒビが入ることもあります。美容室からの収入も保証はなく、借金だけが残るおそれがあります。
マルチ商法は禁止されていませんが、特定商取引法で勧誘にさまざまな規制があり、抵触すると一般会員でも処罰の対象になります。20日間のクーリング・オフ期間が定められており、相談者は契約して10日目でしたので、やめたいのであれば書面でクーリング・オフ手続きすることを助言しました。
(10月掲載)
Q,「ブライダル関係」という業者に電話で呼び出された。ところが業者の車内で激しくダイヤ購入を迫られ、契約書にサインし、解約しないという誓約書も書かされた。電話でクーリング・オフを申し出て、一応了解されたが、大丈夫だろうか。
A,同じ業者と思われる苦情が複数寄せられています。呼び出し方が強引です。勤め先などに電話してきて冠婚葬祭のことを一方的に話します。しびれを切らせて切ると、すぐ再電話してきて「話し中に切れてしまったようですが?」。返答に詰まると「人の話は聞きなさい」と一喝。すかさず「いつ会えますか?」と約束を取りつけます。
会いに行くと大変なことになります。車に乗せられ、ドアをロックされることもあります。ダイヤの購入話を持ちだされ、断ると「じゃあ、なぜ来たんだ。けんかを売りに来たのか!」。「お金がない」と答えるものなら「消費者金融から借りなさい」。
業者は、電話を切らせるようにし向け、それにつけ込んで再電話で優位に立って呼び出しています。対策は「これ以上電話をかけないで下さい。かけたら警察に通報します」と毅然として断ること。絶対に会ってはいけません。
相談者には電話でなく配達記録郵便で契約解除を申し出る[1]脅されて書かされた誓約書は無効なのでトラブルになった場合は再度相談することを助言しました。
(9月掲載)
Q,絵画販売会社の知人から「絵を購入したことにしてクレジットを組んでほしい。毎月入金するので支払いは心配ない。謝礼は出す」と頼まれ、承諾した。信販会社からの確認電話にも教えられたとおり「はい」と答えた。
ところが、数ヶ月続いていた口座への入金が止まり「会社を整理した」と通知があった。信販会社から請求がきているがどうしたらよいか。
A,この会社は、社員や関連会社の従業員を動員して、その友人・知人に実際は絵画を購入していないのに購入したように見せかける「名義貸し」を働きかけていました。「人気画家の絵をたくさん仕入れたいが、法律で販売会社は絵を購入できない決まりなので、名義上あなたが買ったことにしてほしい」などと説明していたようです。
販売会社が整理されたことで、事件はマスコミで報道されました。その結果、「謝礼を出す」と言われて、深く考えずに名義を貸した人が数百人もいることがわかりました。その多くは20代、30代の人達で、中にはアルバイト感覚で約100万円の絵画を数枚買ったことにして、複数の名義を貸していた人もいました。
絵画は手元にないだけでなく、見たこともない人達です。「私達は被害者」という思いが強いと思います。しかし、法的には業者が無断で名義を使用した場合を除き、業者と一緒になって信販会社をだましたとみなされ、支払責任を負わされるおそれがあります。特に、謝礼をもらっていた場合の責任はより重いとみられます。信販会社が支払を求めて提訴すれば、法廷では「業者にだまされた」という主張は通らない可能性があります。
この業者に名義貸しした人は、前述のように数百人規模に達し、被害対策弁護団が結成されました。相談者にも同弁護団を紹介しました。現在、信販会社の加盟店(絵画販売会社)に対する管理責任等をめぐり交渉が続いているようですが、今後の展開は予断を許しません。名義貸しは絶対にしないでください。
「メール相談」について
道立消費生活センターは、電子メールによる消費生活相談を受け付けています。詳しくはHP(URL=本紙1面下)の「消費生活相談」をお読み下さい。
(8月掲載)
Q,街で女性に声をかけられ、体験エステを勧められた。試しに受けたところ「肌がカサカサ」「背骨がゆがんでいるので腰痛がひどくなる」などと長時間勧誘され、断り切れずに50万円コースを契約した。数回通っているうち、「あと50万円契約すると一生無料になる」としつこく勧誘され、仕方なくこれも契約した。しかし効果がなく、支払いが大変だ。解約したい。(20代男性)
A,相談者はさらに「再就職に有利」とエステスクールの受講も勧誘され、契約していました。これらの全契約額は約2百万円でした。
相談室は業者に、医師の資格がないのに背骨がゆがんでいるとした根拠、腰痛になると判断し、エステは効果があるとした根拠をただしました。また、最初の契約後、効果も確かめず、すぐ2回目の契約を勧めた理由もただしました。業者は根拠を説明できず、(1)解約手数料は請求しない(2)既払金から、背骨矯正の施術料を減額した上で既に施術した分を差し引いた残金を返金する、ことで合意しました。
なお、エステスクールについて業者は「勧誘していない」と主張しましたが、相談者は一回も受講していなかったため無条件解約になりました。
エステティックの勧誘では「インターネットの懸賞で当選したが、実際はエステの勧誘だった」「モデルに、と誘われたが、目的はエステ契約だった」などの苦情も寄せられています。ご注意ください。
(8月掲載)
Q,女性から「商品を見て感想を聞かせてほしい」と電話があり「この街は初めてなので案内してほしい」と呼び出された。会いに行くと、女性でなく男性がいて、120万円のアクセサリーを見せられ、強引に購入を勧められた。怖くなり契約したが、4日目に配達記録郵便でクーリング・オフの通知を出した。これでよいだろうか。
A,最近、若い男性をターゲットにした宝飾類の強引な販売が目立ちます。事例の相談者は、適切にクーリング・オフ手続きをしたため大事に至りませんでしたが、大変な目に遭った人も少なくありません。例えば―
(1)マイカーに乗り込んできた男性に何時間も缶詰状態で高額な指輪の購入を迫られた。仕方なく署名すると、翌日さっそく代理人と名乗る男性が集金にきた。
(2)電話で呼び出されて行くと、ファーストフード店に案内された。そこには上司という男がいて、店の片隅に座らされ、出られない状態でダイヤの指輪の購入を迫られ、強引に承諾させられた。
―事例に共通しているのは、他人からの呼び出し、特に異性の呼び出しに無警戒なことです。どんな落とし穴があるか考えるべきです。
車内や密室での面会は危険です。事の成り行きでどうしても契約が避けられない時は、解放されたらすぐ相談窓口(場合によっては警察)に相談しましょう。
(7月掲載)
Q,「無料で姓名判断をしてあげる」と来訪した業者にみてもらったところ、「先祖代々の霊のせいで、あなた本来の運が生きていない」「印鑑をつくると必ず幸せになれる」など長時間説得された。気持が不安定な時だったので、3本契約した。後日、業者はできた印鑑を届けに来て「3本では足りない。運を本当に好転させるためにもう1本つくりなさい」と言われ、追加契約した。合計金額は150万円を超える。冷静になって考えると、だまされたと思う。解約したい。
A,「家相が悪い」などと家に上がり込み、「あなたが不幸なのは先祖霊のせい」など長時間にわたって不安をあおり、高額な印鑑や表札、水晶玉などを売りつける訪問販売の苦情が寄せられています。
この相談者は、悪いことが続いて気が滅入っているときに来訪を受けました。業者は玄関先で「机があるところでないと姓名判断ができない」などと上がり込み、「このままでは不幸になる」「病気になる」「あなただけでなく家族にも悪影響が出る」などと長時間にわたって印鑑の購入を勧めました。
相談者は2回目の契約で「おかしい」と気づき、地域の行政相談窓口に相談しました。相談担当者は業者を呼んで勧誘時の状況を詳しく聞き出し、道立消費生活センターに連絡しました。センターは業者に対し、(1)訪問のさい勧誘目的を告げていない(2)「先祖霊」などと不安にさせることを告げて勧誘している(3)長時間勧誘である、など特定商取引法や道消費生活条例に違反する疑いのあることを告げ、解約を求めました。その結果、業者は合計4本の無条件解約に応じ、既払金を返金しました。
最初の契約から半年以上経過していましたが、地域の行政相談担当者が、相談者と業者の双方から勧誘時の状況を詳細に聴取していたことが、全面解決に結びつきました。
なお、見知らぬ人を家に上げることの危険性を十分認識しましょう。
霊感商法と宗教活動の違いは?
先祖の霊や因縁を供養し、人の不を和らげることは、昔から宗教活動として行われており、宗教団体や祈祷家に供養料や祈祷料を払うことはらも一般的です。では「先祖霊を祓う」などと称して業者が高額な印鑑等を売りつけることが違法とされるのはなぜでしょう。一般には(1)資金集めや販売自体が目的である場合(2)虚偽の説明をして不安や困惑におとしいれた場合(3)長時間、相手を軟禁状態に置いて支払いを約束させた場合C契約させた金額が生活に困るほど過大である場合ーなどを総合的に判断して違法性があるかどうかが判断されます。また、特定商取引法では、訪問販売で業者が販売目的を隠して営業行為をすることも禁止しています。
(6月掲載)
Q,スーパーの前でくじ引きをしていて、一等賞になった。当選者は音楽配信サービスなどを行う有線放送の初期加入料が無料になり、貸与されるチューナーなどの取付料も無料になるという。特典にひかれてその場で視聴契約をしたが、冷静に考えると視聴料が毎月約5千円かかる。家族にも反対された。クーリング・オフできるだろうか。
A,最近、個人向けの有線放送やプロバイダーの契約に関する苦情や問い合わせが増えています。当該事業者は、各種の音楽や語学講座を有料で配信する有線放送会社の代理店で、視聴者勧誘の目的を伝えずにくじ引きを行うことは問題があります。当選者は約3万円の加入料、設備の取り付け料などが無料になることから、毎月視聴料を払ってまで利用したい放送であるかをよく考えずに契約したものと思われます。
特定商取引法によるクーリング・オフは「指定商品制」で、主となる契約が放送配信サービスである場合は指定商品の対象外となるため適用されません。しかし、この事業者は独自に無条件解約期間を設けていることがわかりました。相談者にすぐ申し出ることを助言して、解約になりました。
この契約では、二年以内に解約をすると解約手数料を払うことになっています。契約は十分慎重に行いましょう。
(6月掲載)
Q,2年前に床下工事をした訪問販売業者が「点検にきた」とやってきた。業者は「排水管にヒビが入ってまわりが湿っている。補修と床下改善に100万円以上かかる」という。室内から排水管を覗くとヒビがあるようにも見え、仕方なく50万円で排水管のみ修理をしてもらったが、あやしい。契約書はくれなかった。
A,相談者は高齢で、業者は契約書を相談者に渡さなかったばかりか、2年前の契約書も持ち去ったことから不安になり、業者が集金に来る前に相談したものです。
法律は、訪問販売業者に契約書面の交付を義務づけており、交付されない場合は、いつまでもクーリング・オフできます。(正確には、業者が改めて契約書を再交付し、クーリング・オフできることを説明した時から8日間です。)
相談者には、業者が不審な行動を取っていることから、集金に来ても支払わず、何かあったらすぐ警察に連絡するように助言しました。
相談者は高齢ですが、前回の契約書を持ち去るなどの行為に、業者に会社名と電話番号をメモさせて保管し、日をおかずに相談したことが大事に至らなかった一因です。
全国的な悪質リフォーム工事業者の摘発で、現在は苦情件数が減少していますが、ほとぼりの冷めるのを待って以前契約した高齢者などを標的にする業者もいると思われます。十分ご注意下さい。
(5月掲載)
Q,電話で「お宅の寝室には火災警報機が設置されているか」と聞かれた。「つけていない」と答えると、「消防法と条例の改正で、一般住宅も今年6月までに寝室と階段と台所に設置しなければならないことを知らないのか。大至急つけなさい」と強い口調で言われ、設置を承諾してしまった。設置は必要なのだろうか。
A,住宅火災による死者数が全国的に増えていることから、消防法が改正され、寝室、階段の踊場(階上に寝室がある場合)、台所などに住宅用火災警報機等の設置が義務づけられました。新築住宅は平成18年6月1日からですが、既存の戸建住宅やマンションなどへの適用時期は、自治体が住民への周知や準備を配慮して条例で決めています。たとえば札幌市や千歳市は平成20年6月1日から、江別市は23年6月1日から適用され、新築住宅より2.5年程度遅くスタートします。
今回の相談は、悪質訪問販売業者が、既存住宅も今すぐ設置しなければならないかのように見せかけて契約させようとしたものです。今後同様の手口の増加が予想されます。じゅうぶんご注意下さい。消防署の職員を装って販売することも予想されることから、役場や消防署は次のような注意を呼びかけています。
「今すぐ」「お宅だけ」など契約を急がせる業者は要注意です。
公的機関の職員が一般家庭を訪問したり、電話で火災警報機を販売することはありません。
必要のない箇所に設置を勧められたり、法外な値段で契約させられるおそれもあります。強引に勧められても「消防署に聞く」「家族と相談する」などと断り、その場で契約しないようにしましょう。
訪問 販売の火災警報機 クーリング・オフできる
訪問販売では、消費者に事前の準備がないことをねらって、市価の数倍もする価格で契約させることも行われています。住宅用火災警報機はクーリング・オフの対象品です。「しまった!解約したい」と思った時は、契約日から8日以内に配達記録郵便で解約通知を出しましょう。
突然届いた賞金資格者の手紙
問 高齢の母に、カナダから「100万円の賞金請求資格者に登録された。すぐに同封の賞金請求申込書に署名して送れ」という航空便が届いた。オーストラリアからも幸運?な手紙が来ている。信頼できるか。
答 まったく信頼できません。よく読むと、最終決定でなかったり、商品の購入や月々の会費支払いが目的だったり、申し込むと業者が来訪して説明する、などというものもあります。高齢者のふところが狙いでしょう。無視しましょう。
(4月掲載)
Q,病弱な夫と年金で暮らしている。3年前、訪問販売で高額な羽毛ふとん2枚を契約し、生活を切りつめて信販会社に払っていたが、2年後、同じ会社の人がきて「羽毛がよってダメになっている」と強引にリフォーム契約をさせられた。代金は100万円以上もする。解約したい。
A,3年前に購入したふとんは130万円もしました。老夫婦は価格を疑問に思いながらも営業員の「一生もの」という言葉を信じて支払っていました。しかし、2年後に修理を勧められ、その程度の品質だったのか、本当にリフォームが必要だったのか、信頼できなくなりました。商品代とリフォーム代の支払は重くのしかかり、地元の役場に相談しました。
役場から連絡を受けた道立消費生活センターは、販売後短期間で自社製品のリフォームを勧めるのは問題であり、品質に欠陥があったのならば無償のアフターサービスをすべきである、としてリフォーム契約の撤回を求めました。信販会社にも、欠陥の可能性がある商品の代金請求停止を求める抗弁書を提出し、その結果、業者はリフォーム契約の無条件解約に応じました。
最近、また高齢者や若年消費者のふとんに関する苦情が目立ちます。今回は、相談者が役場に相談し、役場が事情を聞いたことが解決につながりました。困ったときは、できるだけ早く役場などの相談機関に相談しましょう。
(4月掲載)
Q,職場の寮を出てアパートを借りることになった。賃貸契約の際、注意すべきことを教えてほしい。特に、退去時の「原状回復」のトラブルで敷金が戻らないことがあると聞いたがー。
A,賃貸契約を仲介する宅地建物取引業者は、契約前に重要事項説明書を作成・交付することが義務づけられ、家賃や敷金・礼金などの契約条件、ペット飼育の禁止条項など重要事項を説明することになっています。説明を聞くと共によく読んで疑問点を確認することが重要です。
退去時の「原状回復」とは、入居後に設置したものの取り外し、故意や過失や通常を越える使用による損耗・汚れ・傷を入居者の負担で復旧させることをいいます。従って、自然損耗や通常の使用による汚損などは対象外で、修繕費は貸し主の負担となります。また、故意や過失などの損耗でも、通常は物件の経過年数を考慮し、年数が多いほど入居者の負担を減少させています。
原状回復に関しては、国土交通省が「原状回復ガイドライン」を作成し、具体例を示しています。自治体や業界団体も「手引き」を発行しています。
また、汚損や損耗が元々あったものか、入居後のものかを巡るトラブルもおきています。契約時に貸し主立ち合いのもとに、入居前の室の損耗状況を記録しておきましょう。
(3月掲載)
Q,呉服店で着物を購入したことがきっかけで、販売員から交際相手として店長を紹介された。呉服店からは展示会や旅行などのイベントを開くたびに招待された。交際のことが気になって出かけ、つい着物の購入契約を重ねてしまった。その後、店長が転居してしまい、連絡がとれなくなった。未着用分を解約・返金してほしい。
A,相談者は、着物を受け取りに行くたびに次の展示会や旅行の参加を予約させられ、断り切れずに行くと販売員に交際の後押しをほのめかされ、7件で約600万円もの契約をしていました。「もう着物は十分に購入したから」と断ると、販売員は「ではお母さんの着物を」と勧める執ようさでした。
これは一種の恋愛感情を演出した販売方法ですが、ほかにも様々な着物販売の苦情が寄せられています。雑誌に「和装モデル募集」の広告を出し、面接にきた人に採用を告げ、「着物は用意するが、帯や草履は自分で購入してほしい」と契約させることも行われています。
また「参加費1万円。京都・着物の旅」などと消費者のおトク感覚に訴える販売方法もあります。「着物は気に入ったら買えばよい」などと誘われ、参加したばかりに何人もの販売員に取り囲まれて、深夜まで高額な着物の購入を迫られ、旅行気分が吹っ飛んだ人もいます。
今回の相談は、当センターから事業者と信販会社に対して、恋愛感情を悪用した強引な長時間勧誘だったことや、消費者の意思を無視した次々販売であったことを申し入れ、調査と回答を求めました。その結果、販売方法に問題があったことを認め、未使用分については解約と既払い金の返金に応じる、という回答がありました。
着物の悪質販売では、ここに紹介した手口の他にもいろいろな方法を編み出して、消費者のスキをねらっています。十分に注意しましょう。
ホテル等の展示販売会 クーリング・オフできない場合 多い
着物や宝飾品の展示販売会がホテルなどの特設会場で開催されることがあります。招待や電話がきて会場に行き、販売業者に購入をしつこく勧められたとき「断り切れなくて契約しても、後日クーリング・オフすればよい」と契約に応じると後悔することになります。
ホテルなどの特設会場での販売であっても、2、3日以上の開催で、消費者が着物などの指定商品を自由に選択できるように陳列している場合は、通常の店舗販売とみなされ、クーリングオフは適用されない可能性があるからです。
展示販売会での安易な契約は、くれぐれもご注意を。
雪かき・雪下ろし クーリング・オフの対象に
除雪や排雪業者が見積書を出さずに注文を取るなどのトラブルが発生していることから、経済産業省は「雪かき」を指定役務の「住居の清掃」に該当することを明らかにしました。これにより、訪問販売業者による雪かきや雪下ろしは、特定商取引法によるクーリング・オフの対象になります。
(2月掲載)
Q,友人に「サイドビジネスをしないか」と誘われた。商品を約50万円で購入して会員になり、知人を組織に紹介すると高収入になる、という。この商品は、水道水を通すことで、体内の活性酸素を取り除く効果のある水を作るというもの。3、4年後に爆発的なブームになり、必ずもうかるという。信頼できるだろうか。
A,これは、マルチ商法といわれる連鎖販売取引の勧誘です。友人、知人等を勧誘して人間関係をおかしくしてしまった、ノルマや組織内の地位を上げるため過剰に買い込んで返済できなくなった、という相談も多く寄せられています。水生成器では「体内の活性酸素を取り除き体によい」、「さまざまな実験で実証されている」などと勧誘された事例もあります。根拠がなく「効果がある」、「必ずもうかる」などと勧誘することは禁じられています。
公正取引委員会は「水道水を活性化させる」などと表示した3業者にその根拠の提出を求めましたが、合理的な根拠が提出されなかったとして、排除命令を出しています。
連鎖販売取引では、勧誘された人が今度は勧誘員になり、商品を販売する立場になります。扱う商品や販売方法に責任があることを十分認識する必要があります。
相談者には、以上の問題点を伝え、契約は慎重の上にも慎重を期することを助言しました。
(2月掲載)
Q,「デジタル化で今の電話機は使えなくなる」、「電話代も安くなる」と訪問販売業者にいわれ、リース契約した。しかし後日、電話機は替える必要がないことがわかり、リース代も高額だ。自営業を営んでいるが、クーリング・オフできるだろうか。
A,農業や商業を営む自営業者などをねらった悪質な電話機リースの訪問販売が、全国的に多発しています。事業者のリース契約の場合は、クーリング・オフを定めた特定商取引法が適用されにくいことを悪用した手口といえます。廃業しているのに屋号で契約させていた例もあります。
事態を重く見た経済産業省は昨年12月、事業者等であっても電話機等を主に家庭用や個人用に使う目的でリース契約をした場合は、クーリング・オフができることを明確にした通達改正を行いました。また、リース事業者でも、訪問販売業者と一体と見なされる場合は、行政処分の対象となりました。
今回の契約は、通達改正の前でしたが、クーリング・オフは可能です。また、事実と異なる説明をして勧誘した場合は、行政処分の対象になります。
なお、事業者が営業用に使用する目的でリース契約をした場合は、クーリング・オフができませんので契約は慎重に行いましょう。
(1月掲載)
Q,出会い系サイトで知り合った男性が、実は宝飾品の販売員だった。交際しているうち、次々に高額な宝飾品をすすめられ、断わりきれず契約を重ねてしまった。3つの契約総額が2百万円をこえて、支払いがむずかしい。解約したい。
A,異性間の感情につけ込んで高額品を売りつけ、トラブルになるケースが全国的に多発しています。この事例もその一つです。
相談者は20代の女性。出会い系サイトで知り合い、メールのやりとりや電話で話したあと、会うことになりました。最初のデートの時、男性は「宝石デザイナーをやっている」と自己紹介。自分がデザインしたというペンダントを女性につけさせ、「貴女にとても似合っている」と購入を勧めました。女性がとまどうと「一回装着したものは中古になるんだよ」と半ば強引に契約書にサインさせました。金額欄は男性が記入しましたが、帰宅してから確かめると百万円をこえる額でした。
災いはさらに続きます。1カ月後、男性から電話があり「この間はありがとう。お礼に指輪をプレゼントしたい。」女性は相手の気持ちを確かめたい思いもあって会うと、「指輪は会社に内緒で自分がデザインしたもの。支払いは自分がするので名義を貸してほしい。」つまり、名義貸しです。この後も、もう一度名義を貸してほしいといわれ、「好きだ」とのメールが届いていたこともあり、断り切れずに契約していました。
女性は、自分の口座から引き落としが始まっているのに、男性が全く支払ってくれないことからふんぎりをつけ、当センターに相談しました。センターは、事業者に対して(1)販売目的を隠しての呼び出し(2)名義貸し(3)次々販売など、販売方法に問題があったとして、3件すべての契約の解約を申し入れました。その結果、事業者も違法性を認め、1件目は相談者が早期解決を希望したこともあり信販解約手数料を負担、2件目と3件目は無条件解約で既払い金が返金されることで解決しました
若い人を中心に出会い系サイトの利用が増えているようですが、悪質業者も虎視眈々と「チャンス」をうかがっています。メールや電話のやりとりでは「仮面」の下の素顔がわからないことを自覚しましょう。
出会い系サイト トラブル急増中
匿名の気楽さでアクセスし、異性との交際が期待できる出会い系サイトの相談が急増しています。不用意にアクセスすると一方的に登録され、不当請求を受けるなどのトラブルになることがあります。監禁や傷害などの事件になることもあります。出会い系サイトには、危険な罠があることを忘れてはなりません。