結婚相手紹介サービスの中途解約 情報提供料の清算は?

12月掲載)

 

Q,9カ月前に、結婚相手紹介サービスを2年分契約したが、期待できないので中途解約を申し出た。業者から届いた解約清算書をみると、情報提供料として2年分の全額12万円が請求されていた。加入期間は9カ月なのだから、全額請求は納得できない。

(男性)

 

A,結婚相手紹介サービスは、特定商取引法の特定継続的役務提供に該当し、契約期間内の中途解約が可能です。提供済みの役務は、月単位などの単価で清算されるのが原則です。

  しかし、この業者の場合、すでに登録している希望相手の情報は、主にインターネットを利用して一度に全情報を検索することが可能なシステムであることから、中途解約であっても全ての情報提供が完了したとされ、情報料は一切返金しないと約款に定めていました。このため同業者の中途解約にともなうトラブルが全国的に発生していました。

  しかし契約書には情報提供料12万円の算出根拠として、月単位の価格が記載されていたことから、これを単価として清算するよう業者に伝えました。この結果、役務提供期間分のみの情報料で清算すると申し出があり、相談者もこれを了承し、解決しました。

  相談所は、情報提供料を一切返金しない契約形態は問題があるため、改善を求めました。これに対し、これまで一括提供だった情報を役務提供開始後3カ月間に3回に分けて提供し、その間の中途解約は未提供分を返金することに改めると説明がありました。

  契約時には、消費者に対し、十分な説明が求められます。

 

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架空請求?ホンモノ? 法務局から出廷通知書

12月掲載)

 

Q,法務局から「司法処分出廷最終通達書」なる手紙が届いた。「電子消費者料金が未納で告訴されているため出廷するように。告訴取り下げ手続きを行う場合は連絡するように」とある。見に覚えはないが、記載されている電話番号に電話すべきか。

 

A,裁判をちらつかせた悪質な架空請求が非常に増えています。この手紙も、裁判所と法務局の名称は本当ですが、記載されている住所、電話番号は実在するものと違いました。また、法務局がこのような文書を出すことはありません。あわてて記載の電話番号に電話すると、脅しまがいの高額請求をされるおそれがあります。

  しかし、手紙が本当に裁判所からの通知であれば無視できません。(無視したために欠席裁判で敗訴した事例があります。)紛らわしい手紙を受け取った場合は、冷静に次のように対処してください。
  (1)裁判所からの呼び出しは「特別送達」という書留扱いの郵便で配達されます。普通郵便や官製ハガキで届くことはありえません。
  (2)訴訟など記載されている事実を確かめるには、手紙にある番号には連絡せず、自分で裁判所の電話番号を調べること。
  (3)万一、脅しがあった場合は警察に連絡してください。

 

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路上アンケートの落とし穴 エステの契約 次々に総額230万円 容易でない中途解約

11月掲載)

 

Q,路上で「アンケートに答えると抽選でエステが格安になる」と言われ、応じた。その後「当選した」と連絡があり、サロンに行き1回だけのつもりでアロマオイルマッサージを受けた。ところが、継続した方がよいと勧められ断りきれずに契約。クレジット申込書には、学生なのに会社員と記入するように指示された。通ううちに、痩身マッサージと「脱毛」も受けるように説得され、承諾した。
  しかし、半年通っても効果がない。契約総額も229万円になり、支払いが困難だ。解約したい。(学生)

 

A,エステは、理由を問わず、契約期間内であれば解約料を払って中途解約できることが特定商取引法で定められており、文書で解約を申し出ることを助言しました。これに対し業者から、これまでの利用料金として約89万円の請求がありました。しかし二つのマッサージは、契約時に「今日契約すると通常の半額」と言われた割引価格ではなく、定価で計算していました。「脱毛」も効果がなかったのに、契約通り1回のみで30万円という高額な請求でした。

  当センターは(1)勧誘目的を隠して呼び出している(2)クレジット契約を通すために職業欄に事実と異なる記載を指示している(3)二つのマッサージは割引価格で清算すべきである、点を指摘しました。

  さらに「脱毛」についても、レーザー光線を用いるものであり、医師でない従業員がこの方法で毛乳頭を破壊する脱毛行為を行うことは厚生労働省が平成13年に出した通達(注)により、医師法に触れるおそれがあることを指摘しました。業者からは、「毛乳頭は破壊しない」という回答がありましたが、毛乳頭を破壊しないで脱毛効果があるとする根拠は示されませんでした。

  以上の問題点について話し合いを続けた結果、すでにサービスを受けていた二つのマッサージは割引価格で清算し、脱毛については効果の根拠を明らかにできないため請求しないことで合意。最終的に36万円を支払うことで中途解約となりました。

  しかし、解決に半年以上も要しました。始まりは路上のアンケート。「回答してくれたらプレゼント」などの呼びかけに惑わされた代償は少なくありません。このような勧誘には十分注意しましょう。

 

(注)厚生労働省は平成13年11月8日「レーザー光線や強力なエネルギーの光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為(いわゆる脱毛行為)は、国民の危害発生を未然に防止する目的から、医師免許を持たないものが業として行うと医師法に違反する」という通達を出しています。

 

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痴ほう症の高齢者に不必要な床下工事 役場・センターが連けい 「診断書」の根拠求め、返金に

10月掲載)

 

Q,痴ほう症の高齢者が、同じ訪問販売業者と2回にわたり約4百万円の床下工事契約をして、現金払いしていた。工事は数ヶ月前に終わっている。業者が当事者を金融機関まで車で連れて行って現金を受け取っている。なんとかできないだろうか。

 

A,この相談は、ディケアサービスの職員が当事者から話を聞いて役場に通報、役場から道立消費生活センター(以下道センター)に相談があったものです。

  役場は、通報を受けてすぐ、担当者が床下に潜って工事状況を確認し、写真に撮りました。工事は、業者が作成した「診断書」に基づき、床下調湿剤の散布、床下材の補強、ジャッキ等による束柱工事など、広範囲に行われました。

  しかし床下は、建築時に地面にコンクリートを流し込んで湿気の立ち上がりを遮断しており、調湿材の散布や補強工事等は不必要と考えられる状況でした。道センターはこれらの情報や写真をもとに建築専門機関に見解を聞きましたが、やはり床下工事は不必要と思われるという判断でした。

  道センターは、契約書面に基づき業者に連絡しましたが、電話は不通になっていました。しかし、工事担当者の名刺から代表者の連絡先をさがし、来所を求め、役場担当者を加えて三者で話し合いました。

  業者の作成した「診断書」について、なぜ調湿材散布が必要だと判断したか、木材補強工事や束柱追加工事が必要な根拠などを、業者に質しました。しかし納得のいく回答はなく、大部分は不必要な工事だったことを認めました。

  道センターは、当事者の契約能力にも問題があることから、「契約の無効」と「原状復帰」を求めました。業者は(1)現在は廃業中のため原状復帰はできない(2)資金的に全額返金は不可能なため半額としてほしい旨回答してきました。

  このため、当事者の親族の意向を確認して、総額約390万円のうち、2回目の契約金額の全額270万円の返金で合意しました。その後、当事者の口座に入金されたことを確認して、終了しました。

  一般的に、現金払いの契約で、工事が終了して時間が経過したものや、業者が倒産状態の場合、解約交渉は難航します。今回は返金額に問題は残りますが、高齢者に身近な福祉施設と役場の連携、また役場担当者の親身な対応が、解決に役立ちました。消費者被害救済における地域の連携や自治体の役割を痛感します。

 

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自己啓発セミナーに誘われた 「受講料はサラ金で」実践?勧誘活動も強要

9月掲載)

 

Q,19歳の娘(大学生)の様子がおかしいので問い質したところ、自己啓発セミナーを受けていた。受講料はサラ金で借りていた。セミナーは3段階あり、知り合った人の強い勧めでずるずる受講したという。娘は友人も受講させたようで、後悔している。サラ金には親が代払いしたが、セミナー業者に対して主張できることはないだろうか。(父親)

 

A,相談者は、同年輩の女性に札幌駅で声をかけられ、親しくなりました。何度か会ううちに突然、「あなたは絶対に変わる。可愛くて芯のある女性になる」とセミナーの受講を切り出され、気持が動いたと言います。

  セミナーは、初級コース(7万5千円)、上級コース(15万円)、さらに100日間の「実践」(勧誘活動のこと)とランクアップしますが、最初は3段階あることや、進むにつれて受講料が高額になることは知らされていません。

  相談者は、途中でやめたいと申し出ました。しかしスタッフから「ここで逃げて、これからも逃げ続ける人生を送るのか」などと叱責され、やめられませんでした。また、受講料を払えないからと断ると、その都度「安くて安全な学生ローンがある」とサラ金を紹介されました。

  未成年の場合、親権者の同意のない契約は原則、取り消せます。両親はセミナー参加もサラ金利用も認めていませんでした。当センターは相談者に、内容証明郵便でセミナー事業者に未成年者契約の取り消しを申し出るよう助言。その結果、契約は取り消しとなり、全額返還されました。

  若い女性や家族から同様の苦情が多く寄せられています。学友や知人から受講を勧められており、勧誘者も受講者だと思われます。

  自己啓発セミナーは、「絶対変わる」など断定的に勧誘したり、返済能力のない人にサラ金を利用させたり、勧誘活動に従事させるなど、問題点が多く指摘されています。しかし、成人の場合、受講した後での返金交渉は容易ではありません。

  相談者は「私に残ったものは、友人を誘った罪悪感と、借金と、後悔だけ」と述べていました。おかしな勧誘はきっぱり断りましょう。

 

自己啓発セミナー 大学も注意呼びかけ

 自己啓発セミナーやマルチ商法は、以前にも大学を舞台に問題化したことがありましたが、最近また増加傾向にあり、各大学で注意を呼びかけています。

  素人が支払能力のない若者に高額な契約をさせるため、人間関係を壊し、多額の借金で精神的に追いつめられる例も少なくありません。

  たとえ友人の誘いであろうと、安易な儲け話や不必要なものは、断る勇気も必要です。

 

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若い人も標的ふとんの悪質販売 「誓約書書かせ購入強要」

8月掲載)

 

Q,「ふとんのクリーニング・キャンペーン中」と業者が来訪した。汚れているので見せたところ「黒カビが生えていてアトピーがひどくなる。今なら下取りしてあげる」と言われ、羽根布団一式を5万円で購入契約した。その際、今後もその業者の商品を段階的に購入して使う、という誓約書を書かされた。

  その一週間後、再び業者が布団の点検を名目に来訪。誓約書があるからと、2回目は84万円の布団一式を契約させられた。解約できるか。

 

A,相談者は22歳の大学生。なぜこれほど高額なのに断れなかったのか聞いたところ、最初の契約時に書いてしまった誓約書に気持がしばられて、強く言えなかったった、ということでした。

  詳しく話を聞いたところ、幾つか問題点がありました。業者は二回目の契約書の契約日を一週間遡って最初の契約日と同じにするように指示していました。クーリング・オフを回避するためと思われます。また誓約書を書いたことを口止めし、写しを相談者に渡していませんでした。

  相談所では業者にこれらのことを話し、二回目の契約は現在もクーリング・オフが可能であること、最初の契約も販売目的隠匿とアトピーがひどくなると不安がらせていることを伝えました。業者からは、二件とも無条件解約に応じる旨の回答がありました。

  ふとんの悪質な販売には、高齢者を標的にしたものが多いのですが、最近は契約にうとい若者もねらわれています。ご注意ください。

 

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電話で呼び出し旅行や会員の話 「実は高額DVD教材の販売」

8月掲載)

 

Q,「商品を買って会員になると旅行に安く行ける。詳しくはお会いしてから」と若い女性の声で電話があった。待ち合わせのハンバーガー店で二時間ほどの会員の特典や旅行の話を聞いたあと「会員になるための契約」といわれ、契約書にサインした。帰宅してから断りの電話を入れたが、なぜかDVDソフトが送られてきた。クーリング・オフ期間(八日間)が過ぎているが、解約できるか。

 

A,相談者は契約を二つしていました。一つは会員契約、もう一つはDVDソフト購入のクレジット契約で、それぞれ別の契約です。電話での申し出は無視され解約にはなっていませんでした。

  この業者の販売方法は、販売目的を告げずに呼び出し、会員契約を装って高額な教材ソフトを売りつけるもので、これまでもトラブルが多発していました。

  そのため道は業者に、教材の購入契約であることを消費者に理解させた上で契約させることを指導、業者も非を認めて「申込日から二十日以内に消費生活センター等に相談があったものは、クーリング・オフ扱いにする」と約束していました。今回の件は「二十日以内」に該当するため、無条件解約になりました。

  しかし当該業者は、相談窓口がこの約束を知らないと見ると「二十日以内」でもクーリング・オフ期間を過ぎた解約申し出には違約金を要求することもあり、注意が必要です。

 

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電話番号メールに記載のURL そのクリック、待った! 〜「入会」とみなされ、不当請求〜

7月掲載)

 

Q,携帯電話に、電話番号でメールが来た。開いてみるとURL(ホームページアドレス)があり、「入り口」をクリックしたところアダルトサイトにつながったのですぐ切った。ところが、そのすぐあと入会金2万円の請求メールが届いた。クリックの際気づかなかったが、下にスクロールすると「利用規約」があり、「入口をクリックした時点で入会したものとみなす。入会料2万円」と記載されていた。どうしたらよいか。

 

A,メールのやりとりは通常メールアドレスで行いますが、加入携帯電話会社が同じ利用者間では、電話番号でメールを送ることができます。この方法は、アクセスしてきた人の電話番号がわかることから、アダルトサイトの業者などが代金を請求する手段に利用しています。悪質サイトの場合、画面のすみやスクロールしないと見えないところに「利用規約」を設定し、相談者のように請求メールを受け取ってから気がつくことが多いようです。

  インターネット上で利用者が契約するに当たり、画面に意思確認できる措置を講じていない場合、錯誤(勘違い)があったとして、原則その契約が無効になると電子消費者契約法で定められており、消費者は利用料や入会料は支払わなくてもよいことになります。再度請求があった場合は、錯誤によるアクセスであったことを主張するよう助言しました。

  今回のような電話情報サービスに関する苦情相談が、昨年同時期に比べて非常に多くなっています。トラブルに巻き込まれないために、以下のような注意をしてください。
1)見覚えのない送信者のメールに記載されたURLは不用意に開かない
2)有料・無料にかかわらず利用規約は必ず読む
3)錯誤で有料サイトにアクセスした場合は原則として無効になるので、支払う前に消費生活センター等に相談してみる
4)全く覚えのない請求(架空請求)は業者に問い合わせず、無視する

  なお、業者からの請求に「面倒だから」「小額だから」などの理由で応じると、その後次々請求がくることがありますので、ご注意ください。

 

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サラ金紹介されて自己啓発セミナーに 「若い女性がターゲット」

6月掲載)

 

Q,親に無断で自己啓発セミナーに通っていた十九歳の娘が、サラ金から借金して受講料を払っていた。何とかならないか。(父親)

 

A,本人によると、駅で知り合った同年輩の女性に「芯のある人になれる、もっと可愛くなれる」と三日間のセミナー参加を勧められました。費用七万五千円は「学生でも借りられる」と紹介されたサラ金で借りました。

  終了後、もやもやしていると再びその女性から「三泊四日の宿泊合宿に行こう。スッキリするよ」と誘われ、その代金十五万円も別のサラ金を紹介され借りました。合宿は苦痛でしたが、リーダーに「ここで逃げて、これからも逃げ続ける人生を送るのか」と叱責され、続けたそうです。

  ところが、ようやく終了したとき、リーダーから「今までは基礎。仕上げに、ここで学んだことを百日間実践してもらう」と、友人をセミナーに勧誘する実践≠させられました。「百日間が終わって私に残ったものは(友人を誘った)罪悪感と、借金と、後悔だけ」といいます。

  親の同意のない未成年者の契約は原則、取り消せます。両親はセミナー参加もサラ金利用も認めていませんでした。内容証明郵便でセミナー業者に契約取消を求めるよう助言した結果、全額返金されました。自己啓発セミナーは「人によく思われたい」「ちがう自分になりたい」という潜在心理をかき立てて勧誘。入会後はランクアップと称して次々契約させる例が多くみられます。ご注意ください。

 

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ディスポーザーのモニターしないか 「無料で油断させて販売」

6月掲載)

 

Q,来訪した業者に「ディスポーザーの無料モニターを一週間してみないか」と勧められて、無料なら、と設置させた。期日に引き取りにきたとき、「一二〇万円する浄水器を無料でつけるので、設置したディスポーザーを購入してほしい」と説得され、七三万円でクレジット契約した。契約から三週間ほど経ったが、よく考えると販売方法に不信感がある。契約書面もおかしい。解約したい。

 

A,相談者はディスポーザーを契約したのに、渡されたクレジット契約書は浄水器を購入したことになっており、金額も違います。筆跡も契約時に書いた本人のものではなく、勤続年数も記載した内容と違っていました。

  相談者宅には固定電話機がなく、業者はクレジット会社からの確認電話に備えるため、電話会社に一時的に電話機を設置させたうえ、相談者に承諾の返事をするように念を押していました。

  相談室は相談者に、契約書面が無断で代筆されて、内容も本人が記載したものと異なること、販売方法に不信感があることなどを明記して解約通知を出すよう助言。相談室からも業者に問題点を指摘し、解約に応じるよう伝えました。その結果、業者も不適切な勧誘であったことを認め、全面解約になりました。

  無料モニター、無料点検などといって油断させて販売する手口が多くみられます。勧められたときはご注意を

 

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乗用車の購入契約 新車契約トラブル多い 〜中古車「保証」の有無確かめよう〜

5月掲載)

 

Q,その1  二日前、新車を注文したが、家族に反対された。キャンセルは可能ですか。

 

A,売買契約は通常、注文時に成立しますが、新車の場合、日本自動車販売協会連合会(自販連)によると、その効力は(1)車両の登録日(2)注文による改造・架装・修理に着手した日(3)引渡日、のいずれか早い日から発生する、とされています。これらがまだ行われていなければ契約が成立していないと考えられ、キャンセルは可能となり、キャンセル料も必要ないと思われます。

  しかし、キャンセルで販売店に損害が生じた場合は、通常生じる額(車庫証明書の実費等)に限り損害賠償の請求ができることも約款に定められています。また、その販売店が自販連などに加盟しておらず、独自の約款で「注文書に記載することで契約成立とみなす」などとしている場合もあり、注意が必要です。

  新車は、個人の注文仕様で納品される登録商品です。契約成立後の欠陥や故障は、修理可能であれば返品や交換はきわめて困難です。また、訪問販売で購入契約した場合もクーリング・オフは適応されません。新車の購入契約は慎重に

 

Q,その2   中古車を「保証なし整備なし」で購入したが、すぐ故障した。販売店で対応されず、しかたなく他の修理工場で自費修理したが、納得できない。

 

A,中古車はこれまでの使用や管理状態、経年変化で性能が千差万別で、新車以上の慎重な見極めが必要になります。

  そこで、()自動車公正取引協議会は(1)保証つき販売(2)保証なし整備あり販売(3)保証なし整備なし販売、の三つの販売態様ごとに、価格、車歴、走行記録などの表示を義務づけています。価格は一般に(123)の順で安くなり、(2)と(3)に保証はありません。

  「保証なし整備なし販売」の場合、契約時にその旨と、特定の車両状態を記載した書面が交付されていれば、たとえ納車直後の故障であっても無償修理は大変困難です。なお、自動車公正取引協議会に加盟していないアウトサイダーの販売店も多いので、信頼できる加盟店を選ぶことが大切です。

 

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販売意図隠し高額ソフト販売 道条例で業者名を公表

4月掲載)

 

Q,「今回、当社のキャンペーンに貴方がノミメートされました。参加申込みされた方全員に、写真の中からお好きなもの一点をプレゼント」というダイレクトメールが届いた。申込みの電話をすると、事務所に来るように言われた。何か勧誘されたりするだろうか。 
  会社名 コスモ・メディア・インターナショナル

 

A,このようなDMを見て事務所に出向くと、高額なパソコンソフトや、会員サービスの契約を勧誘されたという事例が多く寄せられています。商品の販売意図を隠して消費者を呼び出し、強引に商品・サービスを売りつけることをアポイントメントセールスといいます。相談者には呼び出しには安易に応じないよう助言しました。

  この会社に関する苦情や問い合わせが、各地の消費者センターに多数寄せられていました。このような販売行為は、北海道消費生活条例で禁止している「不当な取引方法」にあたるため、道は昨年一二月、同社に販売目的を告げるよう行政指導しました。しかし、その後も改めなかったため今年三月、同条例に基づき会社名を公表し、業務内容改善の勧告を行いました。

  アポイントメントセールスによる契約はクーリング・オフが可能ですが、書面の交付から八日間が過ぎると、解約は業者の同意が必要になります。うまい話の呼び出しは要注意

 

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「歌手を見に行こう」実はマルチ≠フ会場 アルバイト感覚、危険

4月掲載)

 

Q,昨日、友人に「歌手を見に行こう」と誘われて会場に行ったが、健康食品の説明会だった。元歌手という人が販売担当で、いきなりビジネスの話になった。「知人や友人に声をかけるだけでいい。人に勧めるのだから自分がまず買って」と強引に説得され、健康食品四八万円分の購入契約をした。解約したい。

 

A,これは、連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)というもので「知人に商品を売るか、組織に加入させると報奨金がもらえる」などと説明し、結局高額な商品を購入させる商法です。勧誘された人が勧誘する立場になるので、組織はピラミッド型に肥大しますが、儲かるのは頂点にいる一部の人だけです。

  マルチ商法は、特定商取引法で、取引をする際にうその説明をしたり、人を威迫・困惑させる行為を禁止しています。契約書面を受領してから二〇日間のクーリング・オフを認めています。

  相談者には、クーリング・オフを配達記録郵便で申し出ること、信販会社から確認電話があったら、契約しない旨きちんと返事をするように助言しました。

  マルチ商法は昔からありますが、特に新しい人間関係が始まる就職・入学シーズンは要注意です。サイドビジネスやアルバイト感覚で手を染めた結果、多大な負債を負って仕事や学業を放棄することになった人も少なくありません。

 

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外為証拠金取引勧められた 高リスク、素人は無理 〜証拠金上回る〜

3月掲載)

 

Q,電話で、外国為替証拠金取引を勧められている。「かならず儲かる」という。預けて増やす楽しみがないゼロ金利時代に、夢がある話だと思う。

  会って詳しい話を聞きたいが、どうだろう。

 

A,以下に述べる理由で、きわめてリスクの高い取引です。「元本割れしないと言われたのに元本割れした」「解約を申し出たのに応じてくれない」「取引を終了したが、精算金が入金されない」などのトラブルも多発しています。

  外国為替証拠金取引とは通常、「証拠金」を取引業者に預け、証拠金の数倍から数十倍の外国為替の売買を行う取引とされています。為替相場のわずかな変動でも、多額の損益が生じますが、元金や利益は保証されていません。このため、外国為替相場が予想と逆方向に動いた場合は、短期間に証拠金を上回る損失が生じることもあります。

  この取引は、現在規制する法律がなく、いわば野放し状態になっています。消費者に元本割れの危険など重要事項を説明することを取引業者に義務づけた「金融商品販売法」の対象にもなっていません。このことも悪質業者の参入を許し、トラブルの要因になっていると思われます。このため金融庁は今年四月から、外国為替証拠金取引を同法の対象にすることを決めています。

  同法の対象となると取引業者に説明義務が生じ、違反した場合の罰則もあります。しかし、金融庁が取引業者に営業許可のような「お墨付き」を与えるわけではありません。業者が説明義務を果たし、納得して契約した取引によって生じる損益の責任は、あくまでも消費者にあります。

  為替相場の変動は、専門家でも予測がむずかしく、また取引の経験のない消費者には取引業者の見極めもむずかしいと思われます。勧誘にはご注意ください。

 

金融商品販売法とは? 〜リスクなど販売業者に説明義務〜

 金融商品によっては、元本割れを起こす場合があります。 この法律は、勧誘する際に元本割れのリスクなど重要事項の説明を販売業者に義務づけ、重要事項の説明がなかったことで損害が生じたときは、販売業者に損害賠償請求ができること等を定めています。ただし、重要事項の説明がなかったことの立証責任は消費者側にあります。
  
  預貯金、定期積立、株式、生保、デリバティブ取引(金融派生商品)などほとんどの金融商品が対象ですが、商品先物取引やゴルフ会員権取引などは対象になっていません。

 

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パソコン検定合格すれば仕事紹介 サポートなく解約したい

2月掲載)

 

Q,「パソコンの検定試験に合格すれば仕事を紹介する」と電話があった。仕事がほしかったので検定用のCDロムを購入契約し、信販会社に毎月支払を続けている。

  ところが最近、業者の経営が悪化し、サポートを受けられず連絡もとれない。信販会社に支払い停止を求める抗弁書を送ったが、解約したい。

 

A,商品や契約内容に問題がある場合、業者は問題を解決する義務があります。クレジット利用の場合は、割賦販売法で信販にも問題解決まで支払い停止を求めることができます。

  相談者には、抗弁書を送付した後の対応について信販に問い合わせるよう助言しました。数日後、信販から「既払金放棄を条件に合意解約する」旨の書面が届き、相談者も同意して解決しました。

  この業者は現在破産状態で、全く連絡がとれず全国的に苦情が多発しています。今回の事例では既払金放棄で解決しました。しかし、割賦販売法の適用を受けるサラ金との契約をした人について、信販とは異なる対応をされており交渉が難航しています。また、現金で一括払いした場合も、業者に返済能力がないため返金が難しい状況です。

  「仕事を紹介する」などと勧誘し商品などを契約させることを「業務提供誘引販売取引」といいます。このところ業者の倒産が相次いでいます。購入契約後にサービスを受ける契約は、より慎重に

 

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退去時の原状回復トラブル防ぐには 立ち会いで汚損状況確認を

2月掲載)

 

Q,3年間入居していた賃貸アパートを退去することになった。退去時に高額な修繕費を請求されるなどトラブルがあると聞いて心配だ。どのような点に注意すべきか教えてほしい。

 

A,賃貸アパートの場合、退去時に関する相談が多く寄せられています。トラブルを防止するには次の点に注意してください。

1)まず賃貸借契約書をよく読むこと。定められた期間内に貸主に退去日を通知する必要があります。期間を守らないと翌月分の家賃を請求されることがあります。

2)借主が自らの不注意で建物に損害を与えた場合、原状回復に必要な費用を負担しなければなりません。転居後に過大な費用負担を求められることがありますので、退去の時には貸主(または管理者)の立ち会いのもとで汚れや傷みの状況を確認しましょう。

3)高額な修繕費、根拠のはっきりしない請求があった場合は、代金をすぐに支払わず、納得のいく説明を求めましょう。通常の使用による汚れや損耗は借主に原状回復義務はないというのが国の考え方です。対応されない場合は消費者センターなどに相談してください。

  なお、納得できる説明もなく、支払義務のない代金を敷金と相殺されて返還されないことがあります。この場合、30万円以下であれば簡易裁判所の少額訴訟制度を利用するのもよいと思われます。

 

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パソコン教室の中途解約 一月から特商法で規制 〜結婚相手紹介サービスも〜

1月掲載)

 

Q,1)パソコン教室に通っていたが、体調が悪いため解約を申し出た。ところが「解約申し出は一ヶ月前に行う規定なので、翌月分の月謝も支払ってもらう」といわれた。納得できない。

 (2)結婚相手紹介サービスに入会しているが、希望条件に合う人がなかなか見つからないので解約を申し出たところ、解約金を請求されている。

 

A,サービスを継続的に受ける契約では、受けてみなければ内容がわからないことや状況の変化などから、中途解約をめぐるトラブルが起こりがちです。このため、エステティックサービス、語学教室、学習塾、家庭教師派遣の四業種は、特定商取引法で「特定継続的役務提供取引」として事業者を規制しています。書面交付義務、不適正な勧誘行為の禁止、中途解約した場合の損害補償額の制限などが規定されています。契約書面を受け取ってから八日間のクーリング・オフも認められています。

  今回の@パソコン教室A結婚相手紹介サービスは、契約した時点では「特定継続的役務提供取引」の対象外でした。従って中途解約については契約約款に規定があり、その内容が消費者に一方的に不利でないかぎりこれを遵守することが求められます。相談者にはその旨伝えました。

  なお、パソコン教室と結婚相手紹介相談サービスのニ業種についても、全国的にトラブルが多発していることから政令が改正され、今年一月一日から「特定継続的役務提供取引」に追加されました。これにより、先の四業種と同様、理由の如何にかかわらず中途解約でき、解約金額の上限も設定されました。八日間のクーリング・オフもできます。

  このように六業種については法律によって一定の消費者保護が図られますが、育毛サービスやスポーツ教室などその他の業種は対象外ですので、注意が必要です。

 

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