事前に分かる?〜宝くじの当せん番号〜

12月掲載)

 

Q 「数字選択式宝くじの当せん番号は事前に分かっているので教えることができる。会員になるための審査費用4万円を払って」と電話がかかってきた。不審に思うのだが、信用できるか。 (40代 女性))

 

A 「ロト6」など数字選択式の宝くじの当せん番号を事前に教えるのと引き替えに、高額な審査費用や情報料などを支払わせるトラブルが増えています。中には「当せん番号を言うから明日の新聞で確認してみて」と言われ、翌朝の新聞を見たところ当たっていたのですっかり信用し、その後、保証金などの名目で数百万円をだまし取られたという事例もあります。これは、くじの抽せん会がインターネットで生中継され、朝刊よりも早く番号を知ることを利用したものです。このほか、支払ってしまった情報料の返金を求めようとしたが、事業者と連絡が取れなくなったという事例もあります。

 

警察庁や独立行政法人国民生活センターは「宝くじの当せん番号は、機械により無作為に決まるものなので、事前に分かることは絶対ない」とし、注意を呼び掛けています。

 

相談者にはトラブル事例の情報を提供し、うまい話には耳を貸さず、お金を支払わないようアドバイスしました。

 

また、海外宝くじについても、高額賞金の当せん権利があるなどと記載されたDMを送り、手数料などを支払わせる手口が最近また増加しています。海外の宝くじは、日本国内で買うだけでも違法となる可能性があるので、十分注意しましょう。


競馬予想の情報料〜当たらなかったので返金して!〜

12月掲載)

 

Q インターネットで「絶対もうかる競馬予想情報」という広告を見て、事業者に電話をし、無料会員登録をした。情報料45万円を振り込み、もらった情報どおり馬券を購入したが当たらなかった。事業者に苦情を言うと、「会員ランクアップ費用を払えば確実な情報が渡せる」と説明を受け、合計290万円を支払ったが、当たらなかった。返金してほしい。 (60代 男性)

 

A 事業者あてに解約を希望する通知を送付するようアドバイスしましたが、あて先不明で返送されてきました。センターから電話をかけて(販売方法の)問題点を伝えたところ、「販売方法に問題はないが、情報が的中しなかったのであれば申し訳ない。一部を返金する」との返答でしたが、その後、事業者と連絡が取れなくなり、結果的には返金されませんでした。

 

この事例のようなトラブルが多発しており、事業者と連絡が取れなくなると、返金は難しくなります。競馬にはさまざまな不確定要素があることから、「必ず当たる」情報はあり得ません。日本中央競馬会(JRA)や独立行政法人国民生活センターなどは「絶対もうかる」「八百長レースを仕組んでいるから勝敗が分かる」などといったセールストークに惑わされないよう、注意を呼び掛けています。

 

同様の手口でパチンコの攻略法や競艇の予想情報の提供を持ちかける手口もあります。もうけ話には十分注意し、トラブルに遭ったら最寄りの消費生活センターへ。


壁と屋根の工事 〜火災保険で直せるの?〜

11月掲載)

 

Q 自宅を訪問してきた事業者に、火災保険を利用して壁と屋根の修理工事ができると勧誘を受けた。自然災害といえば自己負担がないと言われたが、このような修理は可能か。     (60代 男性)

 

A 住居として使用される建物や家財が、雪害などの自然災害によって損害を受けた場合、火災保険等の保険金が支払われることはあります。しかし、保険商品により時価額で支払われるものや、損害額が一定額以上の場合に支払われるもの、損害額を新品価額で算出して支払われるものなどさまざまです。

 

また、自然の消耗や劣化で生じた損害は自然災害とはいえず、保険金は支払われません。消費者が経年劣化と知りながら、事業者の指示で自然災害だと偽って保険金の請求をすると保険契約を解除されたり、保険契約者自身が保険金詐欺に関与していると見なされたりする可能性もあります。いずれにしても事業者の説明をうのみにせず、保険会社に保険内容や対象範囲などを確認する必要があります。

 

火災保険を使って無料で修理できると持ちかける修理事業者について、消費生活センターや(一社)日本損害保険協会には、「ずさんな工事だった」「工事代を水増し請求された」などのトラブルが寄せられています。

 

相談者にはこれらのことを伝え、修理工事が必要なときは複数の事業者から見積もりを取るなどして、金額や契約内容をよく確認するよう助言しました。

 

解約に高額違約金?

 実際に「火災保険で自宅の雪害修理ができると訪問勧誘があり、保険請求と車庫と壁修理を依頼した。実際に下りた保険金額は、請求金額より少額だったため、壁の修理を見直したいと伝えたところ、違約金を請求された」との相談も寄せられています。この相談のように「保険金の請求申請を代行する」というセールストークが使われている場合が多いですが、実際に申請をするのは消費者です。事業者は、保険会社などに提出する写真撮影や見積書を作成することが主ですが、中には消費者になりすまして請求を行い、トラブルになるケースもあります。

 このほかにも不審に思い断ると、根拠のない「違約金」や「解約金」「見積もり調査費」などの名目で保険金の数十%を請求してくる事業者もいます。

 訪問販売で契約した場合、法律で定められたことが記載された書面を交付されてから8日以内であれば、クーリング・オフができます。書面不交付や記載内容に不備があるときは、8日間を過ぎていても可能な場合があります。クーリング・オフをした場合は、事業者は違約金等の請求はできません。

また、「保険金を先払いしたが、一向に着工されず、連絡不能となった」「希望箇所の工事がされず、3カ月後に雨漏りが発生した」との相談も寄せられています。

火災保険が使えるといって、勧誘する事業者が訪れた場合には、必ず損害保険会社や代理店に相談しましょう。

雪の降る前に工事を終わらせた方がよい、などといって契約を急がせる事業者にも注意が必要です。トラブルに遭ったら最寄りの消費生活センターへ。

 


自宅に指輪買い取り〜 契約書がなく悪質?〜

10月掲載)

 

Q 3日ほど前、祖母宅に事業  者が「アクセサリーはないか」と言って訪問してきたので、指輪2点とネックレス1点を見せたところ、3万円で買い取ると言ったので渡したという。事業者は、名刺は置いていったが、契約書などは一切渡さなかったようだ。悪質なので情報提供する。 (20代 女性)

 

A このように事業者が自宅に訪問してきて物品を買い取る取り引きについて、平成25年2月に施行された改正特定商取引法で「訪問購入」として規制の対象となりました。法律が改正される前には、例えば「『着物を買う』と言っ

て電話が掛かってきたのに、実際は『貴金属を売ってくれ』という話だった」、「貴金属を引き渡してしまったが、翌日に返品してもらおうと連絡したら『もう溶かした』と言われ、返してもらえなかった」などのトラブルが起きていました。

 

改正法では、要請をしていない者に対する勧誘を禁止しているほか、事業者の連絡先や購入価格、クーリング・オフ制度などについて書かれた書面の交付が義務づけられ、書面交付から8日間はクーリング・オフが可能になりました。

ただし、すべての物品が規制の対象となるのではなく、自動車(二輪を除く)や家具、家電(携行が容易な物を除く)、本やCD・DVD、有価証券などは規制の対象とはなりませんので、ご注意ください。

 

この事例の場合、クーリング・オフ期間なので、取り戻したい場合には無条件で契約を解除することができるので、本人から相談窓口に連絡するように伝えました。

 

約束もなく自宅を突然訪れたり、書面を渡さなかったりする業者には要注意です。きっぱりと断りましょう。トラブルに遭った場合は最寄りの消費生活センターへ。


水道局が点検工事?〜不要な作業、解約したい〜

10月掲載)

 

Q 5日前、私の留守中に「水道局の者ですが…」と事業者が訪問してきた。高齢の母が対応したところ、排水管の洗浄が必要だと説明され、よく分からなかったが水道局ならと思い契約してしまい、代金1万2600円を支払ってしまったという。チラシと領収書、名刺を置いていったが、契約書はもらっていないようだ。不要な作業と思われるので、返金してほしい。(50代 女性)

 

A この事例は、特定商取引法の訪問販売に該当し、洗浄作業が終了してしまってもクーリング・オフができるので、相談者にはその方法を伝えました。契約当事者からクーリング・オフを通知し、返金を確認し終了しました。

 

点検などを装って訪問し、不安をあおったり、急がせたりして契約させるものを点検商法と言いますが、最近、公的機関を名乗って信用させる悪質な事業者もいます。公的機関を名乗ってきたときは、その場で契約せずに、部署名、氏名を聞いて、その機関に確認しましょう。

 

玄関先に「訪問販売お断り」のステッカーなどを貼っている家に、事業者が訪問販売することを北海道消費生活条例では不当な勧誘方法として禁止しています。訪問販売を断りたい場合は、ステッカーを貼るのも一つの方法です。


展示会に誘われて…〜お店で買った着物、解約できる?…〜

9月掲載)

 

Q 1週間前に「景品をあげるので展示会に来ないか」と電話があった。スーパー内の店舗に行くと着物を次々と合わされ、必要ないと断ったが、「帯を購入すると着物は無料になる。買わなくていいから手付け金だけ置いて」などと言われ、千円を支払わされた。次の展示会で帯を見ることになり、店舗に行くと帯と着物を勧められ、買わないと断ったが「帯と仕立て代26万を払うと着物も手に入る」と説得された。1万円を払い、残り25万円をクレジットカード24回払いで契約してしまった。その翌日、店舗に行き「着る機会がなく、着物はたくさんあるので解約したい」と伝えたが、湯通し済みだなどと言われ、応じてもらえなかった。やはり必要のない物なので解約したい。  (70代 女性)

 

A 特定商取引法(特商法)では、店舗以外の場所で事業者が消費者に対して行う商品等の販売を「訪問販売」と定めて規制しています。契約をした場所が店舗や事務所であっても、勧誘目的を告げずに呼び出し、契約をさせた場合も訪問販売に該当すると定めています。

 

 例えばこの相談事例のように、勧誘目的を告げず「景品がもらえる」と電話で誘って商品やサービスの契約をさせる「アポイントメントセールス」や路上などで「アンケートに答えてください」と声を掛けてきて、言葉巧みに店舗に誘導し結局商品を買わせる「キャッチセールス」などが訪問販売に該当します。

 

 訪問販売に該当する場合、書面の交付義務があり、断っている人への勧誘を継続することや、その後改めて勧誘することは禁止されています。法律で決められた内容が記載された契約書面を受け取って8日間はクーリング・オフが可能です。

 

 相談者には、一般的に店舗契約の場合、解約は事業者の定めによりますが、今回のケースでは特商法の訪問販売に該当する可能性があり、クーリング・オフを主張することができる旨、説明しました。当センターから事業者へ販売方法について確認したところ、当該事業者は、店舗販売であっても8日間の自主クーリング・オフ制度を設けており、また、湯通しは仕立ての一工程だが、契約翌日にすることはないため、無条件で解約を受けるとの回答がありました。念のため相談者から契約解除通知を発信するようアドバイスしました。相談者は翌々日、店舗に出向き、クレジットカードのキャンセル処理をし、支払った現金全額が返金されたという報告があり、相談を終了しました。

 

こんな誘い文句にもご注意!
 着物関係の勧誘であれば、次のような相談も寄せられています。例えば浴衣を購入するにあたり、店舗に出向くと「期間限定の反物がある」「お子さんの卒業式用に1枚持っていた方がよい」などと強引に反物をあててきて数10万円の契約をさせられた、展示会の案内が来たので行くと「訪問着と帯を購入したら値引きをして、娘さんの振り袖もサービスする」などと言われ、高額なクレジット契約をさせられ支払いが困難になった、などです。
 必要ないと思ったらきっぱりと断ることです。契約をしてしまった場合でも、この事例のように店舗販売であってもクーリング・オフが可能な場合もあります。あきらめず、最寄りの消費生活センターなどで相談しましょう。

 


便利だけど…〜ネット通販 ご注意!〜

8月掲載)

ブランド物の財布を激安で購入、商品が届かない!

Q インターネットの通販サイトからブランド物の激安財布を注文し、代金を振り込んだが、納期を過ぎても商品が届かない。広告を確認してみると、所在地も電話番号も記載がなかった。メールは送信できるので、「納品できない場合は返金してほしい」と送ったが返信がない。国内の宅配業者が配達すると記載があったが、口座名義人は外国人のような名前だ。返金してほしいがだまされたのか。(20代 女性)

 

A ネット通販は、パソコンや携帯電話から簡単に買い物ができることから幅広い世代が利用しています。しかし、この事例のようにブランド物を格安で販売するサイトを利用し、商品が届かなかったり、届いたとしても模倣品だったりす   るトラブルが多発しています。

 

また、日本語のサイトでも海外の事業者が運営するサイトだったというケースも増加しており、模倣品を輸入することは、商標権侵害に問われる可能性もありますので、消費者も注意が必要です。

 

消費者庁は模倣品を販売するウェブサイトを見抜くチェックポイントを4つ挙げています。@ 正確な運営情報(運営者氏名・住所・電話番号)が記載されていない。連絡手段がEメールしかない。A 正規販売店の販売価格よりも  

極端に値引きされている。B 日本語の表現が不自然である。C 支払い方法が銀行振込のみとなっており、クレジットカードが利用できない。

 

模倣品を販売するサイトでは、消費者が商品代金を支払った後に、販売サイトと連絡が取れなくなるケースが多く、商品の交換や、銀行振込の場合は返金を求めることはほぼ不可能です。

 

この事例の場合、海外サイトの可能性があり、住所も電話番号も記載がないのであれば、返金交渉は困難だと思われます。振込票等が残っているのであれば警察に持参して、相談してはどうかと助言しました。

 

インターネットや店頭取引を含む海外ショッピングに関する相談窓口として消費者庁越境消費者センターがあります。 

 

なお、国内の通信販売の場合、クーリング・オフは適用されませんが、広告などに返品の有無や規定を表示しなければならないので、表示のない場合、8日間は返品可能です。ただし、返送費用は消費者負担です。

 

※相談受付方法

ホームページ http://www.cb-ccj.caa.go.jp

Eメールcontactcb-ccj.caa.go.jp

FAX0363671230

 


オークションでチケット本物が届くか心配…

8月掲載)

 

Q インターネットのオークションで、個人が出品しているサッカーの国際試合の観戦チケットを落札しようと思うが、高額なのでニセ物だと困る。注意点を教えてほしい。     (30代 男性)

 

A 主催団体のホームページで確認したところ、「オークション、またはインターネットオークションにかけて転売した場合、そのチケットは無効となる」との記載がありました。相談者には、オークション等で入手したチケットは、たとえ本物でも無効になり、観戦できない可能性があることを情報提供しました。

 

 一般的には、チケットの真偽を確かめる方法としては、主催者に確認する方法があります。この事例のように主催者側がチケットの転売を禁止している場合は確かめる方法はなく、転売した時点でチケットが無効となってしまう場合

があるので、オークションでの入手にはリスクがあることを知っておきましょう。

 


スマホでサイトにアクセス・・・入会していないのに請求が

7月掲載)

 

Q スマートフォン(以下、スマホ)でアダルトサイトにアクセスし、「18歳以上ですか」と聞かれたので、「はい」のボタンを押したら「入会金9万円を振り込んでください」と画面に表示された。入会するつもりはないので「退会する」のボタンを押したらメールが届き、「入会金を支払わなければ退会できない」とあった。どうしたらよいか。(40代 男性)

 

A 契約の成立には「申し込みとそれに対する承諾」が必要です。相談者に、サイトにアクセスしたときの状況を聞くと、有料であるという案内や規約の表示はなかったとのこと。これらの状況から「有料サイトの利用を申し込む」という意思表示をしたとは考えられず、事業者が一方的に請求してきているだけであり、契約が成立しているとはいえません。また、事業者が契約は成立していると主張しても、契約内容を確認する画面がなかった場合は、電子消費者契約法により、契約の無効を主張できると考えられます。

 

 相談者には以上のことを説明し、支払う必要はないので無視してしばらく様子を見るよう助言しました。

 

 スマホはあらゆる世代に広がっており、それに伴ってさまざまなトラブルが全国の消費生活センターなどに寄せられています。

 

 一般サイトで見つけたアプリケーションソフト(以下、アプリ)ではなく、いわゆる公式マーケットから無料アプリをダウンロードしたにもかかわらず、突然、料金を請求されたり、無視していると事業者から振り込みを指示する電話がかかってきたりするなどのトラブルが発生しています。中には個人情報を抜き取るアプリがあることも報告されています。

 

 アプリのダウンロードを指示する画面では、そのアプリがどのような情報にアクセスするかを示す「アクセス許可」の画面を十分確認する必要があります。電話番号やメールアドレスへのアクセス許可を求めるなど、疑問に思う場合は、ダウンロードを中止しましょう。トラブルに遭わないためには、安易にアプリをダウンロードしないことです。

 

 身に覚えのない請求は無視し、不安に思う場合はあわてて事業者へ連絡を取るのではなく、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。

 

セキュリティーを万全に

 スマホは高機能携帯電話というよりも、電話機能のついた超小型パソコンです。従来の携帯電話とは違い、日常生活や趣味、ビジネス用など多種多様なアプリを利用者が目的に合わせてダウンロードできる、利便性の高いものです。しかし、直接インターネットにつながるので、ウイルス感染などの危険性が高まります。ウイルス対策ソフトの導入をおすすめします。子供が使う場合には、フィルタリングなどの機能制限を活用し、保護者が常に注意しましょう。

 スマホには個人情報が満載です。日ごろより画面にロックをかけるなど、盗難や紛失対策も忘れずにしましょう。 


過去の損害取り戻せる?〜「被害者の会」は信用できるか〜

6月掲載)

 

Q 数年前、130万円の投資の被害に遭った。すでにその会社は詐欺で摘発されているが、先日その会社の被害者の会から委任されたという団体名で「被害金の全額が分配返還されているので、取り戻せる」という書面が届いた。信用できるか。(60代 女性)

 

A 過去に投資被害に遭った人に対しての被害回復を名目とした詐欺的な勧誘に関する相談が、全国の消費生活センターに寄せられています。その中の多くが、別の投資商品を勧めたり、手数料を振り込ませたりする手口と考えられます。相談者にはその旨伝え、同様の勧誘には十分注意するよう助言しました。

 

この事例以外にも「隠し財産が見つかった」「公的機関(消費生活センターや消費者庁、国民生活センターなど)から委託を受けた」などと勧誘し、公的手続きを思わせる書面を使うなど、手口も巧妙化しています。行政や公的機関が被害調査を事業者に委託したり、被害者に対して債権を買い取る団体を勧めたり、個人情報を事業者に提供したりすることは一切ありません。

 

最近では、米国の資産運用会社「MRIインターナショナル」が行政処分を受けました。「被害金を取り戻す」などと勧誘がある場合は、二次被害につながる可能性がありますので、十分ご注意ください。

 

勧誘を断ったものの不安があるときや契約や支払いを強要されたときは、最寄りの消費生活センターへ。 

 


注文してない! 〜強引な健康食品送りつけ〜

6月掲載)

 

Q 昨日、電話で「注文のあった健康食品を送った」と言われた。覚えがないと断ると「2週間以内に断りの連絡をしなければ、注文したことになると前回の電話で伝えたはずだ」「申し込みの証拠が残っている」「裁判になると60万円を払うことになる。特別に3万円にする。キャンセルはできない」など、一方的に言われた。明日の午後届くようだが、どうしたらよいか。(70代 女性)

 

A 契約は、事業者の勧誘に対し、消費者が承諾をすれば成立します。注文した覚えがなく、電話でもはっきり断っているのであれば、契約は成立していないと考えられます。相談者には、商品が届いても受け取り拒否をするよう助言しました。当センターから事業者へ苦情内容を伝えたところ「そんな勧誘はしていない。送った後に注文違いと気づき、すでにキャンセル処理した」と言うので、相談者は今後の勧誘を希望していない旨伝え、終了しました。

 

最近、この事例のように特に高齢者を狙った強引な健康食品の送りつけの販売手口が急増しています。脅し文句に屈せず、きっぱりと断ることが大切です。

 

また、電話による勧誘は特定商取引法の電話勧誘販売に該当し、契約書面の交付義務やクーリング・オフが規定されています。万が一、電話で契約に同意してしまったり、断りきれず代引き配達で現金を支払ってしまったりした場合でも、書面受領後8日間はクーリング・オフが可能です。悪質な勧誘であればクーリング・オフの期間が過ぎていたとしても解約できることもあります。最寄りの消費生活センターへ相談してください。

 


クリーニングの賠償 〜購入価格全額は可能?基準は?〜

5月掲載)

 

Q1  5年前、8千円で買ったコートをドライクリーニングに出したところ、全体にかけてシミが広がり、着用不能になった。クリーニング事業者は同じコートは入手不能のため、金銭賠償すると言って、当初2千円ほどの賠償額を提示してきたが、思い入れのあるコートなので納得できない。  (30代 女性)

                                                                                                                                                          

Q2  スーツのスカートだけをクリーニングに出した。仕上がり後、自宅に持ち帰り、確認したところ、自分のものではないことに気づいた。クリーニング店に連絡し、探してもらったが見つからなかった。スカート代を賠償してもらうことになったが、スーツとして購入したので、スカートがなければスーツとして着用できない。スーツ分の金額を賠償してほしい。  (30代 女性) 

 

A いずれの場合も、全国クリーニング生活衛生同業組合が作成した「クリーニング事故賠償基準」で賠償額などが定められており、事業者はその基準に基づいて賠償額を提示していると思われます。

 

 Q1の場合、賠償額は、原則損害が発生したものと同じ品質のものを購入する価格をもとに、その品目(この場合はコート)の平均使用年数と、実際に購入してからの経過月数により、設定された補償割合で算定されます。今回の場合、5年前に購入していることから、新品交換や購入時の価格全額を求めることは難しいと思われますので、納得のいく説明を求めて話し合うよう助言しました。

 

 劣化しやすい素材や加工の製品は、平均使用年数が短く設定されており、例えば一般的なコートは4年ですが、ポリウレタンコーティング製品となると2年と短く、その分、賠償額も低くなります。

 

 また、賠償金を受け取った場合、その品物の所有者は消費者から事業者に移り、返品してもらえません。返してほしい場合は、事業者と話し合うことになりますが、賠償額は減額されます。

 

 賠償されるのは品物を受け取ってから6カ月以内です。なお、賠償額の特約を事業者が定めている場合は、それに従うことになります。

 

 一般的にスーツなど2点以上を一対とした製品の賠償額は全体を考慮して算定されますが、Q2の場合はスーツのスカートと伝えていなかったため、スーツとして賠償されるかどうかは、事業者との話し合いになることを伝えました。

 

 賠償額のことだけではなく、上下の色や風合いに差を生じさせないためにもスーツなどはセットで出した方がよいでしょう。

 

預ける前、受け取り後にチェックしましょう

 クリーニングに預ける前は、ポケットの中や、シミや汚れの場所、ほつれや破れがないかを確認しましょう。預ける際は、シミや汚れの場所や原因、ベルトやフードの有無などを受付時に伝え、洗濯物の預かり証に品物の特徴や注意事項の記載があるかどうかも確認しましょう。


 品物を受け取る際は、預けた物や数をその場で確認し、カバーを外してシミや汚れの落ち具合をチェックした方がよいでしょう。

 ビニールカバーは汚れやキズがつかないための運搬用で、入れたままにしておくと変色やかびの原因になります。自宅で収納する際はすぐにカバーから出して陰干しした後、収納します。


安心してくらすために 〜製品事故を防止しよう〜

4月掲載)

 

Q1 加湿器を回収していることを新聞報道で知った。自宅で加湿器を利用しているが、大丈夫だろうか。(70代 男性)

 

Q2 石油ストーブを購入した際、説明書などに同封されているはがきに住所や名前などを記載して返送してほしいと言われた。送らなければいけないのか。(60代 男性)

 

リコール情報を確認しよう 

 

A Q1の場合、相談者宅の加湿器の製造会社や型式などを確認し、当センターから製造会社に問い合わせたところ「当該製品について、事故等の報告はなく、リコールはしていない。異常を感知した場合は安全装置が働く仕組み」とのことでした。ただし、「25年前に製造された商品で、使用期間が長いため、不安であれば使用を中止してはどうか」との回答がありました。相談者は25年も使っていたことに気づかず、安全を考えて買い替えを検討するとのことでした。

 

「リコール」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、リコールとは、製品に欠陥や不具合があり、安全上問題がある場合や、製品を安全に使用するための予防的措置として、製造会社等が製品を無料で回収・修理することです。消費生活用製品安全法などの法令によって回収する場合と、製造会社等が自主的にリコールを行う場合もあります。

リコール情報は新聞やテレビなどでも知らされますが、消費者庁や独立行政法人国民生活センターのホームページなどでも公表されています。

リコール製品と分かったらすぐに製造会社に連絡するか、最寄りの消費生活センターへ問い合わせましょう。

 情報を登録し、点検を受けよう

Q2の場合、 消費生活用製品安全法の改正により、新しく設けられた「長期使用製品安全点検制度」の所有者登録にかかわる相談です。

長期間の使用に伴って生じる劣化により、火災や死亡事故を起こすおそれの多い※1特定保守製品を購入した場合、所有者情報を登録することが求められています。所有者情報を提供することにより、点検時期が近付いたら、製造会社等から通知が送付され、所有者に点検を促すことで事故を防止する制度です。相談者には添付されてあるはがきに必要事項を記入して返送するよう、助言しました。

また、点検は求められていませんが、長期にわたって使用されるため、注意喚起を促す表示を義務付けている※2製品もあります。

点検や表示が求められているのは、平成21年4月1日以降に製造・輸入された製品についてです。法令の規制にかかわらず、長く使い続けている電化製品等は、気付かないうちに劣化し、思わぬ事故に遭遇することもあります。製造時期を確認し、自主的に点検を受け、事故の防止に努めましょう。

※1 対象製品は、屋内式ガス瞬間湯沸器(都市ガス用、LPガス用)、屋内式ガスバーナー付ふろがま(同)、石油給湯機、石油ふろがま、密閉燃焼(FF)式石油温風暖房機、ビルトイン式電気食器洗機、浴室用電気乾燥機の9品目。

※2 対象製品は、扇風機、エアコン、換気扇、洗濯機(洗濯乾燥機を除く)、ブラウン管テレビの5品目。


美容医療の即日手術 〜強引で高額!解約したい〜

3月掲載)

 

Q 10万円くらいで包茎手術が受けられるとのインターネットの広告を見て、メールで無料カウンセリングを申し込んだ。クリニックを訪れたところ、カウンセリングの前に診察があり、「すでに炎症を起こしかけているから早く治療した方がいい」と医師にすすめられた。診察後、事務長から説明を受けたところ、「10万円の治療では術後の傷跡がどうなるか分からない。コラーゲンを注入しないと傷口が裂けるおそれがある」などと言われ、即日手術を受けてしまった。広告金額と全く違い、費用がクレジット手数料を含めて100万円を超えた。強引で納得できないので解約したい。 (20代 男性)

 

A 医療サービスは、医師がその専門分野で通常期待される注意を尽くし、施術当時の医療水準にのっとって遂行していれば、契約は履行されたとみなされ、消費者は治療費を支払わなければなりません。

 

美容医療とは、美容目的で行う医療サービスのことで、二重まぶたの施術や脂肪溶解注射、しみの除去など、健康上はする必要や急ぐ必要のない施術です。多くの場合が自由診療で、その内容や費用が医療機関ごとに大きく異なることもあります。そのため医師には治療の方法や施術結果の見通し、リスクなどを通常の疾病の場合よりも一層詳しく説明する必要があると考えられています。施術には危険が伴うことを十分に認識し、特に受診初日の施術は慎重に検討しましょう。中にはレーザー脱毛やアートメイク、ケミカルピーリングなど、医療行為にもかかわらず、エステティシャンなど医師免許のない者が行っている場合もあり、医師法違反と思われます。

 

今回のケースでは、相談者から契約の経緯を聞いたところ、高額な治療の写真ばかり見せられ、10万円の治療の写真を見たいと言っても見せてもらえなかったとのこと。早く処置をした方がいいなどと不安をあおって即日手術を受けさせるのは問題があるとみて、当センターから事業者に指摘しました。

 

事業者は、「医師や事務長の説明は適切であり、手術を無理強いしていない」と主張しました。しかし、手術費用を15万円に減額するとの提案があり、相談者も承諾し、解決しました。

包茎の場合、保険診療で治療を受けられることもありますので、美容医療の前に泌尿器科などへの受診を検討してみてもよいでしょう。

 

広告の内容に注意

 最近、美容医療機関のホームページの情報を契機とするトラブルが多発していることから、昨年9月、厚生労働省より「医療機関ホームページガイドライン」が示されました。

 それによるとホームページに掲載すべきではない事項として「日本一〞bP〞など自らの優位性を示そうとするもの」「体験談の強調」「キャンペーンや割引など、早急な受診をあおるもの」などを挙げています。

 今回は相談者の望む解決となりましたが、手術後に契約解除を求めたり、減額交渉したりすることは容易ではありません。

ネット検索結果の上位とクリニックの良さとは無関係です。ホームページや広告の情報をうのみにせず、日本美容医療協会や医療機関などからも情報を収集しましょう。

 


春から家を借りたい!〜賃貸トラブルを防ぐには?〜

2月掲載)

 

Q 進学に伴い、子供が4月からアパートを借りて一人暮らしをする予定だが、賃貸契約にはさまざまなトラブルが多いと聞く。未然に防ぐためにどのようなことに注意したらよいか。 (40代 女性)

 

A 賃貸住宅で多いトラブルは、退去時の「原状回復」にかかわることです。そこで国土交通省は、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を作成し、貸主と借主の負担割合等についての一般的な基準を示しています。ガイドラインでは、年数の経過に伴って生じる損耗(経年変化)や、通常の生活に伴って生じる程度の損耗(通常損耗)は、原状回復義務の対象外としています。従って次の入居者を確保するために行う設備の交換や化粧直しなどのリフォームについては、借主が払う必要はありませんが、借主の不注意や故意の破損、たばこのヤニで変色したり、臭いがついたりした場合は、借主の負担とされています。

 

平成23年に改訂されたガイドラインでは、貸主、借主の修繕負担の範囲、費用の単価など、原状回復条件等を明記した文書を契約書に添付することが望ましいとされているので、よく確認しましょう。

 

原状回復にかかわるトラブルの原因の多くは、退去時の損耗が入居前に発生していたものなのか、入居中の借主によるものなのかはっきりしないことによります。

 

トラブルを防止するためには、特約の有無を含め原状回復の内容を書面で確認し、負担する範囲や修繕費用等、双方で合意しておくことも大切です。入居時に貸主側とともに物件の状態をよく確認し、チェックリストを作成して記録しておきます。このとき、写真なども添付しておくとより分かりやすいでしょう。

 

ガイドラインについては、国土交通省のホームページの「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」から確認できるとともに、チェックリストや原状回復条件書面のモデル様式もありますので参考にしてください。

 


引っ越し費用 〜ネットで見積り大丈夫?〜

2月掲載)

 

Q インターネットや電話で手軽に引っ越しの見積りを行い、契約できる事業者もあるようだ。引っ越し前で何かと忙しいので、依頼したいと考えている。(30代 男性)

 

A このケースのように、最近は消費者の家を訪問せずに電話やメール、ネット上のやり取りだけで、消費者の申し出内容に基づいて引っ越しの見積りを行う事業者があります。忙しい消費者にとって便利な半面、実際に引っ越しする際、行き違いが生じ、トラックに荷物が積みきれなかったり、ドアから荷物が入らない、エレベーターがないなどで費用が加算されたりすることもあります。

 

やはり事業者に実際に訪問してもらい、荷物の量や内容を確認した上で見積りをしてもらうのが安心です。どうしても時間がない場合であっても、想定されるトラブルも踏まえた上で事業者と連絡を密にし、見積書が届いたらすぐに内容を確認の上、不明な点があれば説明を求めましょう。

 

また、見積りは複数の事業者から取るとともに、公益社団法人全日本トラック協会が実施している、優良事業所の認定制度なども事業者選びの参考にするとよいでしょう。

 


月々の支払額が高額に!…〜エステを次々進められ…〜

1月掲載)

 

Q 半年ほど前、ネットの広告を見て、千円の痩身エステコースを申し込んだ。サロンに行くと「年々代謝が悪くなるから、若いうちに基礎を作る必要がある」「今、キャンペーン中で、健康食品などを含む、エステ20回コースが36万円で受けられる」と勧められた。その後も次々と健康食品やマッサージジェル、エステコースなどを勧められて3回契約し、クレジットの分割払いで2カ月の間に手数料を含めて165万円ほどの金額になった。支払いできない。解約したい。(20代 女性)

 

A 相談者から詳しく契約の経緯を聞き取ると、代謝がよくなると言われた健康食品が体に合わないと伝えたにもかかわらず、「慣れれば大丈夫」と言われ、同じ健康食品とマッサージジェルなど50万円分を勧められ2回目の契約をしたとのことでした。相談者が「支払いが大変で、これからアルバイトを始めようと考えている」と伝えると、収入額を上乗せしてクレジットの申込書に記入すると審査が通りやすいと指示されたとのこと。さらに最初に契約したエステコースがまだ終わっていないのに、44万円のエステ40回コースを勧められたそうです。この3回目の契約では、審査に通らない可能性があるので、頭金をクレジットカードで払うことを提案され、カードで9万円を2回払いにし、残る35万円をクレジットの分割36回払いで申し込むことになったと言います。

 

厳しくなった規制

 クレジットを利用した契約の場合、割賦販売法(割販法)が適用されます。改正により、クレジット業者の過剰与信を防止するため、契約者の「支払可能見込額」を調査することが義務付けられるなど、規制が厳しくなりました。年間支払可能見込額は、年収から生活維持費、クレジット債務などを除き、さまざまな要素を勘案して算定されますが、この金額を超えるクレジット契約は禁止されています。

 また、特定商取引法(特商法)に該当する契約について(通信販売を除く)、契約のつど、クレジット申込書を作成する個別クレジット契約を結ぶときは、クレジット業者は販売業者の勧誘行為について調査する義務を負い、もし不適正な勧誘があったときは契約はできません。

年間支払可能見込額を超える

 この事例は、特商法の特定継続的役務提供に該当し、割販法の個別クレジットの規制も適用されます。相談者の年収から見ると、年間支払可能見込額を超えていると考えられます。相談者には契約の経緯をまとめエステ業者とクレジット業者に解約通知を送付するよう助言しました。

 当センターからエステ業者とクレジット業者に連絡し、勧誘時の問題点と過剰与信と思われることを指摘しました。エステ業者からはサービスはほとんど消化しているが、クレジット契約の合計額165万円のうち、最初の契約分のエステ未消化分を除く30万円を払ってもらえれば、2、3回目の契約についてはすべて解約処理するという提案がありました。その旨、相談者に伝えたところ承諾し、合意解約書を交わして解決しました。納得できない契約をしてしまった場合、最寄りの消費生活センターへ。

 

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