こわいダイヤの呼び出し販売 〜車の中で大声だして脅迫〜

12月掲載)

 

Q,職場に何度も電話がきて、アクセサリーの購入を勧められ、会って話だけでも聞いてほしいと言われた。その都度断っていたが、「今回が最後。もう電話はしないので、とにかく会って話だけでも聞いてくれ」といわれて、しかたなく会いに行った。車で来た相手に「中で話そう」といわれて、車の中でダイヤの購入を勧められたが、断り続けた。ところが突然「この野郎、断るつもりか」とものすごい剣幕で怒り出し、怖くなって契約した。

 

A,この事業者に脅されてアクセサリーを購入した、という相談が数件来ています。

  職場にくる電話を断り続けていると「上司に代われ。これだけ話させておいて経費がかかっている。どうするつもりだ」と言いがかりをつけたり、断りに行くと「断るなら電話の時に断れ。ナメるな」と車中で大声を出すなど、悪質です。

  事例の場合、クーリング・オフ期間内(契約日をふくめて八日間)でしたので、配達記録郵便で契約解除通知を出すよう助言しました。

  電話で呼び出し契約させる販売方法を「アポイントメントセールス」と言います。特定商取引法や道消費生活条例で、販売目的や具体的な取引内容を告げずに呼び出したり、威迫・困惑させて契約させることを禁じています。この業者はこれらに違反していると思われます。道に事業者の指導を要請しました。

 

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法改正で業者に立証責任 〜根拠のない過大表示なくして〜

12月掲載)

 

Q,インターネットの健康食品の広告に「食事制限は不要です。当社の健康食品を飲むだけでみるみる痩せます」とあるのをみて、こういう根拠のない広告を堂々と出してよいのかと思った。どんな規制が行われているのですか?

 

A,ご指摘の通り、ありそうもない効果を強調した過大表示が後を絶ちません。表示にうたう効能・効果に根拠がない場合、公正取引委員会が「不当景品類及び不当表示防止法」に基づいて規制しています。

  しかし、表示がその裏付けとなる合理的な根拠を持たない場合でも、同委員会がそれを規制するためには、表示通りの効果・効能がないことを立証することが必要でした。この立証のためには専門機関の鑑定など時間も費用もかかり、結果的に消費者被害の拡大を食い止めることが難しいのが実情でした。

  このため法律が改正され、この十一月二十三日から施行されました。改正により、同委員会が期限内に、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠の提出を求めることができるようになりました。提出期限は原則十五日間です。また、事業者がその期限内に証拠を提出しない場合は、不当表示として規制できます。改正により、規制のスピードアップが期待できます。しかし、それでも「うそつき表示」で一儲けしようとする事業者はいるでしょう。だませれないよう、一人ひとりが冷静な目で表示をみることが大切です。

 

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利用していないのに代金請求メール 出会い系・アダルト系サイト。ツーショットダイヤル。

11月掲載)

 

Q, 債権回収業者から携帯に「あなたが利用した出会い系サイトの利用料金三万二千円が未納です。今日中に入金してください」とメールが来た。入金がない場合は、職場に来るとあった。
  利用した覚えがない。どう対処したらよいか。

 

A,このような架空請求の相談が急増しています。メールのほか、電話やハガキの場合もあります。これは、何かの名簿を手にした悪質事業者が、あたかもサービス提供業者から債権譲渡を受けたように装い、無差別に根拠のない請求をしていると思われます。自宅や職場まで来られたらこまる、という心理につけこみ、身に覚えのない人にも払わせようという魂胆でしょう。

  電話回線を利用した情報サービス提供の利用料の支払い義務は、原則として実際にそのサービスを利用した人が負うので、利用していないのであれば支払う必要はありません。問い合わせることなどせず、無視するのが一番です。

  トラブルを恐れるあまり支払うと、「カモ・リスト」に載ってしまい、あちこちの業者から架空請求がくることも考えられます。無視したことを理由に業者から脅しまがいの行為を受けた場合は、ためらわず警察に届けましょう。

 

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確認画面なければ「無効」主張できる 出会い系の「利用料無料」、実は「登録料」は有料だった。

11月掲載)

 

Q,出会い系サイトに「利用料無料」とあるのを見て登録し、二、三回利用した。ところが昨日、「登録料五千円が未納です」というメールがきた。あわててそのサイトをよく見ると、「規約」というリンクがあり、そこを開くと「登録料五千円」とあった。登録料がかかると知っていれば、利用しなかった。

 

A,この場合、電子消費者契約法の適用で、登録料は支払わなくてもよいと思われます。

  消費者がインターネット上で申込や承諾の意思表示をする際、事業者が画面を通じて意思の有無が確認できる措置をしていない場合は、その申込や承諾について錯誤による無効が主張できるとされているからです。

  確認画面があっても、わかりにくい場所だったり、レイアウト等で見落とすと判断される場合も無効が主張できると思われます。

  請求がきて、あわててサイトを開くと、すでに業者が更新していることもあるので、利用するのであれば画面を保存しておく用心が必要です。

  出会い系サイトを温床に架空請求のほか、児童買春、強姦、監禁などの「事件」が多数発生しています。出会い系サイトの利用は、危険と隣り合わせであることを認識してください。

 

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対策講じればほとんど拒絶できる。 「迷惑メール」をシャット・アウトしたい。

11月掲載)

 

Q,携帯に色々な業者の宣伝広告のメールが入り、消去するのが大変。拒否するよい方法はないですか。

  子供に携帯を持たせたが、出会い系やアダルト系のメールが入ってくる。シャットアウトする方法はないですか。

 

A,迷惑メールは本当に困りものですが、面倒がらずに対策を講じれば、ほとんど拒否できます。

  毎日、たくさんの迷惑メールに悩まされている方へのお勧めは、思い切ってアドレスを変更すること。その際、ユーザー名を単純な数字の羅列でなく、ランダムに数字と英語を組み合わせたり、ハイフン、ドットなどを挿入するのがコツ。

  携帯電話のサービス会社も、迷惑メール撃退の機能を提供しています。
1)指定したアドレスやドメインからの受信拒否
2)指定したアドレスやドメインからのみ受信
3)まず、送信者、件名のみ受信可能とする
  ―などの機能ですが、具体的な機能や操作方法は各社ホームページの「迷惑メール対策」を見てください。

  なお、一方的に送信される広告には「未承諾広告※」の表示義務があり、受信拒否の通知を受け付けるためのメールアドレスを表示することを義務づけています。

 

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便利だけど・・・・・トラブルも急増中。 ネットショッピングとネットオークション。

11月掲載)

 

Q,あこがれのハンドバッグをネットショッピング。(^^)届いた商品はニセモノだった。 

  ネットオークションで、チョー・有名品をゲット。(^о^)さっそく購入申込をし、代金も振り込んだが、何日たっても商品が到着しない。(^^;)

 

A,ネットショッピングやネットオークションは大変便利ですが、相手の所在や証拠があいまいなことが多く、事例のような落とし穴も潜んでいます。被害回復は容易でなく、申込前の対策が一番。

 「オンライントラストマーク」(下図1)などがある信頼できる会社か確認しましょう。大手ネットオークション業者は、詐欺などの被害に補償制度を設けている場合があります。

  決済方法が前払い式や代金引換郵便は要注意。第三者機関が買い主から商品代金預かり、買い主が商品を確認した後、預り金を売り主に渡すシステム(エスクローサービス)もあります。

  クレジットカードを使った時は、カード会社の請求をその都度チェック、おかしい時はすぐ連絡しましょう。

  注文時は、注文画面と、業者からの承諾通知メールを保存しておきましょう。そして商品が届いたらすぐに確認を―。

 

オンライントラストマーク 
図1、オンライントラストマーク

1.見知らぬ人からのメールは警戒。
2.「無料」には落とし穴も。
3.アドレスはむやみに書き込まない。
4.簡単なアドレスは盗まれる。
5.前払いは要注意、注文画面は保存。
6.トラブルは放置しない。

 

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折込チラシに「不治の病治った」 〜健康食品って医薬品?〜

10月掲載)

 

Q,折込チラシで「不治の病が治った」という体験談を読んだ。夫と同じ病気でしたので電話で問い合わせたところ、販売員が来て「このままでは大変なことになる。一、二年じっくり飲むと必ず治る」と言われ、二年分、合計四十八万円の商品をクレジットで購入契約した。しかし、夫は飲み始めて体調が悪くなった。解約したい。

 

A,商品はいわゆる健康食品で、医薬品ではありません。「病気が治る」などの効能効果を説明することは薬事法で禁じられています。

  飲み始めて十日ほどして体調が悪くなり、販売会社に伝えたところ「好転反応なので大丈夫。少し多めに飲むとよい」と言われ、飲み続けたということです。医師でもないものが「好転反応」などと説明することも問題です。また、二年分もの商品を購入させることも、道消費生活条例に抵触すると判断されます。

  販売会社にはこれらの問題点を指摘し、使用分も含めて解約に応じるよう求めましたが、説明に問題はなかったと認めませんでした。再度、購入者はいわゆる健康食品であることを正確に説明されていたなら購入しなかったと主張し、ようやく解決しました。

  健康食品の訪問販売では、効能効果に関する説明で、後日トラブルになることがあります。しかし、販売時の説明や、体調不良・悪化の因果関係を立証することは大変困難です。突然購入をすすめられた場合はその場で契約せず、医師に相談しましょう。購入するときは自由に選択できる所から、必要な量だけ買いましょう。

 

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18歳未満」が携帯で有料アダルトサイト 〜安易な利用はトラブルに〜

10月掲載)

 

Q,高校生の息子の携帯電話にアダルトサイトのサービス提供業者から「登録料十万円が未納です」とメールが来た。息子によると、年齢制限(十八歳未満は接続拒否)はあったが、二、三回利用してしまったという。払う必要はあるか。

 

A,結論から言うと、登録料は払わなくてよいと思われます。息子さんは未成年で、親権者の同意がない契約は取り消せます。未成年でも成人であると年齢を偽った場合は取り消せませんが、事業者は年齢を確認する積極的な手立てをしていません。

  また、登録料が十万円であることは、申込をする画面だけではわからない仕組みでした。電子消費者契約法により、誤認による申込無効を主張できると思われます。

  ところで最近は、子供が年齢を偽って有料サイトを利用したためのトラブルが増えています。恐喝まがいの取り立てもないとは言えません。

  未成年者が自分の携帯を使用する場合、親権者が名義上の登録をしているか、親権者が登録に同意しているはずです。親権者の責任として、使用にあたっての約束事や注意事項を未成年に伝えてほしいものです。また、未成年であってもルールは守ってほしいもの。「事件」になってからでは遅すぎます。

 

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換気扇フィルターの訪問販売 クーリング・オフ拒否された〜業者は「消耗品」と主張。しかし・・・

9月掲載)

 

Q,賃貸アパートに入居しているが、昨日「部屋の点検をしている」と言ってメンテナンス業者が訪問した。「このアパートのほとんどの人は換気扇フィルターを購入している」と言われ、そういうものかと思って、フィルターと枠を契約し、一万三千円を全額現金で支払った。

  しかし、購入している人はいないようだ。クーリング・オフで契約を解除したい。
(学生)

 

A,相談者には、クーリング・オフによる契約解除を配達記録郵便で出すこと、返品と返金を早急にしてほしい旨を書き添えることを助言しました。

  しかしそれからひと月近くたっても、事業者から連絡がないため、相談者は再度電話で連絡しました。それでも対応されなかったことから、当センターから事業者に、クーリング・オフ処理を速やかに実施するよう申し入れました。

  これに対して事業者は、枠はクーリング・オフに応じるが、フィルターは特定商取引法における「指定商品」の不織布にあたる。不織布は同法で消耗品とされており、すでに使用しているので代金は支払ってもらう、と回答してきました。

  当センターは、売買契約書の商品名は「フィルター」であり不織布そのものの購入でないこと、また事業者が設置していったための使用であることを指摘しました。

  特定商取引法の省令は、消耗品について
  (1)消耗品であることを契約書面に記載する
  (2)消耗品を使用したり一部を消費したときは契約解除できないことを書面に記載しなければならない、としています。
  しかし契約書面には、この記載もありませんでした。

  当センターは、以上のことを事業者に説明して、クーリング・オフに応じるよう申し出ました。その結果、事業者は全額返金と返品に応じ、決着しました。

  この事業者については、同様の相談が増えており、注意が必要です。

 

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えっ・会費未納?そんなはずは・・・ 〜困惑させて宝石販売〜

8月掲載)

 

Q,「あなたの会費が未納だ」と、突然電話があった。以前に内職をあっせんしてもらうため会員になったことがあるが、会社は倒産しており、請求もなかった。しかし「支払免除の手続きを代行してあげる」と言われて、訳がわからずとにかく話を聞きに行った。ところが「サファイァを購入すれば代行手続きする」と強引に迫られ、仕方なく契約した。納得がいかない。クーリング・オフしたい。
(主婦)

 

A,相談者は以前、「住宅でパソコンの仕事ができる」と電話勧誘され、CDロム一式を一括払いで購入したことがありました。仕事を紹介してもらうため会員になりましたが、その後会社が倒産、会費引き落としも停止していました。

  そこに突然、会費未納と支払免除手続き代行の電話でした。混乱したまま説明を聞きに行った相談者は、宝石販売業のペースに逆らいきれず、クレジットで購入契約したものです。

  相談者には、クーリング・オフの手続きを助言しました。また、倒産会社の顧客名簿が悪用されているおそれがあることから、信販会社には宝石販売業者の勧誘方法を説明し、加盟店管理を厳しくするように申し入れました。

  内職あっせんや資格講座の契約では、約束のサービスが受けられないなどの一次被害のほかに、今回のような二次被害も多数発生しています。うかつに業者に会うことは、禁物です。

 

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出会い系サイトを利用「無料のはずが・・・」 〜確認画面なければ無効〜

8月掲載)

 

Q,出会い系サイトに「利用料無料」とあるのを見て、数回利用した。ところが二日前、「登録料五千円が未納です」というメールが来た。改めてそのサイトをよく見ると、「規約」というボタンがあり、そこをクリックすると登録料についての料金が明記されていた。登録料がかかるとわかっていれば利用しなかった。払わなければならないか。
(学生)

 

A,このような場合、登録料は払う必要がないと思われます。根拠は、電子消費者契約法です。第三条により、消費者はインターネット上で申し込みや承諾の意思表示をする際、事業者が映像画面で消費者の意思表示を確認できる措置をしていない場合は、その申し込みや承諾について錯誤による無効が主張できるとされています。

  相談者は、無料で利用できると思って契約しており、申し込みの前に登録料が有料である旨の確認画面はなかったとのことです。

  なお、請求がきた後、改めて当該サイトを開くと、すでに業者が更新していて確認画面があるという場合もありますので、念のために、利用時の画面は保存しておくとよいでしょう。

  最近、今回の相談のように、無料だと思ったのに後から利用料や登録料の請求がきたという苦情が増えています。強引な請求を受けても納得がいかない時は、安易に支払いをせず、消費生活センターに相談しましょう。

 

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ふとんなど次々販売 独居・身障者ねらう 〜相談相手なく地域でサポート必要〜

7月掲載)

 

Q,目に障害があるが、ひとり暮らしをしている。3、4年前、訪問販売業者に強引にふとん購入を勧められ、断りきれずに契約した。その後、次々他の業者も来て「ふとんは買ったばかりだ」と断っても勝手に上がり込むようになった。

  「目が悪いので契約書面が見えないし、名前も書けない」と言っても聞こうとせず、契約書への代筆を承認させられ、印鑑を渡すまで帰らなかった。多額の支払いで生活が困難だ。解約したい。
73歳 独居)

 

A,契約者は、どの業者から何をどれだけ購入契約したかよくわからないとのことから、離れて暮らす娘さんに連絡をとり、契約書や商品の有無を調べてもらいました。その結果、4業者と7つの契約をしており、総額も300万円近くになっていました。

  契約書を調べると、確かにサインが相談者の字と違っており、障害者年金で暮らしているのに厚生年金と記入してあるなど、問題のあるものでした。

  当センターは各事業者に、強引な販売行為に違法性があること、信販会社に対しても次々販売をチェックしなかった責任があることを主張して、無条件解約に応じるよう申し出ました。その結果、販売会社も販売に行きすぎがあったことを認め、商品の返還を条件に無条件解約に応じることで合意しました。

  しかし、再度契約内容に従って商品を確認したところ、契約者が一部使用していたり、業者のすすめで下取りに出してしまったものがあり、解約交渉は現在も継続中です。

  今回の件は、相談者宅を訪れた知人が、複数の信販会社からの郵便物に気づいて、契約の経緯を聞き、当センターに連絡したことから明るみにでました。相談者は、返済等で親類に迷惑が及ぶことをおそれて、娘さんにも相談しないできました。

  高齢者は、トラブルを抱えても家族や周囲に気兼ねして黙っていることが少なくありません。このような人たちをねらった悪質商法を防ぐには、近親者だけでなく、地域でも気配りすることが欠かせません。

 

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「内職で高収入」の広告にご注意 〜教材の支払いだけが残った〜

6月掲載)

 

Q,「ホームページ作成で高収入」という広告を見て電話した。「教材を購入して勉強し、適性試験に合格すると仕事を紹介する」と説明されて、高額だったがCDロム一式を購入契約した。ようやく仕事ができるようになった頃、仕事をあっせんする会社が倒産したと通知があった。仕事がないのに信販会社からは教材の支払い請求がくる。教材を解約したい。
(無職)

 

A,最近、このような相談が増えています。職種はほかにテープ起こし、書類作成などがあり、雑誌広告や新聞チラシ、インターネットなどで募集しています。商品としてパソコン一式やCDロムなどを購入させられます。

  特徴的なのは、内職に必要だという商品や講座を契約する際、その事業者が内職をあっせんしてくれると思っている契約者が多いことです。しかし、商品の販売業者と内職あっせん業者は別組織になっています。売買契約書には、内職あっせんについては触れていません。

  「内職あっせん業者が倒産しても売買契約は継続する」というのが、販売業者や信販会社の言い分です。

  相談窓口では、販売業者と信販会社に対して誤解を招いた説明責任を指摘して解約に応じるよう求めていますが、難航しています。「自宅で高収入」などの内職あっせん広告には、十分ご注意ください。

  なお、「内職・モニター商法」の契約は、契約後20日間のクーリング・オフができます。

 

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高齢者ねらう床下無料診断 〜クーリング・オフしたのに…〜

6月掲載)

 

Q,一人暮らしの老父が販売員に床下の無料診断を勧められ、約100万円の防湿工事を契約していた。明日、販売員が代金受け取りに来ることになっているが、クーリング・オフで解約できるか。
(近くに住む娘)

 

A,訪問販売による床下防湿工事の施工契約は、特定商取引法で契約日から8日間クーリング・オフができます。書面で解約手続きをするように助言しました。

  しかし、続きがありました。

  相談者はクーリング・オフの通知を配達記録郵便で出すとともに、明日、現金で払うと約束していたので事業者にFAXで「解約したので来ないでほしい」と知らせたのです。

  ところが翌日、販売員は老父宅を訪問、言葉巧みに銀行に連れ出しキャッシュカードでお金を引き出させたのです。

  相談者はこのことに気づき、すぐ警察と販売員の上司を呼んで代金の返還を求めました。上司も販売員の行き過ぎを認め、事なきを得ました。

  点検した業者から「床下が腐っている」などと言われたら、誰でも動揺してしまいます。まして、高齢者は自分で床下にもぐって確かめることもできず、販売員の言いなりになりがちです。高齢者が狙われているフシもあります。

  今回の事例のように、クーリング・オフの通知を出しても、しつこく契約を迫る業者もいますので、くれぐれもご注意ください。

  為替相場の変動は、専門家でも予測がむずかしく、また取引の経験のない消費者には取引業者の見極めもむずかしいと思われます。勧誘にはご注意ください。

 

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過去の契約者をターゲット 二次被害に気をつけて 〜他社のリストを使い電話勧誘〜

5月掲載)

 

Q,1年前A社から、総額1,000万円相当の特典を利用できる会員にならないかと勧誘され、「特典を得るために必要」と説得されて英会話教材用CDロムを購入、支払いを続けている。

  ことし1月、別のB社から「A社のサービスを利用しているか」と電話があった。「していない」と答えると、「そういう方の支払いを助ける内職を紹介している」といわれ、話を聞きに行った。

  B社はマーケティング情報の提供サービスを業務としており、情報を収集する内職モニターを募集しているという。「簡単なアンケートに回答するだけで月5万円の収入がある。パソコンを使うので50万円のCDロムを購入してもらうが、月々の収入で楽らく返済できる」という。

  購入契約したが、ほとんどのアンケートには年齢制限があり、自分の年齢は対象外で収入が得られない。契約前にそういう説明は一切なかった。解約したい。
(学生)

 

A,B社は、CDロム販売という本来の目的を隠して呼び出したこと、内職の年齢制限を告げなかったこと、A社の契約リストを悪用したことなど、販売方法に問題があります。

  相談者に解約の意志を文書で出すように助言し、当センターからも問題点を指摘しました。B社もこれを認めて、無条件解約になりました。

  1年前に契約したA社も、販売目的を隠して呼び出したり、契約日の翌日、相談者が考え直して口頭で解約を申し出たのを拒否するなど、販売方法に問題があるため、B社と同様に解約意志を文書で提出することを助言しました。

  A社は既払い金(約12万円)を解約料に充当すると回答しましたが、販売方法の問題点を指摘して再考を求めた結果、契約金の一割(約6万円)を違約金とすることで解決しました。

  電話で呼び出されて契約した人のリストが流出して、二次被害がでています。契約には十分ご注意ください。クーリング・オフは口頭ではなく、発信日が証明できる配達記録郵便等で出しましょう。

 

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強引!帰してくれないアポイントメント商法 〜契約法の「取消し」にも難色〜

4月掲載)

 

Q,20才を迎え、若い男性から「海外旅行に安く行けるので会員にならないか」としつこく電話が来るようになった。短大卒業を控えており、就職活動を理由に断っていたが、「社員も募集している」と言われ会う気になった。

  ところが行くと、旅行話や宝飾品を安く買えるという話ばかり。「帰りたい」と言ったが帰してもらえず、長時間説得され、帰るためにダイヤの指輪を契約した。

  すぐクーリング・オフを申し出たが、またも強引に説得され、再契約してしまった。
(女性)

 

A,販売目的を隠し、強引な勧誘、退去妨害で契約を強要しています。相談者には、消費者契約法による取り消しを申し出るよう助言しました。

  しかし事業者は「事実でない」と取り合わないため、双方が相談室で話し合いました。それでも事業者は「証拠がない」と認めません。

  信販会社も抗弁を認めず、債権を事業者に譲渡し、信販会社からの催促はなくなりましたが、事業者は販売価格の10%の違約金を要求してきました。当相談室は再度、この契約は消費者契約法で取り消しができる契約である旨主張しましたが、既払金(5%)で和解になりました。

  この事業者については同様の事例が寄せられています。事業者の強引な販売方法もさることながら、加盟店の違法すれすれの販売行為を見過ごしている信販会社の社会的責任も問われる事例でした。

 

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入金前に名義変更させてはダメ 〜こわい中古車業者の倒産〜

4月掲載)

 

Q,ラジオ番組やタウンページで中古車買取業者を紹介していたので、信頼して、自宅での出張査定を依頼した。25万円の査定だったが「東京本社で再査定して変更がなければ10日後に25万円振り込む」と説明され、車を渡した。

  東京本社に電話で、査定額に変更がなかったことを確認し、請求された印鑑証明書、住民票を送った。ところが約束された期日に入金がなかった。
(男性)

 

A,相談者には文書で入金催促することを助言し、相談室からも電話で申し出ましたが、入金されませんでした。

  車、印鑑証明書、住民票がそろえば登録の名義変更ができます。すでに車は名義変更されていました。相談者には支払督促の手続きを簡易裁判所にとるよう助言しました。

  しかし事業者は、地方裁判所に破産の申立を行い、破産宣告を受けました。この場合、事業者の債権債務は管財人の管理下に置かれます。

  相談者には債権者としての届け出を裁判所と管財人に申し出ることを伝えました。

  今回のような事例は、車の売買では起こり得ることです。トラブルを回避するためには(1)その場で車と代金の受け渡しをする、(2)全額入金されたことを確認してから印鑑証明書等を渡す、(3)ラジオCM、新聞広告は信頼の証しではない、という認識をもつことです。

 

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商品説明装い電話勧誘 〜注文しない商品届く〜

3月掲載)

 

Q,タウン紙で「アミノ酸でダイエット」の広告を見た。「一瓶で4kgダイエットできる。本紙読者に限り二瓶のみ特別価格で提供」とあったので、電話で二瓶注文した。その時、「商品が届いたら、フリーダイヤルで飲み方を聞いてください」といわれた。

  商品が届いたので代金引換で受領し、指示されたとおり電話で飲み方の説明を受けた。その時「今なら会費無料で会員になれる。会員は2050%割引で商品を購入できる」といわれ、入会を承諾した。

  「商品に添付してある規約をよく読んでください」といわれ規約を見たが、細かい文字でびっしり印刷されていたので、電話で説明された内容だろうと思って、よく読まずに入会申込書を送付した。

  ところが2ヶ月後、注文していない商品が届いた。問い合わせると、「会員は商品を8ヶ月間定期購入する、と規約に記載してある。解約はできない」と言われた。

 

A,新たな勧誘、書面の交付必要
 相談者は「入会の条件として8ヶ月間定期購入することは聞いていない」といい、事業者は「規約を読めば分かるはず。電話でも説明した」と双方譲りません。

  当センターは事業者に対し、最初の注文品が届いた時点で消費者に電話をかけさせ、飲み方の説明の後、新たな勧誘を行っており、これは特定商取引法の電話勧誘販売に該当することを指摘しました。

  これに対し事業者は、商品の案内をしたまでで電話勧誘ではないと反論しましたが、当センターは会員になることのメリットを具体的に説明をして入会を勧めているので勧誘行為に当たり、クーリング・オフを記載した書面交付が義務づけられていると説明しました。

  相談者には、配達記録郵便でクーリング・オフ通知を出し、商品は事業者の同意を得て着払いで返送するように助言しました。
電話勧誘販売
  事業者が電話をかけたり、かけさせたりして、商品・サービス・役務などの契約をさせます。

  特に「資格者が不足している。あなただけがこの地域で選ばれた」「いま入会すれば特典がある」などとしつこく勧誘することが多い。

  特定商取引法で、威迫行為、事実と異なることを告げたり、故意にじじつを告げないことは禁じられています。

  また、事業者には書面交付義務があり、書面の交付日を含めて8日間のクーリング・オフができます。

 

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「通院より、治療器で不妊治療を」 〜言葉巧みに医療用具販売〜

2月掲載)

 

Q,半年ほど前、つぼを刺激する家庭用医療用具のことで電話があり、不妊治療を受けていることを話した。

  「同じ悩みの人も使っている」とのことで、自宅訪問してもらった。三ヶ月の使用で妊娠した女性の話などを聞かされ、「病院にお金をかけるよりは、治療器を購入した方がよい」と強く勧められて購入した。

  それから六ヶ月欠かさず使用したが効果がなく、再び病院で治療を受けることにした。全額支払い済みだが解約したい。

 

A,販売員は「病院でこの治療器を取り入れないのは、かなりの病気が治ってしまうので、病院経営が成り立たなくなるため」などと説明していました。「通院は不要。これだけで大丈夫」という言葉を信じて、相談者は使用を続けていました。

  厚生労働省はこの商品に不妊改善の効果は認めていないため、当センターは事業者に不妊改善を強調した販売方法の問題点を指摘し、解約に応じるよう申し入れました。

  この結果、相談者が早期解決を望み、契約金額の15%の解約料で合意しました。

  なお家庭用医療用具には製造承認番号が表示されていますが、これは不適正な販売や広告を防ぐために業者を登録させ、取り締まるためのものです。

  厚生労働省がその製品の性能や効能について「推薦している」というものではありません。

 

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日常使用の汚れも原状回復義務? 〜判例も「負担義務ない」〜

2月掲載)

 

Q,アパートを12月中旬に退去するため、契約書に従って一ヶ月前に申し出た。しかし家主側は、退去時が年末に重なると、清掃や修理業者の手配が難しく、部屋の原状回復が間に合わないので、一月分の家賃も払えという。

  契約書を見ると「原状回復の確認までの家賃は賃借人の負担となる」旨の記載があった。また、原状回復の中には日常使用による汚れや消耗も含まれると特約にあった。不当ではないか。

 

A,一般に賃借人の原状回復とは、通常の清掃を行ったうえ鍵を返すまでを指し、家主が行う修繕期間中まで責任を負いません。また、日常使用による損耗についての修繕義務も負わないとされています。

  ところが今回は、契約書に特約として、(1)家主が業者清掃を終了するまでは原状回復とみなさない、(2)日常使用損耗にも修繕義務を負う、と明記されており、このような特約の有効性が問題となりました。

  そこで弁護士に見解を求めたところ、以下のような回答を得ました。

 (1)原状回復とは借り主が私物を取り除き、通常の明け渡しをする事と考えて良い、(2)日常使用損耗の修繕費用は、たとえ特約があっても賃借人が負担する必要はない(多くの判例がある)。

  相談者には12月分の賃料のみを払い、後日精算される修繕費については日常使用損耗部分の支払いを拒否するよう助言しました。

 

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アナログ放送、来年から中止? 〜点検装い、いつわり情報〜

1月掲載)

 

Q,「テレビの無料点検をしないか」とたびたび事業者が来訪したが、その都度断っていた。しかし今回は「アパートの人たちは皆点検している」と言われ承諾した。

  点検後、事業者は「来年からアナログ放送が中止されるので、このテレビは見られなくなる。デジタル用テレビは30万円以上するので、ケーブルテレビを契約した方が安い」という。長時間勧められて契約したが、後でアパートの人に聞くと、だれも契約していなかった。解約したい。

 

A,現在放送されているNHK(総合テレビ・教育テレビ)や民放テレビ局のアナログ放送が来年から中止になるのか、総務省情報通信政策局に問い合わせました。その結果、デジタル放送は2003年までに東京・名古屋・大阪の一部地域で始まる予定ですが、現在のアナログ放送は2011年(平成23年)に打ち切り、デジタル放送に全面移行するということでした。つまり、2011年までは、アナログ放送を見ることができます。

  契約書を確認したところ、契約内容はケーブルテレビの基本料金、追加の番組料及び工事費でした。相談室は事業者に対し、デジタル放送の打ち切りに関する説明が事実と異なっており、消費者契約法の「不実告知」に相当する疑いがあるので、事実関係の調査と、契約取り消しを求めました。

  しかし事業者は、今のテレビが見られなくなるとは言っていないと主張し続けました。相談者は交渉の長期化を避けたい意向があり、話し合いの結果、1ヶ月分の基本料金と取り付け工事費を支払うことで解約となりました。
デジタル放送の受信
 デジタル放送が開始された場合、これを見る方法としては、(1)今までのテレビに専用チューナーを取り付ける、(2)デジタル放送対応のチューナー内蔵テレビを購入する、のいずれかの方法があります。

  北海道では現在のところ、2006年頃から地上波のデジタル放送が始まる予定です。また、2011年にアナログ放送が打ち切られることが決まっています。

  計画が確実でない場合や制度が大きく変わるときは、憶測やニセ情報が流れ、消費者は必要のない商品の購入を勧められる等のトラブルが予測されます。充分注意が必要です。

 

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