「恩師の推薦」と勧誘、次々7件も 〜「不実告知」で解約交渉〜

12月掲載)

 

Q,平成13年4月に「次世代のリーダーとしてあなたが能力開発講座に推薦された」と電話があった。「推薦者はあなたの恩師なので断ると迷惑をかける」と言われて承諾した。
  その後「勧誘の電話をなくする処理をしてあげる」「処理費用として教材を購入するように」などの電話勧誘が次々ときた。
  話を信頼して7件の契約をしたが、最近恩師から推薦した覚えはないと言われた。
  これまでの全契約を解約したい。

 

A,7件の内最近の1件はクーリング・オフで無条件解約、もう1件はクーリング・オフ期間は過ぎていましたが、事業者クーリング・オフ回避行為で無条件解約になりました。
  残り5件はクーリング・オフ期間が過ぎていたため、消費者契約法による「不実の告知」を主張して、契約の取り消しを求める書類を各販売店及び信販会社に出すよう助言しました。
  この結果、4件は取り消しを認め、信販会社の解約処理費用のみを消費者が支払うことで合意しましたが、1件は現在も交渉中です。
  なお、恩師の推薦という最初の契約は、相談者がパソコンとソフトを1年半ほど使用していたため違約金を請求されましたが、相談室は「消費者契約法の不当利得の考え方は使用損耗ではなく、パソコンで知識や技能をどれだけ得たかで判断されるべきだ」と指摘。結局、相談者の申告額で和解し、解決しました。

 

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説明と違う「恋人紹介」を解約したい 〜会員に不利な解約条項〜

12月掲載)

 

Q,インターネット広告で恋人紹介サービスを知り、事業者に話を聞きに行った。希望条件を示せば1ヶ月4名の会員を紹介すると言われ、入会金、登録料、会費分の信販契約をした。
  しかし希望とかけ離れた会員しか紹介されず、2ヶ月後に解約を申し出た。「希望にそった会員を紹介する」と言われたが信頼できないので再度解約を申し出た。
  すると、「契約後22日目以降の解約は入会金、登録料の全額と、利用月数の月会費を負担してほしい」と回答があった。納得できない。

 

A,事業者独自の解約規定では、相談者の場合登録料はまったく返金されないことになりますが、契約の際、そのことは説明されていませんでした。
  相談室は事業者に約束したサービスがなされていないこと、解約条項が消費者に不利で説明もされていない点を指摘しました。
  交渉の結果、登録料は返金できないが、入会金は残存日数に応じて返金すると回答がありました。相談者も了解し、既払分との差額を払って終了しました。
  特定商取引法では、語学教室、エステティックサロン、学習塾、家庭教師の4業種は中途解約の規定を設けていますが、恋人紹介サービスは現在のところ規定がありません。
  独自の解約規定を設けている事業者もいますが、消費者にきわめて不利な内容であることもあり、書面内容を十分に確認する事がたいせつです。

 

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語学教室の中途解約、精算方法は「合理的」か 未使用チケット多いほど不利?

11月掲載)

 

Q, 2年前、チケット制の語学教室の受講を契約した。購入するチケット数が多いほど単価が安いので、3年間有効のチケットを400枚購入した。
  97枚分使用したところで、このたび中途解約を申し出た。まだチケットを4分の1程度しか消化していないので、40万円以上返金されると思っていたが、業者は30万円弱だという。納得できない。(学生)

 

A,語学教室の契約は、特定商取引法の「特定継続的役務契約」にあたり、クーリング・オフ期間が過ぎても理由の如何を問わず中途解約できます。
  当センターから精算方法について確認したところ、チケット購入時の単価ではなく、在籍した期間の長短に応じた特殊な計算によって精算されていました。相談者は消化枚数は少ないが、在籍期間が長かったために、実使用以上にチケットを消化しているとみなされ、単価も割高に計算されていました。
  法律を所管する経済産業省は、中途解約の精算について、約款に精算方法を記載し、それが「合理的」であることを求めています。そこで北海道経済産業局に見解を求めたところ、「契約締結時の単価で計算するのが原則だが、約款に具体的な精算方法が明記され、かつ精算された金額が契約時の料金計算と著しくかけ離れていなければ、非合理とは言い切れない」という見解でした。
  相談者には同局の見解を伝え、納得できないのであれば再度事業者と話し合うことを勧めました。相談者は、解決まで時間がかかりそうなのでこのまま授業を続行するという意向で、相談を取り下げたため終了としました。
  今回の相談では、中途解約の際の精算基準が利用者側からみて合理的とはいえないことが問題になりました。
  精算方法が合理的かどうかを判断する、明確な基準が求められます。

 

特定継続的役務とは?

  外国語会話教室、エステティックサロン、学習塾、家庭教師の4業種の役務(サービス)提供契約が対象です。
  事業者は、契約を締結したときは「契約書面」を交付する義務を負い、消費者は契約書面受領後8日間はクーリング・オフできます。その後も理由の如何を問わず、役務提供を受けていない部分について中途解約できます。(教材も使用していない部分については返品返金を請求できます)
  中途解約に伴って負担する違約金も、上限が定められています。

 

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電話機のリース契約を解約したい 〜事業者にクーリング・オフは適用外〜

10月掲載)

 

Q,「電話機の保守点検をするから」と訪ねてきた販売員に勧められて、電話機のリース契約をした。
  しかし、いま使用している電話機が十分使えるので、クーリング・オフを申し出たところ、事業者であることを理由に断られた。(酪農業)

 

A,電話機やファクシミリ、浄水器などのリース(貸与)契約は、特定商取引法により8日間のクーリング・オフが認められますが、同法は借り主が消費者であることが条件です。
  酪農、農業、商業などの経営者が、事業用にリース契約した場合は適用されません。相談者は酪農業を営んでおり、電話機も事業者として契約していることから、クーリング・オフは難しい旨回答しました。
  一般家庭が電話機をリースすることはあまりありませんが、自営業者はリースを利用することがあります。
  事業者には特定商取引法が適用されないことから、悪質な販売行為も見受けられます。廃業している元農家にリース契約をさせ、職業欄に「農業」と記入させた例もありましたが、クーリング・オフが適用されました。

 

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パソコンの資格とれば仕事紹介 〜あやしい、解約したいが

10月掲載)

 

Q,インターネットで「月510万円。空いた時間でお仕事」という広告をみて資料を求めた。電話がきて、仕事をするにはコンピューティングの資格が必要で、合格するため63万円の教材を購入するが、資格取得後に紹介される仕事の収入で返済できる、と説明された。失業中で、収入に惹かれて契約した。
  しかしその後、インターネットの悪質商法に関する掲示板にこの会社の名前があった。だまされた気がする。解約したい。
(無職男性)

 

A,「自宅でできる仕事を紹介する」などと誘い、実際は商品を売りつけたり登録料を取る商法を内職・モニター商法といいます。特定商取引法により20日間はクーリング・オフできます。しかし相談者の場合、契約後2ヶ月がすぎています。だまされたようだといっても、現時点では立証できません。クーリング・オフ期間が20日間あることも書面に記載されているとのことで、解約交渉は難しいと思われましたが、念のため契約書の送付を求め確認しました。
  ところが契約書には、契約日、商品名の記載がないほか、仕事を紹介するという役務契約もありませんでした。
  信販会社に、書面の不備を指摘したところ「事実なら無条件解約に応じる」と回答がありました。調査の結果、信販会社に提出されていた契約書面と異なることが判明、販売店も非を認めて、無条件解約になり、既払い金が返金されました。
不況下、収入や仕事をちらつかせて契約に誘う悪質業者にご注意ください。

 

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「ポスティングスタッフ募集」、実は健康食品販売が狙い 情報誌やインターネットで求人

9月掲載)

 

Q,情報誌で「時給2,000円のポスティングスタッフ募集」の広告を見て、話を聞きに行った。「健康食品の代理店になり、チラシを配布する仕事で、チラシを見た人から注文があった場合、売り上げの40%が収入になる。加盟料は収入から引かれるが、高収入なので心配ない」といわれた。

  募集広告の内容と違うので返事をしないで帰ったが、数日後電話で「今なら安い加盟料で代理店になれる。ただ加盟料はローンでの分割払いだが、商品を購入したことにしてほしい。いつでもやめられる」と強く勧められた。担当者を信頼して総額60万円で契約した。

  数ヶ月間、真剣にチラシ配布をしたが、売り上げがほとんどなくローンの返済に追われている。解約を申し出たが断られた。(会社員)

 

A,相談者は、代理店契約を解消すればローンの請求もなくなると思って解約を申し出ましたが、「代理店をやめるのは構わないが、健康食品のローンは残る」と言われました。相談者がした契約は代理店契約ではなく、たんに健康食品の購入契約だったのです。しかも購入代金は代理店が販売する商品の2倍も割高でした。
  当センターは事業者に、(1)求人広告の内容が実際の仕事と違う、(2)担当者の説明と契約内容が違う、(3)もうかることだけを強調して、注文がなければ持ち出しになることを告げていなかった、の3点を指摘し、解約に応じるよう申し出ました。その結果、事業者は販売方法に問題があったことを認め、無条件解約に応じました。
  「モニター募集」「自宅でお仕事、主婦・高齢者歓迎」など内職希望者を募集する広告がタウン誌やインターネットにも載っています。業者が、人材募集ではなく、商品の販売等を目的としている場合があるので、十分注意が必要です。

【内職・モニター商法〜法で消費者を保護】
「自宅でできるパソコンを使う仕事」「モニターを募集」などと誘い、実際は商品を売りつけたり、登録料をとる商法を「内職・モニター商法」といいます。特定商取引法で次のような消費者の保護をしています。
1)事業者は契約締結前に事業の概要を記載した書面を、締結後にも契約内容がわかる書面を交付する
2)契約者は契約書面受領後、20日間クーリング・オフできる
3)必ず利益が出ると誤解させたり、威迫や困惑させて契約させる行為の禁止
などです。

 

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「病気克服」の体験談広告に注意! 〜特効食品」を過量販売〜

8月掲載)

 

Q,折り込み広告で「特効食品で病気を克服した」という体験談を見て電話した。訪ねてきた販売員に「アガリクス、プロポリス、クロレラを飲めば健康になる」と購入を勧められた。
  代金が気になったので、一瓶ずつ購入すると言うと「最低1年間飲み続けないと効果がない」と説得され、結局半年分を注文した。そのときはじめて40万円すると言われたが、後に引けず現金で購入した。2ヶ月飲んでも効果がない。残りを返品したい。
(高齢者)

 

A,相談者は電話した際、「来てほしい」と頼んでいないので、この売買は特定商取引法の訪問販売に当たります。クーリング・オフ期間(8日間)を過ぎていましたが、書面を調べたところ代金のみを記載した領収書しか渡されていませんでした。
  これは同法で義務づけている書面の交付をしていないのでクーリング・オフが適用されます。また、「消耗品を消費した場合はクーリング・オフできない」旨の記載もないため、消費分も含めて全面解約できます。
  相談者は解約通知を出しましたが業者からは連絡がなく、相談窓口からも全額返金に応じるよう申し入れてようやく同意しました。
  しかしまだ返金はなく、現在責任者とは連絡が取れない状態です。
  体験談の真偽のほどはわかりませんが「特効食品」などと薬効を強調するチラシは要注意。特定の症状に効く、との説明で購入を勧められた場合は、十分注意してください。

 

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インターネット取引で操作ミス 〜申し込み画面は必ず保存〜

8月掲載)

 

Q,インターネットの通信販売でワインレッドのネクタイを注文したところ、色違いのネクタイが届いた。返品を申し出たが「注文通りの品」と断られた。
  申し込み後、確認のメールが来ていたが、削除してしまい内容はわからない。
(会社員)

 

A,相談窓口から事業者に説明を求めたところ、「注文品と同じものを送付しており、記録もあるが再度相談者と話したい」と回答がありました。その後、事業者から「相談者の希望の色の交換に応じた」と連絡がありました。
  相談者の注文時の操作ミスが原因でした。
  このようなインターネット通販のトラブルが多いことから、平成1312月にいわゆる「電子契約法」が施行されました。主な点は次の通りです。

電子商取引で、事業者が設定した画面上で消費者が申し込みを行う場合、申し込み内容を確認して訂正できる画面を設けていない時は、消費者に過失があっても契約を無効とすることができる。

契約は承諾の通知が到達したときに成立する
  なお、インターネット通販を利用するときは、必ず申し込み画面をプリントアウトし、保存しましょう。

 

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知らぬまに海外にアクセス 〜悪質サイトが仕組む〜 国際通話料、むずかしい支払い拒否

7月掲載)

 

Q,国際電話会社から約4万円の通話料金の請求があった。利用した覚えがないので調べてもらったところ、子供がインターネットで芸能人サイトにアクセスした際、契約プロバイダーと異なる海外のアクセスポイントに切り替わるソフトが作動して、知らないうちに海外のアクセスポイントにつながっていたことがわかった。
  こんな場合も通話料金は支払わなければならないでしょうか。(親)

 

A,インターネットが知らない間に海外のアクセスポイントにつながり、国際電話会社から高額な通話料金を請求されたという苦情が多数寄せられています。従来はアダルト系に多かったのですが、最近は芸能やゲームサイトにも悪質なものが出没しています。
  サイト運営業者のサービス料としてではなく、通話料として請求されます。業者は海外の電話会社と結託し、日本の国際電話会社を通じて得た通話料の一部をバックさせているものと思われます。
  通話料金は、加入電話の回線を利用して発信したものは国際電話も含めて、加入権の名義人に支払い義務がある、と電気サービス契約約款で決められており国も認めています。したがって、意図しないでかかった国際電話も、支払い拒否は難しいのが現状です。
  相談者には以上のことを説明したうえで、アクセスポイントを勝手に海外に変えられたのであるから、国際電話会社と支払いについて話し合ってみる余地があると伝えました。
  相談者はインターネットの通信記録である「履歴」を調べ、問題のサイトの所在に迫りました。その結果、当該サイトは別サイトに変更され、さらにそのサイトも抹消されていることがわかりました。相談者はこの事実をもとに国際電話会社と話し合い、担当責任者の判断で今回は「通話料金の請求はしない」という回答を得ました。
  悪質サイトの足跡を追って、詐欺的行為を裏付けた相談者の努力が実りました。

【知らぬ間に国際電話、のトラブルにあわない方法】
1)インターネット接続中は、常に自分のパソコンがどこにアクセスしているか確認する
2)不用意にソフトをダウンロードしない
3)国際電話を使わないのであれば、国際電話を通話できないよう手続きをとる
などの対策があります。

国際電話不取扱い手続きの申し出先
 「国際電話不取扱い受付センター」 Tel(フリーダイヤル)0120-21-0364

 

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模擬テスト受けさせ「この成績では」 〜巧妙、強引な教材販売〜

6月掲載)

 

Q,学習教材のセールスマンから、「お子さんに模擬テストを受けさせないか」と勧められた。テストだけなら、と承諾した。
  その後テスト結果を持ってきて「この成績では公立高校は無理」と補習用教材の購入を強く勧められた。値段を聞いたが「いくらなら払えますか」と言い教えてくれなかった。
  ファックスやビデオを使い成績が上がるという話に子供が関心を示したことから「お子さんのために」と長時間説得された。
  サインするときに総額が104万円もすると知ったが、頭が混乱したまま承諾した。生活保護を受けており、支払いは困難だ。
(母親)

 

A,同社の苦情はほかにもあります。テスト結果をもとに「弱点を克服しよう」などと子供を説得し、親が断ると「子供の可能性をつぶすのか」などと長時間迫ります。
  相談者は無職ですが、クレジット契約書の職業欄には「和裁」と記載するよう言われました。信販会社の審査を通すため、と思われます。
  契約から3ヶ月経っていましたが、相談者には契約の経緯と解約の意思を文書で業者に申し出るよう伝え、相談窓口からも、販売方法に問題があると判断されるので解約に応じるよう申し出ました。
  信販会社にも、販売方法の問題点を話した結果、既払金(約5万円)の放棄と教材の返品で合意解約となりました。
  ところで訪問販売トラブルの多くは、信販会社が加盟店契約を結んでいる業者の審査を厳格にすることで、未然防止できます。信販会社に加盟店の適正な管理を義務づける立法措置がぜひ必要です。

 

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脅迫めいた携帯電話サービス料金の請求 〜支払う必要ない〜

6月掲載)

 

Q,利用した覚えのない携帯電話の情報提供サービス料金と国際電話料金を請求する文書が届いた。3日以内に銀行口座に振り込まないと身辺調査を行い集金に行くとか、勤務先に迷惑をかけるなど脅しめいたこと書いてあり、おそろしい。どうしたらよいか。
(会社員)

 

A,4月中旬以降、同じような相談が集中的にあり、道立消費生活センターだけで400件を超えています。届いた文書の内容はどれも同じで、自宅・会社に請求に行くなど不安を抱かせる文言となっています。
  利用した覚えのない請求に応じる必要はないので、支払わないよう助言しました。また、国際電話料金は電話会社以外から請求されることはありません。
  もし、請求金額を事業者の口座に入金済みの場合は、回収は難しいと思います。支払って間もない場合はすぐに振り込んだ銀行へ行き、被害に遭ったことを説明して、振込金の組戻し依頼手続きを申し出てください。同時に警察へ届け出ることも忘れないようにしましょう。
  今後、請求を受けても支払わないようにしてください。

 

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異性から「旅行に興味は?」 〜実はビデオソフト販売〜 アポイントメント商法、20代前半に標的

5月掲載)

 

Q,「旅行に興味がありませんか」と女性から電話があり、後日会いに行った。そこで、会員になれば旅行やブランド品が安くなると説明され、そのためにはビデオソフトの購入が必要だと言われた。断って帰ろうとしたが、長時間にわたって勧誘され、結局会員と商品の両方を契約してしまった。
  冷静になると、商品も会員も必要ないし、学生の身で支払いも難しい。解約したい。(男子学生)

 

A,20代前半の社会人や、成人したばかりの学生を中心に行われるアポイントメント商法といわれる販売方法です。
  相談者によると、断っても帰してもらえず、しかたなくバイトで払えるかと思い、契約したそうです。
 契約目的を隠して呼び出す販売方法は、特定商取引法で8日間のクーリング・オフ期間内であれば無条件で解約できます。この相談の場合、クーリング・オフ期間を過ぎていたため、相談者は契約の経緯を記載した文書で解約を申し出ました。また、当センターも、長時間勧誘は特定商取引法や北海道消費生活条例に触れると申し入れました。
 その結果、解約料を払うことで解決できました。
 相談者の契約は、消費者契約法施行(平成134月)以前だったため、適用されませんが、消費者契約法では、営業所などで帰りたいと意思表示したのに帰してくれなかった場合、「契約の取消」ができます。しかし、帰してくれなかったこと、意思表示をしたことの証明は消費者が行う必要があります。
 このように、クーリング・オフ以外の解約は、容易ではありません。
 販売員の説明をうのみにせず、契約書をよく読み、まわりの助言も受けて、本当に必要か、支払いを続けられるか、よく考えてから契約しましょう。

 

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入園取りやめ「入園料返して」 〜消費者契約法では

4月掲載)

 

Q,幼稚園の入園申し込みをして、出願料、入園料など56,500円を納めたが、保育園に通わそうと考え直し、翌日、入園取消を申し出た。しかし、「入園料等は理由の如何にかかわらず返還しない」という園の規則を根拠に返還を拒否された。
  入園案内には「3月までに転勤の場合は入園金返金」とある。全額でなくても返金してほしい。

 

A,「転勤の場合は入園金返金」と案内書にあり、取りやめたのは翌日−。相談者に入園料などが返金されないことに不満を持つことは当然と思われます。にもかかわらず園が返金しないのは、入園取消にともなう園の損害、たとえば定員不足になるための損失や再募集に要する出費などを補うための損害賠償的な理由があると思われます。これまでは、そのどちらに正当性があるか、明確な判断はありませんでした。
  しかし、昨年(平成13年)施行された「消費者契約法」は、あらかじめ損害賠償を予定して既払い金の返還を拒否する規約について、平均的な損害額を超える部分は無効、としています。
  幼稚園に消費者契約法を説明し、実質上の損害はほとんどないと思われる旨伝え、返金について再検討を申し出ました。その結果、「全額返金する」と回答がありました。
  消費者契約法は、大学や専門学校の入学金や授業料の規約にも適用される可能性があります。これまでは一般に入学者(既払い者)に不利でしたが、新たな解決の方向が生まれる可能性があります。

 

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引越で荷物が毀損「新品と交換して」 〜修復が可能なら無理〜

4月掲載)

 

Q,1)引っ越しの際、冷蔵庫の表面がへこんでしまった。木製ベッドの支柱の角もぶつけて潰れている。業者は「修理する」というが新品と交換してもらえるだろうか。

2)引っ越ししたあと、荷物の一部を1ヶ月間ほど開封せずにいた。
昨日開けたところ食器の一部が壊れていた。引っ越し業者に届けたところ、「6日以内に届け出がなかったので対応できない」といわれた。

 

A,引っ越しはするまでが準備で大変ですが、したあとも後始末がなかなか大変です。
 (1)は、荷物がき損した場合の補償についてですが、修復が可能な場合は、新品との交換は難しいと思われます。また、修復が難しいときも減価償却があるので使用年数が長いものは補償額は少なくなります。
 (2)は、損害賠償を請求できる期間の問い合わせですが、標準引越運送約款では、引越業者が荷物をき損した場合の責任は「荷物を引き渡した日から3ヶ月以内」としています。従って(2)の場合は損害賠償を請求できます。
 なお、パソコンなど壊れやすいものはあらかじめ業者に通知したり、引越中の紛失を防ぐために荷物に通し番号を付ける、引越終了後早めに荷物を開封し、状態のチェックをする、などの注意も必要です。

 

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「代理店になるとお金が倍に」 〜破産で出資金がふい〜 被害者多数、健康食品の会員商法

3月掲載)

 

Q,数ヶ月前、親類に「健康食品を購入して代理店になると、1年後に払ったお金が倍になる」と言われて、代理店契約をした。購入する人を紹介すれば紹介料も入るので、友人も紹介した。
  購入した商品を業者に委託すると、売れても売れなくても高配当があるので、数回購入契約し、合計420万円支払った。しかし、最近業績が悪いようで配当が滞っているようだ。
  心配なので全額すぐ返金してほしい。

 

A,この組織の会則によると、一口150万円(30万円のコースもある)の健康食品を購入すると1年間で2倍になるとあります。相談者は、誘われた親類に実際に入金のあった通帳を見せられて信用し、何回も契約しました。
  代理店になって購入した健康食品を販売する仕組みは、特定商取引法における連鎖販売取引のようにみえます。ところが実際は、商品の大部分は業者が預かり、代理店になった相談者は販売活動をしていませんでした。商品を販売しないで、次々会員を増やし、配当だけを受け取るやり方は無限連鎖講(ねずみ講)に類似してます。
 この業者は、昨年末から配当金が滞り始め、資金不足で事業継続ができなくなって破産を申し立て、今年1月末、裁判所から破産宣告されました。その結果、現在破産管財人が選定されました。
 会員は全国で数万人いると見られますが、今後は裁判所に債権届けを提出することになります。破産管財人が組織の資産を売却して、債権者に配当できる状況であれば、契約金の一部が返金になります。
 各地で弁護団が結成されていますが、北海道では札幌弁護士会主催の説明会が開催されました。
 なお、「特殊な飲料水を販売するスタンドを購入すると、高配当があ る」と勧誘していた会社も破綻しました。
 うまい話にはご用心。うっかり乗ると、お金が戻らないだけでなく、友人知人にも迷惑が及ぶことがあります。

 

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「入選した書を美術年鑑に!」 〜業者つぎつぎ、高い掲載料〜

2月掲載)

 

Q,趣味で書道を続けている。このたび、海外のコンクールに出品したところ、入選できた。その後、出版業者が来訪し、入選作品を美術年鑑に掲載するよう勧められ、承諾してしまった。
 掲載料は42万円で、21万円を前払いし、残金は発刊までに支払う約束だ。掲載をやめ、 残金を払いたくない。
(年金生活者)

 

A,コンクール入選後、相談者宅には、「カレンダーに作品を載せないか」、「美術本に掲載しないか」など、たくさんの業者から電話勧誘があり、断り切れず契約したものが多くあります。
  家庭訪問や電話で、書籍に作品や経歴を掲載させるための勧誘は、特定商取引法で規制され、8日間のクーリング・オフも適用されます。この事例はクーリング・オフ期間は過ぎていましたが、書面で申し込み撤回することを相談者に助言し、高齢で他にも多額な契約があることから、業者に解約に応じるよう交渉しました。
  その結果、相談者は既払い金を放棄することで解約になりました。他業者のカレンダーなどへの掲載契約も解約となりました。
 書や絵画などの作品が、美術誌などに掲載されると、他の業者からも次々と勧誘されることがあります。不要ならきっぱり断りましょう。

 

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資格取れば仕事を紹介 〜良いことづくしの電話勧誘〜

2月掲載)

 

Q,平成12年秋、「自宅で出入国に関する書類を作成するをしてほしい。そのためには、一般旅行業務取扱主任者の資格を取る必要がある」と、電話があった。3ヶ月くらいの勉強で合格できるが、もし4回受験しても不合格なら50万円が支給されるという話だった。
  合格後は活動助成金として、1年間毎月5万円が支給されると説明され、資格取得講座(61万円)を受けることにした。
 しかし、簡単に合格するものではなく、合格しても自宅でできるような仕事ではないようだ。解約したい。
(会社員)

 

A,送られてきた教材で勉強を始めたところ、資格試験は3ヶ月程度の勉強ではとても合格できないもので、相談者は1回不合格になっていました。また、合格者の仕事の紹介や活動助成金の交付、不合格時の50万円支給はこの業者がするのではなく、受講者が関連団体に登録料を支払って登録すると、その「特典」として行われるものでした。
  さらに当相談室が一般旅行業務取扱主任者について調べたところ、資格を生かすには旅行会社に勤めるか、代理店を開設することが必要なことがわかりました。当相談室は、在宅では仕事ができないのに収入が得られるような販売方法に問題があることから、事業者に解約を申し出ました。
 交渉の結果、相談者が既払い金約16万円を放棄することで合意解約になりました。
 なお、「内職・モニター商法」は特定商取引法で、昨年(平成13年)6月から虚偽や脅しによる勧誘が禁止され、20日間のクーリング・オフができます。

 

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携帯の着信履歴にかけると 〜「ツーショット」に接続〜 電話しただけでは支払い義務はない

1月掲載)

 

Q,携帯電話に残っていた着信記録を見て、友人から来たのかと思ってかけ直したところ、ツーショットダイヤルの業者だった。テープの声が流れたのですぐ切ったが、後でこのことを友人に話すと、「ワン切りで通知された業者に電話しただけで10万円程度の請求が来るらしい」「請求は厳しいという」と言われて、不安になった。
  もし請求が来たら、払わなければならないだろうか。(男性)

 

A,1回きりの呼び出し音で切る「ワン切り」は、若者の間で「折り返し電話して」という合図として流行しているようです。これに目をつけた業者が、着信音を鳴らすだけなら発信側に通話料がかからないこともあり、携帯電話を利用していると思われます。同様の苦情が全国の相談窓口に多数寄せられています。
  この件に関しては、国民生活センター、総務省などが11月下旬に次のような見解を出していますので参考にしてください。

1)知らない着信記録にかけ直さない
  知らない番号の着信記録に電話することはツーショットダイヤルの業者に接続するおそれがあります。「かけなければ失礼だ」という常識を変えていくことも必要です。

2)ただ電話しただけでは支払い義務は生じない
 テープの声に従って操作を続けると利用の申し込みとなる場合がありますが、登録や承諾をしないで電話から流れてくる音を聞いただけでは情報料の支払い義務は生じません(電話会社に対する通話料の支払い義務はあります)。また現在のところ、ワン切りがもとで「登録もしていないのに10万円程度の請求が来た」という苦情事例は確認されていません。

3)安易に電子メールを転送しない
 「10万円が請求されるらしい」「取り立てはきびしいようだ」などのあやふやなうわさを電子メールで次々に転送したことが背景にあります。安易に転送しないでください。

4)氏名や住所を教えない
 業者から情報料を請求する電話がきても、絶対に自分の住所や氏名を教えてはいけません。この時点で発信側の業者は、着信者の電話番号しかつかんでいないと思われ、氏名住所を聞き出すために電話をかけてきた可能性があるからです。うっかり住所氏名を教えると、手紙や電話で「取りに行く」などの嫌がらせが行われるおそれもあります。
  なお、手紙や電話で請求が来ても応じてはいけません。しつこく請求がある場合は、消費生活センターなどの相談窓口にご相談ください。

 

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